生活が困窮していても支援があれば生活を再建できる人も多くいます。今回は、生活困窮者と支援制度について解説します。

1.生活困窮者とは?その定義と現状

生活困窮者という言葉をニュースなどで目にする機会が増えています。しかし、生活困窮者とは具体的にどのような状態の人を指すのでしょうか。ここでは、生活困窮者の定義と現状について解説します。

①生活困窮者の定義

生活困窮者とは、2015年に施行された生活困窮者自立支援法(※1)において、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義されています。具体的には、就労状況や心身の状況、社会との関係性などにより、収入や資産が少なく様々な理由で生活に困窮している人を指します。年収などの数値的な基準はなく、生活保護受給者とは異なります。

②生活困窮者の現状

生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業における新規相談受付件数は、厚生労働省の調査によると新型コロナウィルス流行以前は、24万件前後で推移していました。しかし、新型コロナウィルスの影響を受けた令和2年度には78万件を超え、令和3年度は55万件を超えました。令和5年度に29万件まで減少しましたが、依然として全国で30万人近くの人が生活に困窮しており、相談に訪れています。

自立相談支援事業の新規相談受付件数(※2)

調査年度新規相談受付数
平成30年度237,665件
令和元年度248,398件
令和2年度786,163件
令和3年度555,779件
令和4年度353,095件
令和5年度291,291件

生活困窮に至る理由は、ひとり親世帯、病気やメンタルヘルスの問題による就労困難、高齢による生活管理の難しさ、突発的な出費の発生など多岐にわたります。また生活困窮により住居を失ったり、健康を損なったり、子どもの教育格差が生じるなど、様々な影響が懸念されています。

※1出典:e-GOV「生活困窮者自立支援法」(定義)第3条参照:2024.08.07

※2出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度支援状況調査の結果について」参照:2024.08.07

2.生活困窮者の原因と背景

生活困窮者が増加している背景には、個人的な要因だけでなく、社会構造的な問題も存在します。ここでは、生活困窮に至る具体的な原因と、その背景にある社会的要因について解説します。

①生活困窮者となる具体的な原因

生活困窮に至る原因は多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。

1-ひとり親家庭

未婚、離別、死別などにより、ひとり親家庭となった場合、十分な収入を得ることが難しく、生活困窮に陥りやすい状況にあります。

2-病気やメンタルヘルスの問題

心身の不調により就労が困難となり、収入が減少することで生活が困窮する場合があります。

3-高齢による生活管理の難しさ

高齢により仕事を続けることが難しくなったり、年金だけでは生活費が賄えなかったりすることで、生活が困窮するケースがあります。

4-突発的な出費の発生

病気や事故、災害などにより予期せぬ出費が発生し、生活が一気に困窮する場合もあります。

また、知的障害、精神疾患、慢性身体疾患、借金問題など、多様な問題を複数抱えている人が少なくありません。

②生活困窮者が増加する社会的背景

生活困窮者の増加には、以下のような社会的な背景があります。

1-非正規雇用の増加

バブル崩壊以降の不況により、非正規雇用が増加しました。非正規雇用は一般的に賃金が低く、生活困窮に陥るリスクが高くなります。

2-社会的孤立

地域のつながりの希薄化により、困窮しても支援を求められず、社会から孤立するケースが増えています。

3-教育格差

貧困家庭の子どもは、教育の機会に恵まれず、将来的な貧困のリスクも高くなります。

少子高齢化の進行や経済の低迷なども、生活困窮者の増加に影響を与えています。生活困窮は個人の責任だけでなく、社会構造的な問題として捉え、包括的な支援を行うことが求められています。

まとめ
生活困窮状態に陥る原因は一つではなく、様々な要因が複合的に絡んでいることが多いため、各々に適した解決策を提案し対応していくことが求められます。

3.生活困窮者自立支援制度の概要

生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者自立支援法に基づき、様々な理由により経済的困窮状態にある人々を対象とした包括的な支援を行う制度です。この制度は、生活保護に至る前の段階で早期の支援を行うことを目的としており、以下のような事業を実施しています。※

①自立相談支援事業(必須事業)

自立相談支援事業は、生活困窮者からの相談を受け、一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成し、寄り添いながら自立に向けた支援を行います。ワンストップ型の相談窓口として、関係機関と連携しながら包括的な支援を提供します。

②住居確保給付金(必須事業)

離職などにより住居を失った方や失うおそれの高い方に対し、就職に向けた活動をすることなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給します。

③就労準備支援事業(任意事業)

直ちに一般就労が困難な方に対し、一般就労に向けた日常生活自立・社会自立・就労自立のための訓練を行います。

④一時生活支援事業(任意事業)

住居をもたない生活困窮者に対して、一定期間、衣食住等の日常生活に必要な支援を提供します。

⑤家計改善支援事業(任意事業)

家計に関する問題について、相談、計画の作成、指導、貸付のあっせんなどを行います。

⑥子どもの学習支援事業(任意事業)

生活困窮世帯の子どもに対する学習支援や、保護者に対する養育に関する助言などを行います。

これらの事業を通じて、生活困窮者の自立を多角的に支援することを目指しています。国は必須事業に対して補助を行い、任意事業の実施は各自治体の判断に委ねられています。

※出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)について」参照:2024.08.07

4.支援制度の利用方法と手続きの方法

生活困窮者自立支援制度を利用するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、支援制度の利用方法と、自立相談支援事業の手続きの流れについて解説します。

①支援制度の利用方法

生活困窮者自立支援制度を利用するには、まず自治体の自立相談支援機関に相談することが重要です。自立相談支援機関は、福祉事務所や社会福祉協議会などに設置されています。生活に困っている方なら誰でも相談可能で、プライバシーは守られます。

②自立相談支援事業の手続きの流れ

自立相談支援事業の手続きは、以下のような流れとなります。※

1-相談

自立相談支援機関に電話または直接訪問し、生活の困りごとについて相談します。

2-アセスメント

相談支援員が、相談者の状況や問題点、ニーズを把握し、アセスメントを行います。

3-プラン作成

相談者と相談支援員が一緒に、自立に向けた支援プランを作成します。

4-支援の実施

支援プランに基づき、他の専門機関と連携しながら、就労支援、家計改善支援、住居確保支援など、必要な支援を行います。

5-モニタリング

支援の実施状況を定期的に確認し、必要に応じてプランを見直します。

6-自立

相談者が自立した生活を送れるようになったら、支援を終了します。

自立相談支援事業では、相談者の主体性を尊重しながら、関係機関と連携して包括的な支援を行います。生活にお困りの方は、まずは福祉事務所や社会福祉協議会の自立相談支援機関に相談してみましょう。

※出典:厚生労働省「自立相談支援事業の手引き」参照:2024.08.07

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