生活保護は、お金がなく最低限度の生活を送れない方を守るための制度です。

そのため経済的に余裕がある方は受給することができません。

生活保護受給の条件は大きく分けて、

  • 親族からの援助が受けられない
  • 働くことができない理由がある
  • 生活費として利用できる資産を持っていない
  • 世帯収入が最低生活費以下

の4つがあり、この4つの条件を、すべて満たしていることが必要です。

今回は、生活保護受給の条件について解説します。

1.生活保護制度とは

生活保護制度は、何らかの理由で収入が途絶え、生活が困難になった場合に、最低限度の生活を国が保障する制度です。

最低限度の生活とは、健康で文化的な生活を指し、生活を維持するために必要な日用品や食事、衣服、住むための住居などが確保された状態です。

子どもがいる場合は義務教育に必要な費用、病気やケガには必要な医療サービスを受けられる状態が、健康で文化的な生活と言えます。

生活保護制度では、生活が困難になった方に対して「健康で文化的な生活」が可能になるように、その度合いに応じた保護を行います。

また、保護だけでなく自立の助長も合わせて実施し、本来の自立した生活へ戻る事を目指します。

2.生活保護を利用するには

生活保護を利用するには、現住所がある地域の「福祉事務所」の「生活保護担当」へ相談します。

「福祉事務所」は、「市」であれば、「市」が設置しています。

東京23区であれば、「区」が「福祉事務所」を設置し、町村では一般的に都道府県が主体となって設置しています。

しかし、町村によっては、「福祉事務所」を設置している場合や、町村役場で手続きが可能な場合など例外もあります。

現住所の管轄となる「福祉事務所」が分からない場合は、町村役場などの自治体に問い合わせてみましょう。

3.生活保護受給の要件

生活保護受給の要件は、世帯全員を対象とします。

以下に解説する要件を、世帯の全員が満たしている場合に、生活保護の受給が可能になります。

①親族からの援助が受けられない

親や子供、兄弟など3親等以内の親族には扶養義務が生じます。

そのため生活保護を申請した場合、それらの親族に対して援助が可能か確認されます。

このとき援助が可能な親族がいる場合は生活保護が受けられません。

②働くことができない理由がある

病気やケガなどが原因で、働きたくても働けない場合も生活保護の対象になります。
また健康状態以外にも介護や育児などが理由で、フルタイムで働くことができない場合も対象になります。

③生活費として利用できる資産を持っていない

貯金だけではなく、現金化が可能な保険や不動産、自動車なども資産と見なされますので、これらを保有している場合も生活保護は受けられません

保有している資産がある場合、それらを売却し生活費に充てることが求められます。

しかし、自動車は地域や状況によって、通院や仕事探しなど生活必需品とみなされるケースがあり、その場合は保有を認められます。

④世帯収入が最低生活費以下

たとえ働けなくても年金や児童手当といった収入があり、その収入が厚生労働省の定めた最低生活費基準額を超えている場合は生活保護の対象になりません。


最低生活費基準額は世帯人数と地域によって異なります。

生活保護を受給するためには、以上の4つをすべて満たしていることが条件になります。

一見とても厳しい条件のように見えますが、逆に条件を満たしていないということは、まだ自力で最低限の生活を送れる状態であるということです。

4.実施される調査

生活保護の申請をすると、生活保護の要件に該当するかどうかの調査が実施されます。

①家庭訪問

虚偽の申請などがないか、実際の生活状況を確認するために家庭訪問などの調査があります。

②資産調査

預貯金の口座や不動産などの生活に活用できる資産がないか、生活保護の申請時に申告していない口座などがないかを調査します。

生命保険などに加入している場合は、解約によって返還金が発生するケースがあるため、それらも資産として活用するように求められます。

③扶養義務者の有無

親族に扶養義務者がいないか、支援が可能な親族がいないかを調査します。

④社会保障給付や就労収入の有無

世帯全員を対象に、年金や就労による収入がないか調査します。

⑤就労の可能性の調査

世帯に就労の可能性がある人員がいないかを調査します。

まとめ
申請から受給決定の可否まではおよそ2週間~1か月程度かかります。

5.支給される生活保護費

生活保護受給者になった場合に支給される生活保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」と収入の差額です。

アルバイトなどの収入や児童扶養手当、給付金、世帯に年金受給者がいる場合は、年金も含めて世帯収入として計算します。

これらの収入の合計を最低生活費から差し引き、不足している差額が生活保護費として支給されます。

また、生活保護受給中は、収入の状況を毎月報告する必要があります。

6.生活保護の種類

生活保護の種類は「扶助」と呼ばれ、8種類あります。

①生活扶助

生活扶助は、基本的な毎日の生活に必要な費用です。

食費、水道光熱費、被服費などが該当します。

母子家庭など、特定の世帯には金額加算があります。

②住宅扶助

住居の家賃や地代などが、規定の範囲内で実費支給されます。

③教育扶助

世帯に義務教育の子どもがいる場合には、教育扶助の対象になります。

学用品や制服代などが、定められた基準額で支給されます。

④医療扶助

病気やケガをして病院を利用した場合に、通院や入院の費用が直接医療機関へ支払われます。

そのため自己負担はありません。

⑤介護扶助

リハビリやデイサービスなど介護サービスが必要な状況になった場合、費用が介護事業者へ直接支払われます。

そのため自己負担はありません。

⑥出産扶助

出産に際してかかる入院などの費用が、規定の範囲内で実費支給されます。

⑦生業扶助

就労するために必要な技能習得に必要な費用や就職する際の支度金などが、規定の範囲内で実費支給されます。

⑧葬祭扶助

通夜、火葬、葬儀などに必要な費用が、規定の範囲内で実費支給されます。

出典:厚生労働省「生活保護制度」参照2023.10.10

7.まとめ

今回は、生活保護制度の受給条件について解説しました。

生活保護受給の条件は、就労できない理由があること、生活費に充てる資産がなく、扶養義務者や援助が可能な親族がいないこと、世帯収入が最適生活費に満たないことがポイントになります。

申請後には、申請や申告内容に相違がないか、5つの調査があります。

また、生活保護受給中は収入を報告する必要があるため、臨時収入なども忘れずに報告しましょう。

受給の条件や調査は厳しく見えるかもしれませんが、生活が困難でどうすれば良いか分からない場合には、一度最寄りの福祉事務所に相談してみることをおすすめします。

また、福祉事務所へ生活保護を申請する方法が分かりにくい、生活保護をもらえる対象になるのか分からないなど、サポートが必要な場合には、リライフネットをおすすめします。

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