生活保護は、経済的に困窮した人のための最後のセーフティネットです。ただし、収入がないだけでは受給できず、資産や能力の活用、扶養義務者からの援助など、あらゆる手段を試みてもなお最低限度の生活を維持できない場合に初めて対象となります。申請から受給までの流れや条件を正しく理解しましょう。

1.お金がないだけで生活保護を受給することはできない

生活保護受給の条件は、資産や能力などあらゆる活用が前提となります。預貯金や不動産など、活用できる資産がある場合は、まずそれらを使い切る必要があります。

①状況次第では困窮していても受給できない

生活保護は、最後のセーフティネットとして位置づけられています。そのため、就労可能な年齢であれば、まず就職活動を行うことが求められます。また、親族に扶養能力がある場合は、その援助を優先的に受けることが原則です。資産については、土地や建物、自動車、貴金属などの売却や活用が必要です。さらに、年金や手当など、他の社会保障制度を優先的に利用することも要件となっています。

②生活保護の受給要件

生活保護を受けるためには、預貯金や不動産などの資産を活用し、働ける人は就労して収入を得る努力をしなければなりません。また、年金や児童手当などの社会保障給付も申請する必要があります。親族からの援助も可能な限り受けることが前提です。

これらの手段を全て試みても、なお最低限度の生活を維持できない場合に初めて、生活保護の対象となります。申請時には、これらの要件を満たしていることを証明する必要があります。

2.生活保護を申請すればお金の悩みは無くなる?

生活保護は、最低限度の生活を保障する制度ですが、申請すれば即座に経済的な問題が解決するわけではありません。支給までの期間や借金の扱いなど、いくつかの重要な注意点があります。

①申請から支給までには期間がある

生活保護の申請から実際の支給開始までには、通常2〜3週間程度の審査期間があります。この間、福祉事務所による資産調査や収入調査、住居の確認、親族への扶養照会などが行われます。緊急性が高い場合は「急迫保護」として即日での支給決定も可能ですが、これは例外的な対応です。

②生活保護を受給しても借金は無くならない

生活保護を受給しても、既存の借金が自動的に帳消しになることはありません。むしろ、保護費を借金の返済に使用することは、原則として認められません。借金の問題を解決するには、法テラスや弁護士に相談し、任意整理や自己破産などの法的手続きを検討する必要があります。

③申請後の借金は収入扱いになる

生活保護受給中に新たな借金をすると、その借入金は収入として認定されます。つまり、借りた金額分だけ保護費が減額されることになります。どうしても資金が必要な場合は、事前に担当のケースワーカーに相談し、社会福祉協議会の貸付制度など、適切な支援制度の利用を検討することが重要です。

3.生活保護受給前にお金が足りない場合

生活保護の申請から支給開始までの期間、または受給前の緊急時に活用できる制度があります。社会福祉協議会が実施する各種貸付制度は、低所得者の生活を支援する重要な役割を果たしています。

①緊急小口資金

緊急小口資金は、緊急かつ一時的な生活費用が必要な場合に利用できる貸付制度です。最大10万円まで無利子で借りることができ、返済期間は原則1年以内です。医療費や生活費など、緊急性の高い支出に対応します。申請には住民票の写しや世帯の収入状況が分かる書類が必要で、原則として保証人は不要です。ただし、他の公的給付や貸付制度の利用が優先され、返済の見込みがあることが条件となります。

②生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や高齢者世帯、障害者世帯などを対象とした総合的な貸付制度です。生活支援費、住宅入居費、教育支援費など、目的に応じて複数の資金種類があります。連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合は年1.5%以内の利子がかかります。申請には民生委員の面接や所得証明書類が必要です。

③要保護世帯向け不動産担保型生活資金

要保護世帯向け不動産担保型生活資金は、生活保護の受給に至る可能性が高い世帯で、一定の居住用不動産を所有している場合に利用できる制度です。所有する不動産を担保として生活資金を借り入れることができ、契約終了後に不動産の処分などにより返済を行います。月額の貸付上限は生活保護基準に基づく生活扶助額の1.5倍以内で、土地・建物の評価額の70%が貸付限度額となります。利率は年3%以内または、毎年4月1日時点の長期プライムレートのいずれか低い利率で、原則として借受人の死亡時または貸付元利金が貸付限度額に達するまで利用可能です。

4.生活保護受給中にお金が足りなくなったら

生活保護費は最低限度の生活を送るために必要な金額として計算されていますが、予期せぬ出費で困窮する場合があります。そのような時に利用できる制度や注意点について説明します。

①母子父子寡婦福祉資金貸付制度

ひとり親家庭を対象とした貸付制度で、一部制度は生活保護受給中でも利用可能です。事業開始資金、修学資金、就学支度資金、医療介護資金など12種類の資金があり、目的に応じて選択できます。貸付限度額は資金の種類によって異なり、連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合は年1.0%の利子がかかります。返済期間は資金の種類により異なりますが、最長20年まで設定可能です。事前に福祉事務所のケースワーカーに相談することが推奨されます。

②臨時特例つなぎ資金貸付制度

住居のない離職者で、生活保護の申請をしている人が対象となる貸付制度です。生活保護の決定までの間の当面の生活費として、最大10万円まで無利子で借りることができます。貸付期間は原則として1カ月以内で、保護費が支給された後に返済することになります。申請は福祉事務所を通じて行い、社会福祉協議会が実施主体となります。緊急的な支援として活用できる制度ですが、返済が前提となっています。

③友人などから借金した場合は収入扱い

生活保護受給中に友人や知人から借りたお金は、すべて収入として認定されます。これは、借入金額分だけ保護費が減額されることを意味します。また、保護費から返済することも原則として認められていません。どうしても資金が必要な場合は、必ず事前にケースワーカーに相談し、適切な支援制度の利用を検討することが重要です。無断で借金をすると、不正受給とみなされる可能性もあるため注意が必要です。

5.お金に困ったらまずはケースワーカーに相談

生活保護受給中に経済的な困難に直面した場合、まずは担当のケースワーカーに相談することが重要です。ケースワーカーは生活状況を把握し、適切な支援制度の利用や問題解決に向けたアドバイスを提供できます。

①活用できる制度は活用する

生活保護受給中でも、状況に応じて利用できる様々な支援制度があります。障害者手帳の取得や児童手当、特別児童扶養手当などの社会保障制度を活用することで、追加的な支援を受けられる可能性があります。また、緊急時には社会福祉協議会の貸付制度なども検討できます。ケースワーカーは福祉制度に精通しているため、個々の状況に応じた最適な支援制度を提案することができます。

②生活保護受給者に対する就労支援

就労による自立を目指す場合、ハローワークと福祉事務所が連携した就労支援を受けることができます。就労支援員とハローワークの相談員が協力して就労支援プランを作成し、面接練習などの具体的なサポートを提供します。また、就職活動に必要な費用として就労活動促進費(月額5,000円)や、就職時の準備金として就労支度費(上限34,000円)などの支援制度も用意されています。

6.生活保護のご相談はリライフネットへ

この記事では、生活が困窮しお金がないときに、生活保護を正しく活用するためのポイントをご紹介しました。「お金が底をつき、どうしたら良いかわからない」「家賃が払えない」「生活保護の申請が不安だ」などの場合には、リライフネットへご相談ください。

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