失業により生活に困窮した場合、生活保護が最後のセーフティネットとなります。本記事では、失業した際に生活保護を受給できる条件と、申請から受給までの流れを詳しく解説します。

1.収入が最低生活費を下回れば生活保護は受給できる

生活保護制度は、厚生労働省の定める最低生活費を収入が下回る場合に生活保護費を受給できる制度です。最低生活費は住居のある地域や世帯の構成によって異なり、例えば、東京都23区内での50代一人暮らしの場合は13万円が基準となります。

ただし、収入が最低生活費を下回るだけでは受給できません。生活保護を受けるには、以下の条件も満たす必要があります。

  • 利用し得る資産を活用してもなお最低生活費を下回る場合
  • 働ける状況であれば求職活動をすること
  • 親族からの支援を受けられない状況であること
  • 年金など他の制度を最大限活用していること

なお、すでに働いている場合でも、収入が最低生活費を下回れば生活保護を受給できます。その場合、最低生活費から収入分が差し引かれた差額が支給されます。

2.生活保護と失業保険の違い

生活保護と失業保険は、どちらも生活困窮時のセーフティネットですが、その目的や受給条件は大きく異なります。生活保護は最低限度の生活を保障する制度であり、失業保険は働く意思のある人の再就職を支援する制度です。

①生活保護とは

生活保護は、憲法第25条に基づく国民の生存権を保障するための制度です(※1)。収入が最低生活費を下回り、働く能力がない場合や、働いても十分な収入が得られない場合に利用できます。受給にあたっては、預貯金や資産の使い切り、親族からの援助が受けられないことなどの要件を満たす必要があります。支給額は世帯構成や居住地域によって変わる級地によって算出され、医療費や住宅費なども含めた包括的な支援を受けられます(※2)。

②失業保険とは

失業保険(正式名称:雇用保険)は、働いている期間に保険料を支払い、失業した際に給付を受ける制度です。会社を退職した理由や加入期間によって給付期間が決まり、原則として離職前の賃金の50~80%が支給されます(※3)。在職中に一定期間以上保険料を納付していることが条件で、自己都合退職と会社都合退職で給付内容が異なります。また、求職活動を行うことが給付の条件となっています。

※1出典:e-GOV「日本国憲法」第25条 参照:2024.12.12

※2出典:厚生労働省「生活保護制度」参照:2024.12.12

※3出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」参照:2024.12.12

3.生活保護受給の条件

生活保護を受給するためには、複数の5つの要件を同時に満たす必要があります。

①世帯収入が最低生活費以下である

世帯の総収入が、厚生労働省が定める最低生活費を下回っていることが基本条件です。最低生活費は地域や世帯人数、年齢構成によって異なり、例えば東京都23区内の50代単身世帯では約13万円が基準となります。

②家族や身内からの援助が受けられない

民法に定められた扶養義務者(親、子、兄弟姉妹など)からの援助を受けることができない状況であることが必要です。福祉事務所が扶養義務者の扶養能力を調査し、援助の可能性を確認します。

③資産を生活費として利用しても生活できない

預貯金、不動産、生命保険、自動車などの資産を活用しても生活を維持できない状態であることが求められます。ただし、日常生活に必要な家具や衣類などは保有が認められます。

④働くことができない状態である

病気やけが、高齢、育児などの理由で働けない、または働いても十分な収入を得られない状態であることが条件です。働ける状態の場合は、積極的な求職活動が求められます。

⑤他に利用できる制度を最大限利用しても生活ができない

年金、障害手当、児童手当など、他の社会保障制度を優先的に活用してもなお、生活を維持できない状況であることが必要です。これらの制度の申請や受給が優先されます。

4.失業中に生活保護を受給する際のポイント

失業中に生活保護を申請する場合、失業保険や退職金の取り扱いが重要なポイントとなります。これらの収入や資産は生活保護の受給要件に大きく影響するため、事前に確認が必要です。

①失業保険は収入になる

生活保護受給中の失業保険は収入として計算されます。生活保護費は最低生活費から収入を差し引いた金額です。失業保険を受給している場合はその分だけ生活保護費が減額されます。例えば、失業保険が7万円、最低生活費が12万円のケースでは、生活保護費は5万円となります。

②退職手当は資産になる

退職金は生活保護の申請時に資産として扱われます。生活保護を受給するためには、原則として退職金を生活費として使い切る必要があります。しかし、最低生活費を下回る金額であれば、保有が認められる場合があります。各自治体の判断にもよるため福祉事務所に相談して適切な対応を確認しましょう。

5.失業中に生活保護を申請する方法

失業した際に生活保護を申請する場合、居住地の福祉事務所で手続きを行います。

①相談員と面談

生活保護の申請をする際は、最初に担当の相談員との面談が行われます。面談では現在の生活状況や困窮理由、就労の可能性、親族からの援助の可能性などについて詳しく聞かれます。相談に使用することがあるため、可能な範囲で、以下に説明する申請に必要な書類を持参しましょう。

②申請に必要な書類

申請に必要な書類には、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)、離職証明書、預貯金通帳、健康保険証、年金手帳などがあります。また、家賃や公共料金の領収書、医療費の明細なども必要です。

③福祉事務所で申請を行う

居住地を管轄する福祉事務所で申請書を提出します。申請書には世帯の状況、収入、資産状況、親族の状況などを記入します。申請書の提出時に、準備した書類も一緒に提出します。この時点で、生活保護の申請日が決定されます。

6.失業と生活保護に関する疑問

失業に直面した際の申請のタイミングや失業保険との関係、住所の問題など、重要なポイントについて解説します。

①失業前に生活保護申請はできるのか

来月から収入がゼロになることが確定している場合でも、現在最低生活費を上回る収入がある場合は、生活保護申請はできません。生活保護は現に生活に困窮している状態にある人を対象とする制度のため、実際に収入がなくなってから申請する必要があります。ただし、事前に福祉事務所で相談することは可能です。

②失業保険待機期間中だけ生活保護を受給することはできるのか

失業保険の待機期間中でも、生活に困窮している場合は生活保護を申請できます。ただし、退職金がある場合はまずそれを生活費として使用することが求められます。また、失業保険が開始されると、その給付額は収入として計算され、生活保護費が調整されます。

③社員寮からの引っ越す場合に住所がなくても申請できるのか

生活保護の申請時は住所がなくても可能です。一時的にネットカフェ等を利用している場合は、現在地主義により、申請者が実際にいる場所を管轄する福祉事務所で申請できます。ただし、実際の保護費受給開始までには住所の確保が必要となります。

④失業の理由は生活保護申請に影響するのか

失業理由自体は生活保護の受給に直接影響しません。ただし、申請時には就労への意欲や努力が確認されます。自己都合退職の場合でも、その後の就職活動状況や今後の就労意思が重要になります。就職活動の履歴や今後の就労計画について説明できるよう準備しておくことが望ましいといえます。

7.生活保護のご相談はリライフネットへ

失業し、生活が困窮した場合には、生活保護を検討しましょう。また、生活保護の受給開始時には住居が必要になります。家賃が払えず住居を失った場合や、どうすれば良いか分からないときにはリライフネットへご相談ください。

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