生活保護を申請するにあたり、受給者にとって最も気になるのは月々支給されるお金のことかと思います。

家族構成などはもちろんですが、月収や年齢、住んでいる地域によっても支給額は変わります。

生活保護を申請する前に支給金額を知り、不安を無くし、未来の生計の立て直しに役立てましょう。

今回は支給額を見積もるための方法をご紹介します。

1.生活保護制度の基本理念とは

生活保護制度とは、病気やケガなど何らかの理由で生活が困窮した場合に、利用できる国の制度です。

生活保護制度は、日本国憲法第25条に定められた「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という理念によって制定された「生活保護法」に基づいています。※1

日本の国民には平等に、生活保護を申請し最低限の生活を維持することが権利として与えられています。

また、生活の再建もサポートされるため、生活が困窮した場合には、迷わず自治体の福祉事務所に相談しましょう。

※1引用:e-GOV法令検索「日本国憲法第二十五条」参照2024.01.29
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION_19470503_000000000000000&keyword=%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%8D%81%E4%BA%94

2.生活保護費の受給条件とは

生活保護は、世帯単位での収入を基準とするため、世帯全員を対象に調査を行い、条件を満たした場合に受給が可能となります。

具体的な受給の条件は以下の4つです。

①3親等以内の親族からの援助がない

3親等とは、自分を0として、親や子どもを1親等とする血縁関係の距離を示しています。

兄弟は2親等、伯父、甥などは3親等となります。

生活保護では、3親等以内の親族には扶養義務が生じるため、親族からの援助で自立を目指すことが優先されます。

3親等以内に援助が可能な親族がいない場合は、生活保護が検討されます。

②病気やケガなどの理由で就労できない

病気やケガ、介護、育児など、就労できない理由がある場合は、生活保護の対象となります。

③活用できる資産がない

土地や車、保険、貴金属など現金化して生活を維持することが可能な資産がない場合は生活保護の対象として検討されます。

現金化が可能な資産を保有している場合は、資産を現金化し、生活を維持することが優先されます。

④世帯収入の合計が「最低生活費」以下となる

世帯収入の合計が、定められた最低生活費以下の場合、生活保護の対象となります。

最低生活費とは、厚生労働省が定めた基準額を指します。

最低生活費は、地域と世帯人数によって計算されます。

生活保護の受給は、原則として上記4つの条件をすべて満たしている場合に限られます。

3.生活保護費の支給金額とは

①支給金額は最低生活費が基準となる

生活保護の支給金額は、厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」と収入の差額です。

最低生活費の計算方法は、生活保護で受給できる8種類の扶助の中で、特に日常生活に必要な3種類の扶助の合計金額が基準となります。

生活保護の8種類の扶助とは、「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「生業扶助」「医療扶助」「介護扶助」「出産扶助」「葬祭扶助」を指します。※2

このうち「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」の合計金額をもとに最低生活費を算出します。

各扶助の金額は、世帯人数、住居のある地域の等級(級地)、障害の有無、子供の年齢など生活保護を受給する際の状況に応じて変動します。

②最低生活費の基準となる扶助とは

最低生活費を計算する際に基準となる扶助は、「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」です。

1-「生活扶助」

日常生活で、欠かす事のできない衣食や生活必需品で必要とする費用が支給されます。水道光熱費などの費用も含まれます。
厳密には、世帯の個人が必要とする物の費用である「第1類費」と世帯が共同で使用する光熱費などの「第2類費」の合計です。
障害者や母子家庭など、世帯内の状況によって「加算額」があります。

2-「住宅扶助」

住宅扶助は、主に住宅の家賃と住宅に係わる費用です。
地域や世帯人数によって上限額が変わります。

3-「教育扶助」

世帯の中に、義務教育の子供がいる場合に受給できる扶助です。
基準額となる金額に入学費用、授業料、学習支援費、通学費用などを含みます。

③収入は最低生活費から差し引かれる

3つの扶助の合計によって計算された最低生活費から、世帯全体の収入が差し引かれ、最低生活費に不足している差額が、生活保護費として支給されます。

収入にはアルバイトや児童扶養手当の他、給付金、年金も含まれます。

しかし、アルバイトなどの労働収入は、一定額の控除が認められています。

収入のすべてが生活保護費の減額対象というわけではないため、積極的に就労しましょう。

また、生活保護受給中の収入は、ケースワーカーに毎月報告する必要があります。

※2出典:厚生労働省「生活保護制度」参照:2024.01.29

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

4.「最低生活費」を計算する

具体的に「最低生活費」がいくらになるのか、東京23区内での一人暮らし(単身世帯)、30歳の場合で計算してみましょう。

最低生活費は、「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」をもとに算出します。※3

計算方法が複雑なため、1つずつ順を追って解説します。

①現住所で級地を調べる

最初に現在の住居の「級地」を調べます。

「級地」は厚生労働省が定めており、一覧から現住所の「級地」を確認します。※4

②加算額(A)級地で生活扶助基準を計算する

住所が東京23区内の場合「級地」は1級地‐1です。

1級地-1の基準額で「生活扶助」を計算します。

1-生活扶助の計算方法

厚生労働省による「最低生活費の算出方法」に示された、「生活扶助基準(第1類)」の基準額で、級地の項目と年齢の項目が重なる場所に記載された金額を確認します。

1級地-1の級地で、30歳単身世帯の「第1類基準額」は46,930円です。

この金額に「逓減率1.0000」を掛けた、46,930円が第1類の合計です。

次に、「生活扶助基準(第2類)の基準額」を確認します。

第2類の30歳単身世帯の基準額は、27,790円になります。
「第1類」と「第2類」の合計74,720円に、特例加算(1人当たり月額1,000)と別表の生活扶助本体における経過的加算「700円」を足した76,420円が、生活扶助金額です。

③加算額(B)世帯が該当する場合

障害者、母子世帯、児童の養育がある場合加算します。

④加算額(C)住宅扶助を加算

住所の「級地」が1級地‐1のため、住宅扶助は53,700円です。

⑤教育扶助基準・高等学校等週学費(D)該当する場合のみ加算

小学生、中学生、高校生の子どもを養育している世帯は、それぞれの基準額を加算します。

⑥介護扶助基準(E)該当する場合のみ加算

居宅介護している場合は、介護費用の平均月額が加算されます。

⑦医療扶助基準(F)医療機関を利用した場合加算

医療機関を利用した場合のみ、医療費の平均月額が加算されます。

⑧合計で最低生活費を算出

東京23区内に住む30歳の単身世帯の最低生活費は、(A)の生活扶助76,420円と(C)の住宅扶助53,700円の合計130,120円です。

※3出典:厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法」(令和5年10月)参照:2024.01.29

https://www.mhlw.go.jp/content/001152601.pdf

※4出典:厚生労働省「級地区分」(平成30年10月1日現在)参照2024.01.29

https://www.mhlw.go.jp/content/kyuchi.3010.pdf

5.生活保護はリライフネットにご相談ください

リライフネットは関東一都三県の生活保護の受給金額を見積もることができます。

リライフネットの運営法人は東京都指定の居住支援法人です。
住居の確保から生活保護の申請サポート、生活の再建までトータルサポートが可能です。

生活保護の受給申請が不安な方、現在の住居からの退去が必要になった方、その他お悩みをお持ちの方は今すぐご連絡ください。

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