今回は、生活保護受給中に賃貸物件を契約する際のポイントを解説します。
目次
1.生活保護受給者が賃貸物件を探すためのポイント
生活保護受給者が賃貸物件を探す際には、いくつかのポイントに留意する必要があります。ここでは、物件選びのコツや、不動産会社との交渉方法などについて解説します。
①住宅扶助の上限額を確認する
生活保護受給者には住宅扶助として家賃補助がありますが、地域や世帯人数によって上限額が決められています。例えば、東京都に住む単身世帯の場合、53,700円が上限額です。※
事前に担当のケースワーカーと相談し、住宅扶助の範囲内で探せる物件の条件を確認しておきましょう。
②保証人や保証会社の利用を検討する
多くの賃貸物件では保証人が必要とされますが、生活保護受給者の場合、保証人を見つけるのが難しいケースがあります。そのような場合は、保証会社の利用を検討するのも一つの方法です。
③不動産会社に事情を伝える
物件の問い合わせや内覧の際には、生活保護受給者であることを正直に伝えることが大切です。生活保護受給者の入居を避けている不動産会社もあるため、事前に伝えておきましょう。
④物件の条件にこだわりすぎない
生活保護受給者向けの物件は限られているため、希望の条件にこだわりすぎると物件が見つからない可能性があります。最低限の条件は決めておきつつも、ある程度柔軟に物件を探すことが重要です。
⑤日程に余裕をもって探す
生活保護受給者は審査に時間がかかるケースが多いため、入居希望日までに十分な余裕をもって物件探しを始めることをおすすめします。ギリギリのスケジュールだと、審査に通らなかった場合の代替物件が見つからないリスクがあります。
生活保護受給者は物件探しに苦労するケースが多いですが、これらのポイントを押さえつつ、ケースワーカーや不動産会社とよく相談しながら進めていくことが重要です。諦めずに根気強く探していけば、必ず良い物件に巡り会えるはずです。
※出典:厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」参照:2024.08.07
2.家賃補助(住宅扶助)の利用と賃貸契約の流れ
生活保護制度には家賃補助として住宅扶助がありますが、その利用方法や賃貸契約の流れについては、十分に理解しておく必要があります。以下に、住宅扶助の利用と賃貸契約の一般的な流れを説明します。
①福祉事務所に相談する
生活保護受給者が引越しを検討する際は、まず担当のケースワーカーに相談し、住宅扶助の上限金額や手続きについて確認します。福祉事務所に引越しを検討していることを伝え、許可を得ることが重要です。
②物件を探す
住宅扶助の上限額を踏まえて、賃貸物件を探します。物件探しの際は、保証人の有無や保証会社の利用可否なども確認が必要です。その際、生活保護を受給中であることも伝えておきましょう。また、高齢や障害など、やむを得ない理由で引越しをする場合は、敷金、礼金、前家賃などの初期費用が一時扶助として支給される場合があります。引越しの理由が、支給条件に該当するかどうかを、ケースワーカーに相談することがおすすめです。
③内覧と申し込み
希望する物件が見つかったら、内覧を行い物件の状態や設備を確認します。ケースワーカーに報告し、許可を得られたら入居申し込みを行います。その際、改めて生活保護受給者であることを伝え、必要書類を提出します。
④審査と契約
入居申し込み後、賃貸人による審査が行われます。審査に通過した後、ケースワーカーへ報告し賃貸借契約を結びます。契約時に、住宅扶助の代理納付の手続きも行う場合があります。
⑤引越しと入居
契約が完了したら、引越しを行います。引越し業者にかかる費用は、一時扶助として支給されます。ケースワーカーに相談した後、複数の業者から見積もりを取って費用を比較し、安い業者を選択することが一般的です。入居後は、毎月の家賃は、生活保護受給者が支払うケースと、福祉事務所から賃貸人へ代理納付されるケースがあります。
住宅扶助を利用した賃貸契約では、福祉事務所との連携が欠かせません。賃貸契約の段階ごとにケースワーカーに許可を得ることがポイントです。手続きに不明点がある場合も、相談しながら進めていくことが大切です。また、物件オーナーや不動産会社とのコミュニケーションも円滑に行い、スムーズな入居を目指しましょう。
3.生活保護受給者向けの引越しに伴う支援とサポート
生活保護受給者が賃貸物件に入居する際には、引越しに伴う様々な手続きや作業が必要になります。ここでは、引越しに関連する支援制度や、サポート体制について紹介します。
①引越し費用の支給
生活保護受給者が引越しをする際、一定の条件を満たせば、引越し費用の一部または全部を住宅扶助として支給してもらえます。例えば、病気で入院していて退院後の住居がない場合や、家賃が生活保護の基準を超えていて住み替えを指導された場合などが対象となります。
引越し費用が支給される条件は現在18項目あります。条件に該当するかどうかを事前にケースワーカーに相談しておきましょう。※1
②原状回復費用は支給対象外
引越しの際の原状回復費用やハウスクリーニング代は支給の対象外です。退去時にこれらの費用が発生する場合は、自己負担となります。しかし、契約時に敷金を支払っていない場合、故意ではない修繕でやむを得ない範囲などの条件を満たすケースでは必要最小限の金額が認められることがあります。ケースワーカーに相談してみましょう。※2
③引越し業者の選定サポート
生活保護受給者向けに、引越し手続きのサポートや申請方法のガイダンスを行っている引越し業者もあります。
生活保護受給者は、これらの支援制度やサポート体制を上手に活用することで、円滑に引越しを行うことができます。引越しを検討する際は、まずは担当のケースワーカーに相談し、利用できる支援について確認することが大切です。
※1出典:荘村明彦『生活保護手帳2023年度版』(中央法規出版、2023.10.30)p.343-345
※2出典:東京都総務局「答申(R4.8.22保護変更決定処分)」p.3-4参照2024.08.07
4.生活保護受給中の賃貸契約後の生活サポート
生活保護受給者が賃貸物件で生活を始めた後も、様々な課題に直面することがあります。ここでは、入居後の生活を支援するための制度や、相談窓口などについて解説します。
①自立相談支援事業による継続的な支援
生活困窮者自立支援制度の中核をなす自立相談支援事業では、生活保護受給者も含めた生活困窮者に対し、継続的な相談支援を行います。住居を確保した後も、就労支援や家計管理支援など、自立に向けた様々な支援を受けることができます。
②居住支援協議会や居住支援法人との連携
居住支援協議会や居住支援法人は、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するための組織です。生活保護受給者の入居後の安定した生活を支えるため、福祉部門と住宅部門が連携し、見守りや生活支援サービスを提供します。
③ケースワーカーによる定期的な訪問・相談
生活保護受給者には、担当のケースワーカーが定期的に家庭訪問を行い、生活状況の確認や相談に乗ります。経済的な問題だけでなく、健康面や家族関係など、様々な悩みを相談することができます。
生活保護受給中は、自立へ向けて支援を活用することがポイントになります。ケースワーカーからの情報や新しい支援制度の情報などを積極的に収集し、必要な時に必要な支援を利用できるようにしておくことが大切です。
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