生活保護受給中の法的なトラブルには、どのように対応すれば良いのでしょうか。今回は、生活保護を受給していても利用できる弁護士の法律相談についてご紹介します。

1.弁護士は生活保護の相談も聞いてくれる?

生活保護に関する相談は、住居のある地域を管轄する福祉事務所や自治体の生活支援窓口を利用することが一般的です。しかし、生活保護受給中の法的なトラブルや生活保護の代理申請など、専門的な助言が必要なケースでは、弁護士への相談も選択肢になります。

①生活保護受給中の法的なトラブル

生活保護受給中に法的なトラブルがあった場合には、弁護士に相談することが可能です。

例えば、生活保護の申請が不適切に拒否された場合や受給中の権利侵害があった場合は、弁護士にトラブルの解決を依頼できます。※1

②生活保護の代理申請

生活保護を受給する本人が高齢者で親族がいないなど、申請が困難な場合は、弁護士による代理申請が可能です。しかし、生活保護の申請は、受給する本人か扶養義務者、同居の親族による手続きが原則です。そのため弁護士が代理申請するには、申請権を持つ本人、扶養義務者、同居の親族いずれかが、申請の意思を示して依頼する必要があります。※2

※1出典:東京弁護士会「生活保護相談」参照:2024.05.23

2.生活が困窮したときに弁護士を利用するケース

生活が困窮した際に弁護士が必要になる法的トラブルのケースとして、借金が挙げられます。借金の返済に関するトラブルは、「法テラス」で弁護士に債務整理を依頼することで解決します。

①法テラスとは

法テラスの正式名称は「日本司法支援センター」です。総合法律支援法に基づいて2006年4月に設立されました。法テラスは、日本の国民に対する総合的な法律支援を目的としている機関です。※1

1-法テラスの法律支援

法テラスは、全国に設置されており、無料での法律相談が可能です。法テラスでは、相談者が必要とする制度や弁護士の紹介、手続きの案内などの情報提供を行います。

また、相談者に経済的な余裕が無い場合は、問題解決にかかった弁護士費用を法テラスが立替えます。

2-債務整理に必要な書類

法テラスで弁護士を紹介され、債務整理をする際には、債権者が分かる書類や本人名義の預貯金通帳、キャッシングに使用したカード類、直近の家計の状況が分かる家計簿などが必要になります。事前に担当の弁護士に必要な書類を聞いておくと相談がスムーズになります。※2

②生活保護受給中の債務整理

生活保護受給中は、選択できる債務整理が限られます。生活保護を受給している場合は、生活保護費での借金の返済が認められていないため、返済がない「自己破産」を選択することが一般的です。

負債金額が少ない場合、ケースワーカーから自己破産以外の指導が入ることがあります。
生活保護受給中であれば、まずはケースワーカーへ相談し、指示を仰ぐようにしましょう。

※1出典:法務省「Vol.7 ~法テラスって、どういう法人なの?~」参照:2024.05.23

※2出典:法テラス「債務整理について相談に行く際は、どのような資料を持参するとよいですか。」参照:2024.05.23

3.弁護士費用は生活保護費から払うのか

生活保護受給者が弁護士費用を支払う場合、その費用は通常、生活保護費から直接支払うことはありません。生活保護受給者は法テラスを利用することが一般的なため、民事法律扶助制度が適用され、弁護士費用の支払いは猶予か免除となります。※1

①民事法律扶助制度とは

法テラスによる法律問題の解決では、相談者が経済的に困難な状況にある場合、弁護士費用や裁判費用の立替えを行う民事法律扶助制度が利用できます。民事法律扶助制度によって、生活保護受給者も弁護士費用を負担することなく法的支援を受けることが可能です。

②生活保護受給中の返済猶予と免除

生活保護受給中に法テラスを利用した場合の返済は、猶予、免除されます。猶予と免除の違いは、法テラスに依頼した事案(事件)の期間によります。依頼した事案が解決するまでの期間は返済が猶予されます。事案が解決した時点で生活保護を受給している場合は、申請することで免除されます。※2

※1出典:東京弁護士会「生活保護相談]Q9 参照:2024.06.04

※2出典:法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」参照:2024.05.23

4.弁護士に依頼するときはどこに行けばいい?

生活保護受給中に法的トラブルを弁護士に依頼する場合は、以下のような場所で相談が可能です。

①法テラス

法テラスは、各都道府県に設置されています。主要都市に設置されているケースが多いため、遠方の場合は公式サイトにアクセスしましょう。メール、チャットが利用できるほか、電話での相談も可能です。

②各自治体の相談窓口

各自治体が設置する無料相談窓口を利用することも可能です。相談窓口は、福祉センターや市役所などに設置されており、30分程度の時間制限はありますが、弁護士に無料で相談することができます※1

③弁護士会の無料法律相談

弁護士会の法律相談は基本的に予約制で有料のケースが多くなりますが、無料相談会や無料の電話相談などの受付をする場合があります。

また、生活保護を受給する理由として、借金の返済や家賃の支払いが負担となり困窮するケースが挙げられますが、債務整理や賃貸住宅に関する相談は通常の法律相談でも無料になる場合があります。一例として神奈川県では債務整理に関する相談は無料で行っています。各県や地域の弁護士会の公式サイトで、相談内容や料金を確認しましょう。※2

※1出典:さいたま市「市民相談」参照:2024.05.23

※2出典:神奈川県弁護士会「法律相談料金について」参照:2024.05.23

5.生活保護のお悩みはリライフネットへ

リライフネットは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県を対象に、生活が困窮している方への総合的な支援を行っています。リライフネットの運営法人は東京都が指定している居住支援法人です。そのため行政・不動産事業者・職業紹介事業者・NPO・ボランティア団体と連携した、迅速で的確な支援が可能です。

家賃が払えない、住居からの退去を求められている、家を失ってしまった、そのような場合にはリライフネットにご相談ください。独自のネットワークによって最短で、ご相談翌日にはマンションやアパート、個室の住居を提供します。また、当面の生活費、生活保護の申請、生活の再建をサポートします。

生活や住居、生活保護や法テラスを利用するべきかどうかなど、お困りや不安がある場合は、お気軽にリライフネットにご相談ください。

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