お部屋探しに悩んでいませんか?生活保護受給者にとって大きな問題のひとつに部屋探しがあります。保証人の問題や家賃の上限金額など、生活保護受給者には部屋探しに大きなハードルがありますが、入居できる物件は沢山あります。生活保護受給者でも入居できる部屋探しの方法を紹介します。

1.部屋探しの3つのハードル

生活保護受給者が部屋探しをする際には「保証」と「家賃の上限金額」、「契約できる物件が限られる」点が大きなハードルになります。ここでは、これらの具体的な問題点について解説します。

①保証

賃貸物件の契約の際には保証として連帯保証人や家賃保証会社の同意が必要になります。
しかし、生活保護受給者の場合は連帯保証人を付けることができません。なぜなら連帯保証人になれる人がいる場合、その人から直接援助してもらえばよいので生活保護が必要ないと判断されるからです。
そのため生活保護受給者が賃貸契約をするためには、家賃保証会社を利用する必要があるのです。

②家賃の上限金額

生活保護受給者が受けられる住宅扶助には上限金額があります。例えば、もっとも高額な住宅扶助金額となる東京23区の場合、厚生労働省が定めた家賃の支給基準となる「級地」は「1級地」です。単身者の場合、住宅扶助は月額53,700円となり、契約できる住宅の選択肢もこの金額の範囲内になります。※

③契約できる物件が限られる

生活保護を受給している場合、不動産会社や大家さんに入居を断られるケースがあり、契約できる物件がある程度限られます。また、断られる具体的な理由は、以下のような内容が大半です。

1-家賃の滞納

生活保護受給中は、最低限度の収入で生活することになるため、家賃が払えず滞納する可能性が高いと判断されやすい傾向があります。また、家賃以外の共益費など、支払いでトラブルになることを懸念して、生活保護受給者とは契約しないという方針の大家さんも存在します。

2-手続きが煩雑になる

生活保護受給中の賃貸物件の契約は、本人と不動産会社の間に福祉事務所での承認が必要になるため、通常よりも手続きが煩雑です。そのため業務の効率や利益を追求する不動産会社では、生活保護受給者との契約を断ることがあります。

生活保護受給者向けの物件を用意している不動産会社かどうかは、事前に調べておくことがおすすめです。

※出典:厚生労働省「 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」参照:2024.07.07

残念ながら生活保護受給者は借りられる物件の選択肢が多くないため、自分の中でも何かしら妥協できる条件を考えるようにしましょう。

2.「生活保護受給証明書」を取得する

部屋探しを始める際には、いくつかの準備が必要です。もっとも優先される準備は「生活保護受給証明書」の取得です。

①生活保護受給証明書とは

生活保護受給証明書とは、生活保護を受給していることを証明する書類です。この書類に身分証明のような効力はありません。賃貸契約をする際に、生活保護を受給していることの証明として使用します。生活保護受給証明書には、生活保護の開始日や、書類の使用目的などが記載されています。※

②生活保護受給証明書を取得する

部屋探しを始める前には、まず福祉事務所で「生活保護受給証明書」を取得しておきましょう。生活保護受給証明書が無いと不動産会社も審査が出来ないため、物件探しの際には必ず準備し、携行するようにしましょう。

③福祉事務所に引っ越しの許可を取る

すでに生活保護を受給している状態で転居する場合には、福祉事務所の許可が必要になりますので、事前に許可を取っておきましょう。引っ越し先でも生活保護を受給する場合、福祉事務所間での移管手続きが必要になるためです。

また、許可を得た後に部屋を契約する際にも、常に報告と承認が必要になります。手続きごとにケースワーカーに報告しましょう。

※出典:群馬県「生活保護受給証明書」参照:2024.07.07

判断に迷うことは自己判断で決めつけて行動せずに、必ずケースワーカーに報告するようにしましょう。

3.部屋探しは不動産会社を利用する

生活保護受給者の部屋探しも通常の部屋探しと同様、不動産会社を利用します。しかし、生活保護受給者の部屋探しの場合、貸主や家賃保証会社の審査の面で通常の部屋探しよりも厳しい場合も多いです。
そのため賃貸契約するためには不動産会社による交渉の力を借りる必要があります。信頼でき、頼りになる不動産会社を見つけることが重要になります。
不動産会社に相談する際には、嘘はつかず、正直に現状をすべて話すようにしましょう。具体的には以下のような流れで、物件を探します。

①生活保護受給者向けの物件を扱っている不動産会社を探す

生活保護受給中の物件探しは、生活保護受給者向けの物件を取り扱っている不動産会社を探すことから始めます。地区の担当期間が長いケースワーカーであれば、不動産会社についても詳しい場合があります。賃料や転居にあたっての支給上限金額を確認するためにも、事前に相談することがおすすめです。インターネットや不動産会社のホームページなどで情報を集めることも有効です。

②不動産会社で物件を探す

生活保護受給者向けの物件を扱う不動産会社が見つかった場合は、条件に合う物件を探します。生活保護受給者向けの物件を取り扱う不動産会社であれば、住居の条件や住宅扶助の上限額などの相談もしやすく、手続きも安心です。

③物件が決まったらケースワーカーに相談する

引越しする物件が決まったら不動産会社に見積もりを依頼しましょう。契約へ進む前には、作成された見積もりをケースワーカーへ報告する必要があります。ケースワーカーや福祉事務所から許可が得られた後、入居審査です。

入居審査が通った後は、再度ケースワーカーへ報告し、契約へ進みます。必要な書類や手続きの流れは、随時ケースワーカーの指示に従う必要があります。

④引越し費用の見積を依頼する

新しい住居への引越し費用の見積もりを依頼します。複数の引越し業者の見積もりを取り、もっとも安い見積もりを選択します。現在は、インターネットを利用した一括見積もりサービスを利用するケースが多くなっています。費用は引越し業者への実費が支給されます。

4.生活保護受給中の引越し費用

生活保護受給中の引っ越し費用は、現在の住居での生活に支障がない場合や個人的な理由の場合、全額自己負担です。しかし、住宅に関する深刻な悩みや問題解決に引越しが必要と認められた場合は、引越し費用(初期費用)の受給が可能です。※1

①引越し費用の支給条件

引越し費用が認められる条件は18項目あり、いずれかに該当する場合に受給が可能になります。※2

・病院から退院する際に、住居がない場合

・現在の住居が住宅扶助の基準を超えているため、指導により引越す場合

・都市計画などの立退きが強制されている場合

・社宅から転居する必要がある場合

・社会福祉施設などから退所する際に、住居がない場合

・無料低額宿泊所から住居での生活に移行する場合

・住宅の管理者からの不当な強要により、転居が必要な場合

・通勤に問題があり、引っ越しにより健康の維持や収入の増加が見込める場合

・自然災害や火災で住居に住めなくなった場合

・老朽化、破損で住居に住めなくなった場合

・世帯人員に対して狭い住居の場合

・身体障害者や高齢者、病状に住居の構造や設備が適さない場合

・親戚や知人の家から転居が可能になった場合

・賃貸の契約更新継続できない場合

・離婚などで転居が必要な場合

・介護を受けるための転居の場合

・グループホームなどの施設にやむを得ず入居する場合

・犯罪被害(ストーカー)や虐待、DVにより、命に関わる転居の理由がある場合

②支給される引越し費用の種類

引越し費用として支給される費用は以下の6種類です。受給できる条件は、福祉事務所からやむを得ない費用として認定された場合です。※3

1-引越し費用の種類

・保証料

・敷金

・礼金

・権利金

・火災保険料

・不動産手数料(仲介手数料)

2-やむを得ない理由とは

やむを得ない理由は、以下の4つの条件すべてを満たす必要があります。

・居宅での生活が可能な場合
・敷金が不要な物件が確保できない場合

・生活保護制度以外の制度を活用しても敷金が確保できない場合

・6ヶ月以上同一の住居に住むことが見込まれる場合

部屋探しは、敷金や礼金が不要な住居を探すことが前提です。しかし、条件にあう物件がみつからない場合も想定されているため、やむを得ない場合は、ケースワーカーに相談しましょう。


また、行政と連携した支援法人に相談するなど、生活保護以外の支援や相談窓口を利用することもおすすめです。

※1参考文献:荘村明彦『生活保護手帳2023年度版』(中央法規出版、2023.10.30)p.343-345

※2参考文献:荘村明彦、前掲書p.343-345

※3出典:荘村明彦、前掲書p.345

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