生活保護受給中に仕事をしても良いのか疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、生活保護受給中に仕事をする際の注意ポイントや、仕事探しに役立つ支援、収入が増加した際の手続きまでを解説します。
1.生活保護受給中に仕事をすることはできるか

生活保護受給中でも仕事をすることは可能です。
生活保護制度は、日本の国民の生活が困窮した場合に最低限の文化的で健康な生活を守るための制度です。(※)また、生活保護制度は、このような緊急時の受け皿としての役割とともに、生活を立て直すためのサポートの役割も持ちます。そのため生活保護制度では生活保護受給中に就労することが奨励されており、仕事をすることは問題ありません。しかし、就労する際には注意すべきポイントがあります。
①生活保護受給中に仕事をする際の注意ポイント
生活保護受給中に仕事をする際の注意ポイントは、以下の2つです。
1-収入を報告する
生活保護受給中は、すべての収入を報告する義務があります。仕事をして収入を得た場合には、ケースワーカーや福祉事務所にその都度速やかに報告しなければなりません。収入を報告しない場合不正受給となるため、必ず報告しましょう。
2-収入が増えると生活保護費が減額される
生活保護費は、厚生労働省の基準により世帯ごとに必要な金額が厳密に計算されており、最低生活費として決められています。そのため生活保護制度では、最低生活費以上の支給は原則ありません。そのため仕事を始めて収入が増えると、収入として認定された金額が生活保護費から減額されます。
3-収入認定の計算方法
仕事をして収入が増えた場合、以下の方法で算出された収入認定額が、翌月の生活保護費から減額されます。勤労によって得た収入の場合の収入認定額は以下の計算方法で算出されます。※2
過去3ヶ月間の平均収入-勤労控除-実額控除=収入認定額
※1出典:厚生労働省「生活保護制度」参照:2024.06.27
※2出典:新宿区「生活保護について」参照:2024.06.27
2.生活保護受給中に仕事を探す方法

生活保護受給中に仕事を探す場合は、ケースワーカーや福祉事務所に就労のための活動を開始することを報告してから始めます。生活保護には、就労するための支援があるため、必要な支援は申請することで利用できます。
①生業扶助で資格を取得する
生業扶助とは、生計を維持するための事業を行うために必要な資金(生業費)や技能を修得するために必要な費用(技能修得費)を対象とした扶助です。
生業費は47,000円以内ですが、技能修得費は87,000円以内で必要と認められた金額が支給されます。取得したい資格がある場合には、ケースワーカーや福祉事務所に相談します。技能修得費には、資格取得のための交通費も実費が加算されるため合わせて申請しましょう。※1
②就労支援プログラム
生活保護受給者へ向けた支援プログラムを利用することも可能です。※2
1-生活保護受給者等就労支援事業
生活保護受給者等就労支援事業は、生活保護とハローワークが連携し就労をサポートします。就労の意欲が高い場合に就労支援プ ランを作成して支援する事業です。この事業を活用し、求人の募集に応募するなど、仕事を探すことが可能です。
2-福祉事務所における就労支援員を活用した就労支援プログラム
福祉事務所の就労支援員によるサポートが得られます。具体的には、履歴書の書き方や面接の練習などがあり、自治体ごとにプログラムの内容は異なります。就労や就職活動自体に不安がある場合に選択できます。
※1参考文献:荘村明彦(2023.10.30)「生活保護手帳」中央法規出版(p352)
※2出典:厚生労働省「生活保護受給者に対する就労支援」参照:2024.06.27
3.給与はどのように申告するのか

仕事の給与を受け取った場合は、速やかに収入を報告する必要があります。申告方法は自治体ごとに若干異なります。方法が分からない場合は、できるだけ早くケースワーカーに報告し、申告方法を確認しましょう。基本的な申告方法は以下のようになります。※
①収入申告書を記入する
収入申告書は福祉事務所や自治体の福祉課などで受け取ります。現在は、インターネットでダウンロードできる場合もあります。
②給与明細を貼付する
収入を証明する書類を添付します。自治体によっては専用の貼付用紙や給与内容を記載する用紙が用意されている場合もあります。
③福祉事務所に提出する
福祉事務所やケースワーカーに提出します。
※出典:松山市「生活保護での収入申告書」参照:2024.06.27
4.仕事に必要なものは生活保護費で賄える?

仕事に必要な物を揃えるための費用は、生活保護費で賄うことが可能です。該当する扶助は「生業扶助」です。仕事が決まった場合など、必要になったタイミングでケースワーカーや福祉事務所に相談します。
就職先が決定した場合には、就職支度費が33,000円以内で支給されるため、服や靴、バッグなど通勤や就労に必要なものを揃えることが可能です。
しかし、生業費をすでに受給している場合、就職支度費を重複して受給することはできません。※
※参考文献:荘村明彦(2023.10.30)「生活保護手帳」中央法規出版(p362.)
5.退職金の残りや失業保険受給中に生活保護は受給できるか

退職金が手元にある場合や失業保険受給中に、生活保護を受給できるかどうかは金額によります。生活保護の受給は、活用できる資産やあらゆる制度による給付がないことが条件(※)のため、退職金が手元にある場合は、生活保護の申請が通らず、受給できない可能性が高いといえます。
同様に毎月支給される失業保険の金額が、厚生労働省の定める最低生活費の金額を超える場合は、生活保護の申請が通らない可能性が高くなります。
すでに生活保護を受給していて、退職金や失業保険の受け取りがあった場合は、速やかに収入として、ケースワーカーや福祉事務所に報告する必要があります。増えた収入を世帯の収入に加算した金額が、最低生活費よりも少ない場合は不足分が受給できます。しかし、収入が最低生活費を超える場合は、生活保護の停止や廃止が検討されます。
※出典:厚生労働省「生活保護制度」参照:2024.06.27
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