生活保護は、子育ての負担が大きいシングルマザーにとって、重要なセーフティネットです。この記事では、シングルマザーが生活保護を受給する際の条件や手続き、生活保護費の子育てに関連する加算について解説します。

1.シングルマザーでも生活保護を受給できるのか

シングルマザーも生活保護を受給することができます。生活保護は、結婚の有無や性別による制限はなく、生活に困窮する全ての人が対象となります。

生活保護の受給は、世帯の収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っていることが条件です。例えば、東京23区内に住む、30代の母親と2歳と4歳の子どもの世帯であれば、約26万円が最低生活費となり、この金額を下回る収入であれば、生活保護を受給できる可能性があります(※1)。

働ける状況であれば就労努力が求められますが、子どもの年齢や保育の状況によっては、就労が困難と認められることもあります。シングルマザー世帯には「母子加算」や「児童養育加算」などの追加支援があり、通常の生活保護費に上乗せして支給されます。

※1出典:厚生労働省「最低生活費の算出方法」参照:2024.12.12

2.生活保護を受給する条件

生活保護を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。シングルマザーの場合も例外ではなく、資産、就労能力、他の制度の利用状況、親族からの援助の可能性などが総合的に判断されます。

①活用できる資産が無い

生活保護の申請には、預貯金や不動産などの資産を現金化し活用することが求められます。預貯金や資産を活用しても、生活が維持できない場合生活保護が検討されます。ただし、日常生活に必要な家財道具や子どもの教育に必要な物は除外されます。

②働くことができない

就労可能な年齢や健康状態であれば、原則として就労努力が求められます。しかし、シングルマザーの場合、子どもの年齢や保育の状況によっては、就労が困難と認められることがあります。

③生活保護制度以外に活用できる制度がない

生活保護は最後のセーフティネットです。そのため、児童手当、児童扶養手当、養育費など、利用可能な制度をまず活用することが求められます。これらの制度を最大限利用しても、なお生活が困窮する場合に生活保護の対象となります。

④親族の援助を受けられない

民法上の扶養義務者(親、子、兄弟姉妹など)からの援助の可能性が検討されます。ただし、DV被害者や親族との関係が断絶している場合など、特別な事情がある場合は考慮されます。シングルマザーの場合、元配偶者からの養育費の受け取り状況も確認されます。

3.シングルマザーに保護費の加算はあるか

シングルマザーの生活保護費には、複数の加算があります(※2)。

①母子加算

ひとり親世帯を対象とした加算制度で、地域と子どもの人数によって支給額が異なります。1級地では子ども1人の場合月額18,800円、2人目は4,800円が追加され、3人目以降は1人につき2,900円が加算されます。2級地や3級地はそれぞれ金額が異なり、子どもが18歳に達する年度末まで支給されます。

②妊婦加算

妊娠中の特別な需要に対応するための加算制度です。妊娠が確認された翌月から支給が開始され、妊娠期間によって金額が変動します。1・2級地の場合、妊娠6ヶ月未満は9,130円、6ヶ月以上は13,790円が加算されます。

③産婦加算

出産後の母体保護や栄養補給のための加算制度です。1・2級地では月額8,480円が加算されます。

④児童養育加算

18歳未満の子どもがいる世帯に支給される加算制度です。子ども1人あたり10,190円が加算されます。

⑤障害者加算

障害のある方への加算制度ですが、母子加算との併給はできません。障害の程度と地域によって金額が異なり、1級地の場合、重度障害で26,810円加算されます。ただし、母子加算との重複受給はできないため、金額の高い方が適用されます。

※2出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」pp.6-7参照:2024.12.12

4.生活保護の申請は他の場合と異なるか

シングルマザーの生活保護申請は基本的な流れは他の場合と同じですが、子育て世帯特有の配慮や必要書類があります。ここでは、申請先や必要書類、具体的な申請の流れについて詳しく解説します。

①申請先と書類

シングルマザーの生活保護申請は、居住地を管轄する福祉事務所で行います。大都市では区役所の福祉課、町村部では都道府県の福祉事務所が窓口となります。必要書類には、通常の申請と同様に本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)、収入や資産を証明する書類(預貯金通帳、給与明細など)に加え、子どもに関する書類が必要です。

具体的には、子どもの健康保険証、児童手当や児童扶養手当の証書、養育費の取り決め書(ある場合)などが求められます。

②申請の流れ

生活保護の申請は以下の流れで進みます。

1-事前相談

まず福祉事務所で相談を行います。ここで、申請の可能性や必要書類について詳しい説明を受けられます。

2-申請書提出

必要書類を揃えて申請書を提出します。この時点で正式な申請日が決まります。

3-訪問調査

ケースワーカーが自宅を訪問し、生活状況を確認します。子どもの養育環境や必要な支援についても聞き取りが行われます。

4-扶養義務調査

親族からの援助の可能性が調査されますが、DV被害者など特別な事情がある場合は考慮されます。

5-審査

提出された書類や調査結果をもとに、保護の要否が決定されます。

6-決定通知

審査結果が通知され、受給が決定した場合は保護費の支給が始まります。

シングルマザーの場合、子どもの福祉や教育に関する相談も同時に行われることが多いため、子育ての悩みや必要な支援についても相談することをおすすめします。

5.シングルマザーで生活保護を受給する際のポイント

シングルマザーの生活保護受給で、知っておくべき重要なポイントを解説します。

①貯金が認められるケースがある

生活保護では原則として資産の保有は制限されますが、子育て世帯には一定の配慮があります。具体的な出費が決まっている場合の貯金は、限度額の範囲内で認められることがあります。必ず貯金を始める前に相談することが重要です。

②再婚する場合は注意が必要

生活保護受給中に再婚する場合は、世帯の収入状況が変わるため、必ず事前に福祉事務所への報告が必要です。再婚相手の収入や資産も世帯の収入として計算され、保護費の見直しや場合によっては受給停止となることがあります。また、事実婚の場合でも同様の扱いとなるため、同居を始める前に必ず相談することが大切です。

③養育費を受け取りながら受給することはできる

養育費は収入として認定されますが、その受け取りは生活保護の受給を妨げるものではありません。養育費の金額は保護費の計算に含まれ、その分が減額されることになります。養育費の金額や回数が不規則な場合は、その都度、正確に申告することが重要です。

6.生活保護のご相談はリライフネットへ

今回は、シングルマザーが生活保護を受給する場合のポイントを解説しました。家賃が家計を圧迫するなど、住居にかかわる問題がある場合や、生活保護の申請に迷っているときは、リライフネットへご相談ください。

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