生活保護を検討している場合、受給条件が気になるのではないでしょうか。生活保護は、日本国民すべてに申請権がある制度です。しかし、誰でも生活保護を受給できるわけではなく、生活保護が必要であると、審査で認められる必要があります。この記事では、生活保護を受給する際に、どのような条件を満たす必要があるのかについて解説します。
1.生活保護制度の基本理念と受給までの流れ
生活保護は、日本の国民の最低限の生活を国が保障する制度です。ここでは、生活保護制度の基本理念と申請までの流れを説明します。
①生活保護制度の基本理念
生活保護制度は、日本国憲法第25条(※1)に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を具体化した制度です。国民の生活が困窮した場合に、最低限の生活を国が守り保障することを目的としています。また、この制度では、単なる経済的支援だけでなく、積極的な自立支援も他の制度と連携して行います。
②申請から受給までの流れ
生活保護の申請から受給までは、主に4つのステップで進みます。まず福祉事務所の窓口で相談し、生活状況を説明します。次に申請書類を提出します。その際には本人確認書類や収入関係の書類が必要となります。その後、福祉事務所による調査が行われ、資産状況や扶養義務者の確認、就労の可能性などが審査されます。申請から原則14日以内(最長30日)で結果が通知され、受給が認められた場合は生活保護費の支給が開始されます。
※1出典:e-Gov「日本国憲法 第25条」参照:2024.11.29
2.生活保護の5つの受給条件とは
生活保護の受給条件は世帯単位で審査されます(※2)。世帯の全員が、以下に解説する5つの条件に該当する必要があります。
①世帯の収入が最低生活費以下であること
世帯の収入の合計が、厚生労働省が定める最低生活費以下であることが基本条件となります。
1-最低生活費とは
最低生活費は、健康で文化的な最低限度の生活を維持するために必要な金額を、厚生労働大臣が定めた基準をもとに計算したものです。現在の住所によって決まる「級地」、受給する人の年齢、世帯人員の構成などをもとに、厳密に計算されます。
2-一人あたりの最低生活費はどのくらい?
例えば、東京23区内に住む60代の独身世帯で、通院などがない場合、最低生活費は13万円程度※3となります。
②活用できる資産がない
生活保護の受給には、原則として活用できる資産がないことが条件です。生活保護申請時の預貯金は最低生活費以下が目安とされます。最低生活費を超える預金がある場合は生活費への充当が求められます。
不動産は売却が基本ですが、居住用の土地・建物の場合は認められる可能性があります。自動車は原則として保有できませんが、障害者の通院や通勤の交通手段がない場合などは例外的に認められます。また、生命保険は解約となります。解約返戻金が少額の場合や、払い済み保険の場合、保有が認められるケースがあります。
③援助できる扶養義務者がいない
民法に定められた扶養義務者からの援助を受けられない状態であることが必要です。福祉事務所は申請者の親族に対して扶養照会を行い、援助の可能性を確認します。ただし、扶養義務者自身が生活困窮状態にある場合や、長年交流がない場合、虐待や暴力があった場合などは、扶養が期待できないと判断され、照会を省略することもあります。
④就労することができない理由がある
病気やケガ、障害、高齢、育児などの理由で働けない場合、または求職活動をしているものの就職できない場合が該当します。就労が可能な場合は、その能力に応じた就労が求められます。病気の場合は医師の診断書が必要です。また、年齢や健康状態に応じて、ハローワークでの求職活動や就労支援プログラムへの参加が求められることがあります。
⑤他の制度や給付金、支援などを利用することができない
生活保護は他の社会保障制度による支援を受けてもなお生活が困窮する場合の最後のセーフティネットです。年金、雇用保険、障害者手当、児童手当など、利用できる制度がある場合は、まずそれらの申請・受給が必要です。また、各自治体の独自支援制度なども優先的に活用することが求められます。利用できる支援制度は、生活保護の申請を相談する際に紹介される場合もあります。
※2出典:厚生労働省「生活保護制度」参照:2024.11.29
※3出典:厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」参照2024.11.29
3.外国人の受給要件
外国人の生活保護は、法律上の直接適用ではなく行政措置として運用されています。2014年の最高裁判決で「外国人は生活保護法の対象外」との判断が示されましたが、人道上の観点から厚生労働省の通知に基づき、必要な保護が継続されています。※4
①外国人で生活保護の対象となる人
生活保護の対象となる外国人は永住者、定住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者、難民認定者などの在留資格を持つ外国人です。
1-永住者
在留期間に制限がなく、日本での活動や就労に制限のない在留資格です。取得には素行が善良で、独立した生計能力があることが条件です。原則として10年以上の在留実績が必要で、安定した収入(年収300万円以上が目安)が求められます。
2-定住者
日本での活動に制限のない在留資格で、一定期間の在留が認められます。インドシナ難民、日系3世、中国残留邦人等の子など、人道的な配慮に基づいて認められた外国人に与えられます。在留期間は1年から5年です。
3-日本人の配偶者
日本人と結婚している外国人に与えられる在留資格です。就労制限がなく、在留期間は1年または3年です。離婚・死別した場合でも、一定の条件下で在留資格の継続が認められる場合があります。
4-永住者の配偶者
永住者と結婚している外国人に与えられる在留資格です。就労制限はなく、在留期間は1年または3年です。配偶者関係が継続している限り更新が可能です。
5-特別永住者
第二次世界大戦以前から日本に居住している韓国・朝鮮半島出身者とその子孫に与えられる在留資格です。在留期間に制限がなく、退去強制事由も限定的です。
6-難民認定者
難民条約に基づいて認定された人に与えられる在留資格で、「定住者」の資格が付与されます。社会保障は日本人と同等の待遇を受け、難民旅行証明書の交付や永住許可要件の一部緩和などの特別な待遇があります。
②生活保護の受給条件は日本人と同じ
支給額や受給条件は日本人と同様の基準で判断され、生活費、住宅費、医療費などが支給されます。ただし、留学生や技能実習生は対象外となっています。
※4厚生労働省「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」参照:2024.11.29
4.生活保護のご相談はリライフネットへ
今回は、生活保護の受給条件について解説しました。
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