生活保護受給中は、金銭管理と報告が欠かせません。ケースワーカーへの収入報告は義務のため、報告しないと不正受給となる可能性があります。今回は、ケースワーカーへの報告も含めた、生活保護受給中の金銭管理についてご紹介します。

1.ケースワーカーとは?

ケースワーカーとは、生活保護受給者の生活状況や病気やケガなどのケースに応じた支援を行う担当職員です。ケースワーカーは、状況確認のための面談や生活保護の実施にかかわる手続き、生活保護受給中の相談窓口となります。※

①問題を抱える人との面談

生活が困窮した場合に生活保護を希望する人は、福祉事務所で申請についての相談をすることになります。その際の面談担当者がケースワーカーです。

ケースワーカーは、面談によって相談者の抱える問題点を整理し、問題解決に必要な支援を説明した上で手続きを案内します。

②地区担当ケースワーカー

面談のケースワーカーによる説明と手続きが完了すると、生活保護受給者が住む地区を担当するケースワーカーに状況が引き継がれます。

地区担当ケースワーカーは、生活保護受給者のさまざまなケースに対応するため、定期的な家庭訪問や面談を継続します。生活保護受給中の生活状況の変化や実態を把握し、必要に応じた支援手続きを実施することも重要な役割です。

生活保護受給中の各種手続きや、状況の変化を記録し、随時報告書の作成も行います。

※出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「福祉事務所ケースワーカー」参照:2024.07.04

2.生活保護受給中の適切な金銭管理方法

生活保護受給中は、適切な金銭管理が求められます。

生活保護制度は、国民が困窮した際に、最低限の文化的で健康な生活を守るためのセーフティーネットとして機能する制度です。そのため必要以上に生活保護費を受け取るなど、最低限の生活を守るという制度の目的に反するような利用は認められていません。そのため、世帯の収入に関しては、不正受給を防止するための報告義務があります。

①不正受給の防止

生活保護受給中の収入の変化は、随時ケースワーカーや福祉事務所に報告する義務があります。虚偽の報告は不正受給となり、生活保護法第85条によって処罰されます。※1

正しい金銭管理で、正確な収入を報告しましょう。また、適切な金銭管理は、生活を立て直す上でも重要です。

②金銭管理の方法

1-金銭管理は世帯で行う

生活保護費は世帯の収入で算出されるため、金銭管理も世帯で行う必要があります。見落としがないよう家族間で、収入と出費の金銭管理を共有しましょう。

2-現金以外も報告

商品を購入する際のポイント還元やキャッシュバックサービスも収入として認定されるケースがあります。判断が難しいため、ケースワーカーに相談することをおすすめします。※2

※1出典:e-GOV「生活保護法」第85条(罰則)参照:2024.07.04

※2出典:中央法規出版「生活保護手帳 別冊問答集 2018 年度版」p.4(別冊問答18_追補_20190513)参照:2024.07.04

3.ケースワーカーが行う生活保護者への金銭管理

生活保護では、原則、生活保護受給者が自分自身で金銭管理を行いますが、以下のようなケースでは、ケースワーカーや福祉事務所が生活保護受給者の金銭管理のサポートをする場合があります。※

①計画的な利用ができない場合

生活保護受給者が、計画的に生活保護費を使用できない場合は、ケースワーカーや福祉事務所が金銭管理のサポートをする場合があります。ギャンブルに生活保護費を使用してしまうなどのケースが該当します。

②病気などが原因で金銭管理ができない場合

脳梗塞の後遺症などで、金銭の正確な管理ができない場合、生活のサポートと合わせて、金銭管理を福祉事務所やケースワーカーがサポートするケースがあります。

③社会福祉協議会が支援するケース

生活保護受給者の状況によっては、社会福祉協議会が日常生活自立支援事業として、金銭管理を行う場合があります。簡易的なサポートを受けても金銭管理ができない場合や、ギャンブルへの依存が強いなどケースワーカーへの負担が大きい場合は、社会福祉協議会や民間の金銭管理業務を行っている団体との連携が検討されます。

※出典:厚生労働省「これまでの議論の整理(案)」p.17参照:2024.07.04

4.ケースワーカーと生活保護受給者との連携方法

生活保護受給中は、ケースワーカーとコミュニケーションを取り、連携することが大切です。

生活保護制度には、日常生活に必要な生活保護費のほか、急な出費に対応するための扶助もあります。それらの扶助で、急な出費があった場合や就労するために資格を取得したい場合、面接に着て行く服や靴、バッグが必要になった際などに申請することで必要な費用を受給できることがあります。必要な費用は利用できる扶助を利用するということも、無理なく金銭管理をする上で重要です。

ケースワーカーと連携することで、適切な金銭管理と生活保護の活用が可能になります。

①連携するための手段

ケースワーカーと連携するためには、いつでも連絡が取れるように連絡手段を持つ必要があります。現在は、連絡手段としてスマホの所有が認められているため、スマホを所有していない場合は、まずケースワーカーにスマホの所有について相談してみましょう。

②相談したいポイントをまとめる

ケースワーカーに相談する場合は、問題点をまとめておきましょう。何で困っているのか、何が必要なのか、どうしたいのかをメモなどに箇条書きすることもおすすめです。

例えば、


  • 大雨が降ると自宅の廊下が雨漏りするため修理をしたい

  • 足が悪く階段が辛いので手すりを付けたい

  • 資格を取得するためのテキスト代や検定料が必要

など、具体的な要望を伝えることで自分の必要なものが明確になるだけでなく、担当ケースワーカーも対応しやすくなります。

③速やかな収入報告

生活保護受給中は、世帯全員の収入申告が義務です。仕事が決まった、子どもがアルバイトを始めた、年金の受給が始まったなど、収入はすべてケースワーカーへ収入申告する必要があります。また、申告方法も各自治体で異なるため、申告方法も把握しておきましょう。記入する書類や同時に提出する書類の規定なども事前に調べておくとスムーズです。

④世帯の人員変化の報告

生活保護受給中は、世帯の人員の変化も随時報告します。子どもが生まれた、就職が決まった、家族が転出した、パートから正社員になったなど、何か変化があった場合も報告します。

⑤奨学金などの収入報告

事前にケースワーカーに相談することで、子どもが奨学金を受けて進学するなどのケースが認められる場合もあります。貸し付けや奨学金など、利用できる制度がある場合は、ケースワーカーに相談し活用しましょう。

5.生活保護のご相談はリライフネットへ

今回は、ケースワーカーと金銭管理についてご紹介しました。リライフネットでは関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。また、本コラムで説明した生活保護受給中の金銭管理に関するご相談や生活保護の申請サポートも行っています。ぜひ、お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料で相談が可能です。

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