生活保護を受給しながら妊娠・出産を迎える場合、医療費や出産費用は出産扶助でカバーされます。この記事では妊婦加算や産婦加算など、様々な支援の内容について解説します。

1.妊娠しても生活保護は受給できるか

生活保護を受給中に妊娠しても、基本的に保護は継続して受給できます。また、妊娠によって必要になる費用は、扶助や加算によって支給されます。

妊婦加算として、妊娠6ヶ月未満では月額9,130円、6ヶ月以上では13,790円が支給されます。出産時には出産扶助制度があり、出産に要する費用は、基準額311,000円以内で支給されます。※1

ただし、これらの支援を受けるためには、妊娠が分かった時点で速やかにケースワーカーに報告し、必要な申請手続きを行う必要があります。また、結婚の有無や相手の収入状況によって受給条件が変わる可能性があるため、早めに福祉事務所に相談することが重要です。

※1出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」pp.6-7参照:2024.12.11

2.妊娠期間中や子供に関する加算

生活保護を受給中の妊婦や子育て世帯には、様々な加算(※2)があります。妊娠期間中から出産後、子育て期間中は、それぞれの状況に応じた経済的支援を受けることができます。

①妊婦加算

妊娠が確認された月から出産月まで支給される加算です。妊娠6か月未満は月額9,130円、妊娠6か月以上は月額13,790円が加算されます。この加算は、妊婦健診の交通費や必要な栄養補給、衣類の購入などに充てることが可能です。

②産婦加算

出産した月から6ヶ月間まで、月額8,480円が加算されます。この期間は産後の体調回復に重要な時期であり、必要な栄養補給や衛生用品の購入、育児用品の準備などに活用できます。

③母子加算

母子加算は、ひとり親世帯に対して支給される加算です。加算額は住んでいる地域で決まる級地によって変わります。1級地の場合は、児童1人に18,800円が加算され、児童が2人の場合は4,800円加算、3人以上は一人増えるごとに2,900円が加算されます。※3

④児童養育加算

中学生以下の子どもがいる世帯に支給される加算です。18歳までの子ども一人につき月額10,190円が加算されます。教育費や衣類費、学用品費など、子どもの成長に必要な費用をサポートする制度として設けられています。※4

※2出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」p.6参照:2024.12.11

※3出典:千葉県「生活保護」:2024.12.11

※4出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」p.6参照:2024.12.11

3.妊娠中に生活保護を受給する時の注意点

生活保護を受給しながら妊娠・出産を迎える場合、様々な支援制度を利用できますが、いくつかの重要な注意点があります。適切な支援を受けるために、事前に確認しておくべきポイントを解説します。

①出産一時金はもらえない

生活保護受給中は、健康保険からの出産育児一時金(42万円)を受け取ることはできません。これは生活保護制度の出産扶助が優先されるためです。出産扶助では、分娩費用、入院費用、新生児の衣類や衛生用品など、出産に必要な費用が現物給付として支給されます。ただし、出産扶助は事前申請が必要で、指定された医療機関での出産が条件となります。

②申請しないと扶助を受けることはできない

妊娠が分かったら、速やかにケースワーカーに報告する必要があります。妊婦加算や出産扶助などの支援は、自動的に開始されるわけではなく、必ず申請手続きが必要です。また、母子手帳の写しや出産予定日の証明書など、必要書類の提出も求められます。申請が遅れると、さかのぼっての支給は原則として認められないため、早めの手続きが重要です。

③シングルマザーか結婚かで条件が異なる

シングルマザーの場合は、母子加算や児童扶養手当など、追加の支援を受けられる可能性があります。一方、結婚している場合は、配偶者の収入や資産状況によって受給条件が変わることがあります。また、事実婚の場合も、同居している相手の収入が審査対象となります。状況に応じて利用できる支援制度が異なるため、正確な申告が必要です。

④国や自治体の助成金が収入認定される場合がある

妊娠・出産に関連する様々な助成金や給付金は、原則として収入認定の対象となります。例えば、出産祝い金や子育て支援給付金などは、収入として扱われ、保護費が減額される可能性があります。ただし、使途が限定されている給付金や、一時的な臨時給付金は収入認定から除外される場合もあるため、事前にケースワーカーに確認することが重要です。

4.必要書類と申請

生活保護の申請や受給中に妊娠した場合、適切な支援を受けるためには必要な書類の準備と手続きが重要です。状況に応じて必要な書類と申請方法を確認しましょう。

①妊娠が発覚してから申請する時に必要な書類と申請

生活保護の申請には、印鑑(原則ゴム印以外)、身分証明書、マイナンバーカードの基本書類に加え、妊娠に関する書類が必要です。母子健康手帳または医師による妊娠証明書、出産予定日が分かる書類を用意します。申請書は福祉事務所にありますので、書類が全て揃っていなくても、まずは相談に行くことが重要です。※5

②生活保護受給中に妊娠した際に必要な書類と申請

妊娠が分かったら、速やかにケースワーカーに報告し、妊婦加算の申請を行う必要があります。必要な書類は、母子健康手帳の写しと出産予定日の証明書です。また、出産扶助を受けるための申請も必要で、指定医療機関での出産を予定する必要があります。妊婦健診の費用補助を受けるためには、保健指導票の申請も必要です。これらの申請は必ず事前に行う必要があり、さかのぼっての適用はできません。※6

※5出典:北海道伊達市「入院助産制度」参照:2024.12.11

※6出典:町田市「経済的にお困りの妊産婦の方へ」参照:2024.12.11

5.妊娠・出産と生活保護制度

妊娠中や出産にかかわる経済的困窮は、生活保護の対象となる正当な理由の一つです。特に以下のような状況では、積極的に制度の利用を検討しましょう。

①働けない場合の支援

妊娠により体調が悪く就労が困難な場合や、出産を控えて働くことができない状況で生活が困窮した場合、生活保護を申請することが可能です。収入が最低生活費を下回っている場合は、その差額分が支給されます。

②頼れる親族がいない場合

親族に扶養能力がない場合や、DVや虐待の経験がある場合は、親族への扶養照会を省略して生活保護を受給できることがあります。シングルマザーになる場合は、母子加算など追加の支援を受けられる可能性もあります。

③子どもを産み育てる家がない場合

生活保護を受給するためには住居や生まれた子どもと暮らす家がない場合は、住居の支援や生活保護申請のサポートを行う信頼できる支援法人を頼りましょう。

6.生活保護のご相談はリライフネットへ

生活保護では、妊娠出産に必要な費用が受給できます。また、生活保護の受給に必要な住居がない場合は、リライフネットへご相談ください。住居を確保した後に、生活保護の申請サポートも可能です。

リライフネットでは、関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。行政・不動産事業者・職業紹介事業者・NPO・ボランティア団体などと連携しているため、住居が今すぐ必要な方に、迅速な住居提供とサポートが可能です。

生活保護受給中の疑問、妊娠中に頼れる人がいない、妊娠して働けなくなった場合など、お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料で電話、メール、LINEでの相談が可能です。

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