生活や金銭的に困窮すると、家賃の支払いは大きな負担となります。低額で住居代わりに使用できる場所があれば、そこに住みたいと思う人も多いのではないでしょうか。今回は、家賃よりも低額で利用できる宿泊場所について紹介します。
1.低額で住居代わりに過ごせる場所とは
住む場所がない場合に住居代わりに使用される施設として、無料低額宿泊所、簡易宿泊所、ネットカフェが挙げられます。
ここではそれぞれの施設について説明します。
①無料低額宿泊所
無料低額宿泊所は、社会福祉事業の一つとして全国に設置されている宿泊施設です。生活が困窮した場合や生活保護を受給している場合に、低額、もしくは無料で利用することが可能です。
②簡易宿泊所
簡易宿泊所は、都道府県知事の許可を得て運営されています。無料低額宿泊所との違いは、一般の人も宿泊が可能な点です。宿泊料金が低額なため、一般客が旅行などの宿泊費を抑えることを目的に利用するケースも多くみられます。
③ネットカフェ
ネットカフェは、長時間のインターネットや漫画を楽しむことを目的としたカフェです。一般的なネットカフェは24時間営業も多く、夜間も利用できることが特徴です。料金は店舗やプランにもより変わりますが、1時間数百円程度に設定されています。パック料金などもあり、一晩利用しても2千円前後と低価格で利用できます。
しかし、ネットカフェは住居として利用することを前提としたサービスではないため、会員規約に定められた範囲以上の利用は避ける必要があります。
2.無料低額宿泊所とは

無料低額宿泊所は、社会福祉法第2条第3項(※1)に定められた第2種社会福祉事業によって全国に設置されている施設です。無料低額宿泊所は生活困難者のために開設されるため、料金は低価格か無料に設定されており、簡易的な住居として宿泊施設が提供されます。
無料低額宿泊所の定義
無料低額宿泊所は以下のいずれかに該当し、利用料が生活保護制度の住宅扶助基準額以下であることが求められます。※2
- 利用者が生活困難者であること
- 無料低額宿泊所の入居者の約半数以上が生活保護受給者で、入居の契約が賃貸借契約以外の契約であること
- 無料低額宿泊所の入居者の約半数以上が生活保護受給者で、利用料、共益費以外の料金を受領し、食事などのサービスを提供している場合
※1出典:e-GOV「社会福祉法」参照:2024.06.26
※2出典:東京都福祉局「無料低額宿泊所(宿泊所)とは」参照:2024.06.26
3.どのようなサービスがあるのか

無料低額宿泊所では、簡易的な宿泊施設が住居として提供されます。厚生労働省の令和2年時点での調査では、すべての宿泊施設で食事の提供が行われていますが、宿泊施設によってその内容は異なります。※1
①無料低額宿泊所の基本的なサービス
無料低額宿泊所の基本的なサービスは、住居として使用できる簡易的な宿泊施設の提供です。宿泊施設によっては、宿泊以外のサービスが実施されている場合があります。
1-宿泊施設の提供のみ
基本サービスは、宿泊施設の提供のみです。居室の種類は、全室個室の施設や、個室と個室以外の居室が混在する施設、個室外の居室のみ施設などがあります。
2-宿泊施設と食事の提供
基本サービスに宿泊施設と食事の提供が含まれます。食事の提供方法は施設によって異なり、3食の提供、2食の提供、1食の提供、食材のみの提供などのケースがあります。
3-宿泊施設、食事、相談サービス
基本サービスは宿泊施設と食事の提供ですが、そのほかに生計や就労などの相談やサポートが受けられます。
②無料低額宿泊所の料金
無料低額宿泊所では、宿泊施設の提供自体は無料です。しかし、生活する上で必要になる食費や水道光熱費などは支払うケースが多くなります。支払う費用の項目や金額は施設ごとに異なります。
1-食事の料金
食事を提供する施設の場合、食事料金は1ヵ月あたり平均31,960 円となっています。
2-水道光熱費などの料金
宿泊施設で生活する際に使用する光熱水費、日用品費、共益費、生活支援費などは、1ヵ月あたり平均 22,133 円です。
※1出典:厚生労働省「無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について(令和2年調査)」pp.4-5.参照:2024.06.26
4.無料低額宿泊所のメリット・デメリット

無料低額宿泊所は、メリットとデメリットを比較し、必要に応じた選択をすることがおすすめです。
①無料低額宿泊所のメリット
無料低額宿泊所のメリットは、無料で住居が提供されることです。また、現在は大半の施設で、食事の提供もあるため、住居と食事という最低限の生活は守ることが可能です。住居を失ったなどの緊急時には無料低額宿泊所を利用し、生活保護の申請をしましょう。
無料的額宿泊所の利用条件は「生活に困窮していること」です。誰でも生活が困窮し住居が必要になった場合に利用できます。
②無料低額宿泊所のデメリット
無料低額宿泊所のデメリットは、施設のある場所が住所となるため、勤務先から遠いなどの理由で困る場合があります。また、簡易的な宿泊施設のため、部屋が狭く個室が少ない場合や、トイレなどの水回り設備が共同などのケースが多くなります。
5.賃貸住宅とどちらが良いのか
賃貸住宅と無料低額宿泊所を比較した場合どちらが良いのでしょうか。基本的には、利用の目的で使い分けることがおすすめです。無料低額宿泊所は短期間の利用が適しています。長期間の住居として利用を考えている場合は、賃貸住宅の方がメリットが多く自由度が高いと言えます。
①無料低額宿泊所は短期間の滞在がおすすめ
無料低額宿泊所は、一時的な滞在に適した宿泊施設です。個室の居住スペースは、6畳前後と一般的に狭い傾向があり、浴室やトイレが共同のケースも多いため、プライバシーの面で精神的な負担を感じる可能性があります。また、食事が提供される場合、毎月固定で食費を支払う必要があり、食事内容も自由に選ぶことができません。食事の自由度が下がることがストレスに感じる人も多いのではないでしょうか。そのため無料低額宿泊所は、生活保護の申請期間中に利用するなど、短期間の利用が目安となります。
②賃貸住宅は長期間の住居におすすめ
賃貸住宅のメリットは、住む場所、広さ、間取りが、自分の理想に合う物件を探すことができる点です。予算との兼ね合いを考える必要がありますが、ある程度の自由があります。賃貸住宅の多くは住居としてのプライバシーが守られているため、自由と安心感があることもメリットです。
③生活を再建するには
家を失い生活が困窮した際に、生活を再建するおすすめの方法は、「生活保護の受給」と「生活保護の範囲内での賃貸物件利用」です。
1-生活保護の申請
生活保護の申請は、住所がない(住居がない)状態でも可能です。例えば、ネットカフェで1週間ほど過ごしている場合、主に利用しているネットカフェを住所として扱い、申請することができます。家を失ってしまった場合には、最寄りの福祉事務所へ相談します。
2-生活保護の受給
生活保護の申請は住所がない(住居がない)状態でも可能ですが、生活保護費を受給する際には、無料低額宿泊所をはじめとしたいわゆる「施設」への入居を指導される場合があります。
3-生活保護の受給後に賃貸物件を探す
生活保護の受給が開始された後は、生活保護の住宅扶助の範囲内で賃貸物件を探すことも可能になります。無料低額宿泊所から賃貸物件へ移りたい場合は、ケースワーカーに相談することから始めます。
4-居住支援と生活保護申請のサポートを利用する
現在は、住居支援と生活保護の申請サポートを並行して実施する法人に相談する方法もあります。この場合は、生活保護の受給を待たずに、先に住居を確保することが可能です。
リライフネットは、行政・不動産事業者・職業紹介事業者・NPO・ボランティア団体などと連携しているため、最短で相談翌日にはマンションやアパートを提供しています。住宅を確保した後に生活保護の申請サポートを受けて申請することもでき、効率良く賃貸住宅への入居と生活保護の受給手続きを進めることが可能です。
6.生活保護のご相談はリライフネットへ
今回は、生活が困窮した場合に利用できる無料低額宿泊所についてご紹介しました。無料低額宿泊所はプライバシーが守られにくい部分があるため、利用を迷っている方も多いのではないでしょうか?
リライフネットでは関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。また、生活保護の申請サポート、生活保護に関する各種ご相談に対応しています。お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料で相談が可能です。
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