1.生活保護を受けた人は老人ホームに入居できるか?

生活保護は日本国憲法で定める生存権を保障するために、生活保護法を根拠として行われる重要な社会保障制度です。

生活保護を受ける前にはあらゆるものを活用しなければならないため、基本的には生活保護を受けていても老人ホームに入居することができます

介護サービスが受けられる老人ホームの種類としては、

特別養護老人ホーム

認知症グループホーム

有料老人ホーム

サービス付き高齢者向け住宅

ケアハウス

などがあります。

①特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは老人福祉法を根拠として設置される老人ホームで、介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれています。自治体や社会福祉法人などの公的団体が設置主体となっており、利用料金に上限があるため比較的軽い負担で入居できるという大きなメリットがあります。

一方費用がかからないため入居希望者が殺到しているという特徴があり、入所可能になるまで長期間を要するという点が最大のデメリットです。また入居対象が要介護3以上に限られており、要介護度が低い人は利用できません。

②認知症グループホーム

認知症グループホームは要支援2以上の判定と認知症の診断を受けている人を対象とする老人ホームで、認知症対応型共同生活介護という介護保険サービスを受けることができます。

しかし入居対象はある程度自立した日常生活ができる人となり、医療ケアの必要性や要介護度などが上がると、退去しなければならないというデメリットがあります。そのため、グループホームを終の棲家と考えるのは困難かもしれません。

③有料老人ホーム

有料老人ホームはいわゆる老人ホームの大多数を占めており、設置主体が制限されないため様々な民間業者が参入しています。

有料老人ホームを大きく分けると介護付きと住宅型の2つがあり、介護保険法上の特定施設入居者介護の指定を受けている施設が介護付き有料老人ホームとなります。

介護付きホームでは介護も利用サービスの中に含まれますが、住宅型は一般的な住居という扱いになるため、受けられる介護保険サービスが訪問介護や通所介護など居宅系に限られます。

いずれの老人ホームも生活保護受給者の入居可否をはじめとした要件が施設ごとに異なり、料金設定も大きな幅があります。

④サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅では通常の賃貸と同様、比較的自由な生活を送ることができます。特段の入居要件を定めていないところもあり、要支援の人や要介護度の低い人が多く入居しています。

また、サービス付き高齢者向け住宅の中には介護サービスが充実している施設も多く、要介護5の方まで受け入れている場合もあるので、要介護度が高くなってもそのまま住み続けることも可能です。

⑤ケアハウスや養護老人ホーム

ケアハウスも養護老人ホームも老人福祉法を根拠に設置される老人福祉施設で、そのうちケアハウスは、軽費老人ホームと呼ばれる施設の1類型です。養護老人ホームは「特別」の有無だけでなく、自治体による措置という入居の仕組み自体が異なります。

いずれの施設も原則として要介護状態の人は入居できませんが、特定施設入居者介護の指定を受けていれば介護付き有料老人ホームと同様の介護サービスが受けられます。ただし指定を受けている施設は限られているので、注意が必要です。

2.生活保護の人が入居できる老人ホームの費用はいくらか?

老人ホームの入居費用としては入居時の一時金と毎月の利用料とがありますが、このうち一時金は保護の対象にならず、利用料のみ生活保護の対象となります。

このように老人ホームの利用料は、施設の種類によって大きく異なることがわかります。また同じ種類の施設であっても、有料老人ホームの入居一時金は、施設ごとの差が非常に大きいという事実が見えてくるでしょう。

3.生活保護で老人ホームの費用が払えない人はどうすればいい?

生活保護は日本国憲法第二十五条で定める生存権を保障するための制度で、要件を満たせば「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための支援が受けられます。

生活保護は

・生活扶助

・住宅扶助

・教育扶助

・医療扶助

・介護扶助

・出産扶助

・生業扶助

・葬祭扶助

という8種類の扶助から構成されており、実情に合わせ最低生活費として算定します。

このうち老人ホームに入居する人が受ける扶助としては、「生活費の不足分を補う生活扶助」「家賃分を支援にあたる住宅扶助」「介護サービスを受けるための介護扶助」などが挙げられます。これらに加え、病気やケガの治療が必要な人は医療扶助を受けることもできます。

年金などの収入が年齢や居住地により異なる最低生活費に満たない場合、差額分を保護費として支給するという仕組みになっています。

4.生活保護受給者で老人ホームに入居できる具体的な条件とは

生活保護を受けながら老人ホームに入居するためには、生活保護の要件を満たすことが大前提となります。老人ホームに入居する人の多くは年金を受給しているため、年齢や施設住所によって定められる最低生活費を、年金や親族からの援助だけではまかなえない場合に生活保護を受けることができます。

介護保険サービスの利用料には介護扶助が適用され、原則として自己負担が生じません。しかし介護保険が適用されない分は自己負担となるため、家賃や食費相当分などは住宅扶助及び生活扶助で対応することになります。

別の市区町村にある老人ホームに入居する場合、施設によっては管轄する福祉事務所が変更になることもあります。生活保護や介護保険など手続きの詳細は、自治体側で行います。

自治体をまたいで老人ホームに入居する際は、検討する前に福祉事務所の担当ケースワーカーと介護保険の担当ケアマネジャーの両方に相談しなければなりません。

5.生活保護受給のせいで老人ホームの入居を拒否されたら?

老人ホームは法令にもとづき設置された施設を除き、民間業者が提供する物件が多いという特徴があります。そのため一時金や毎月の利用料など、入居で必要となる額も大きな差があります。

入居資格も施設側で決められるので、生活保護受給を理由に入居を拒否される場合もあるでしょう。その場合はひとつの施設に固執せず、生活保護受給者向けのプランを用意している老人ホームを探すことも検討しましょう

プラン自体を用意していない老人ホームの中でも、個別相談にのってくれるところもありますが、詳細は施設のホームページや老人ホームのポータルサイトなどで、施設の情報を確認する必要があります。

受けられる介護サービスの内容で老人ホームを選びたい人は、現在ケアプランを作成してもらっているケアマネジャーに相談すれば、参考になる情報を教えてくれるかもしれません。生活保護受給者であれば、福祉事務所のケースワーカーに相談してもよいでしょう。

老人ホームを選ぶ際は、可能な限り終の棲家にできるような施設を探すため、あらゆるところから情報を入手して慎重に判断しましょう。

6.老人ホームだけでなく賃貸暮らしも選択肢に

少子高齢化社会に対応し、有料老人ホームを中心に老人ホームの数は増加傾向にあります。しかし希望する高齢者全員が老人ホームに入居できるわけではないので、一般の賃貸物件で生活する高齢者が圧倒的に多数を占めるのではないでしょうか。

リスクが高いという理由で高齢者の入居が断られるケースが散見されますので、生活に困窮する高齢者はリライフネットのサポートを検討することをおすすめします。

リライフネットは生活困窮者に対するトータルサポートを行う中、特に賃貸物件の情報を豊富に有しているため、最短で相談翌日から提供する物件もご紹介できます。

生活保護申請のサポートにも対応しているので、賃貸暮らしを選ぶ高齢者の方はリライフネットに相談してはいかがでしょうか。