生活保護受給中に福祉事務所から車の処分指導を受け、「通院や通勤に車が必要なのにどうすればいいのだろう」「すぐに車を手放さなければならないのだろうか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。 「生活保護受給中の就職活動から働き始めた後の収入申告までの完全ガイド」もあわせてご覧ください。

生活保護制度では車の保有は原則として認められていませんが、通院や就労などの事情によっては例外的に認められる場合があります。そのため、処分指導を受けたからといって、必ずしもすぐに車を手放さなければならないとは限りません。 「生活保護の住宅扶助で手持ちゼロから賃貸契約する方法|敷金礼金・保証人・家具支援の全手順」もあわせてご覧ください。

この記事では、車の必要性を福祉事務所へ説明するための資料準備やケースワーカーとの相談の進め方、車を手放すことになった場合の代替移動手段の確保方法について解説します。 「ケースワーカーに相談できることは? 生活保護を考える前に確認したいこと」もあわせてご覧ください。

1.車の必要性を説明する書類と資料の準備

車の保有や利用について相談する際は、福祉事務所が状況を判断するための資料を準備しておくことが大切です。通院や就労の必要性を客観的に示せる資料があれば、事情を伝えやすくなります。 「生活保護の転居指導への対応方法と福祉事務所との交渉から新居確保までを解説する実践ガイド」もあわせてご覧ください。

①通院関係の証明書類収集

公共交通機関での通院が難しい場合は、主治医に病状や移動上の制約を相談し、必要に応じて診断書や意見書の作成を依頼します。通院頻度や移動に伴う身体的負担について医師の見解を記載してもらうことで、状況を説明する資料として活用できます。

また、身体機能の低下や精神疾患の症状によって公共交通機関の利用が難しい場合も、医師の意見書が判断材料となることがあります。

例えば、膝関節の疾患によって長距離の歩行が困難な方が、医師の意見書を提出し、通院状況や地域の交通事情などを踏まえて福祉事務所が判断したケースもあります。車の保有が認められるかどうかは個別の事情によって異なるため、まずはケースワーカーへ相談しましょう。※1

②地域の交通状況調査資料作成

地域の公共交通機関の利用状況を整理し、移動手段に関する実情を説明できる資料を準備します。最寄りの駅やバス停までの距離、運行本数、始発・終発の時間などを確認し、通勤先や通院先までの所要時間をまとめておくと、移動環境を伝えやすくなります。

また、車を利用した場合と公共交通機関を利用した場合の移動時間を比較した資料や、時刻表、ルート検索結果などを用意しておくことも有効です。

公共交通機関の本数が少ない地域では、勤務先や医療機関への移動に長時間を要することがあります。こうした交通環境に関する情報は、福祉事務所が事情を確認する際の参考資料となる場合があります。

③就労関係の必要書類準備

就労のために車の利用が必要な場合は、雇用契約書や勤務証明書、給与明細書などを準備します。あわせて、勤務先までの通勤手段や所要時間を整理し、公共交通機関での通勤が難しい事情を説明できる資料を用意しておくとよいでしょう。

夜勤や早朝勤務など、公共交通機関の運行時間と勤務時間が合わない場合は、勤務シフト表や時刻表が状況を説明する資料となることがあります。通勤のために車が必要な事情は、就労状況や地域の交通事情を踏まえて判断されます。※2

車の利用が必要な事情を伝える際は、主観的な理由だけでなく、勤務状況や地域の交通事情を示す資料を整理しておくことが大切です。

※1出典:厚生労働省「生活保護の基本的な実務」参照:2026.6.18
※2出典:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」参照:2026.6.18 

2.ケースワーカーとの相談を進めるポイント

必要な資料を準備したら、次はケースワーカーへ状況を説明しながら相談を進めます。車の必要性を理解してもらうためには、事実を整理して伝えることが大切です。

①面談前の準備と心構え

面談前には、車が必要な理由や現在の状況を整理し、要点をまとめておきます。通院状況や就労状況、移動にかかる時間などを説明できるよう準備しておくとよいでしょう。

面談では、感情的な表現ではなく、診断書や意見書、勤務状況に関する資料などをもとに事実を伝えることが重要です。客観的な資料を示しながら説明することで、状況を共有しやすくなります。

②段階的な提案と代替案の提示

車の保有や利用について相談する際は、希望する内容だけでなく、代替案も整理しておくとよいでしょう。例えば、維持費の低い車への乗り換えや、使用目的を通院・通勤に限定する方法などが考えられます。
複数の案を用意しておくことで、ケースワーカーと現実的な対応を相談しやすくなります。 「生活保護受給中でも車は持てる?福祉事務所への申請から維持費まで認定要件を解説」もあわせてご覧ください。

③定期的な報告と関係維持

車の保有や利用が認められた後も、必要に応じて使用状況や生活状況を適切に伝えることが大切です。また、燃料費や車検代などの支出を記録しておくと、家計の状況を説明しやすくなります。

ケースワーカーとの日頃のコミュニケーションを大切にし、生活状況や通院状況などに変化があった場合は早めに相談しましょう。

3.車を手放す場合の代替移動手段の確保

車の保有や利用が難しい場合でも、移動手段を確保する方法はあります。地域の交通環境や生活状況に合わせて利用できる手段を検討し、無理のない方法を選ぶことが大切です。

①公共交通機関の最大活用

車を利用できない場合は、バスや電車などの公共交通機関を利用します。定期券の利用や乗り継ぎ方法の見直しによって、交通費を抑えられる場合があります。また、自治体によって利用できる支援制度が異なるため、必要に応じて福祉事務所へ確認してみるとよいでしょう。

乗り継ぎアプリや時刻表アプリを活用し、通勤先や通院先までのルートや所要時間を事前に確認しておくことも大切です。毎月の交通費を把握し、生活費とのバランスを考えながら利用計画を立てましょう。

②地域の移動支援サービス活用

自治体が運営するコミュニティバスやデマンド交通などの移動支援サービスを利用できる場合があります。事前登録や予約が必要なケースもあるため、利用条件を確認しておきましょう。

また、地域によってはNPOやボランティア団体が移動支援を行っていることもあります。利用できるサービスをあらかじめ調べておくことで、通院や買い物の際の移動手段を確保しやすくなります。

③自転車や電動アシスト自転車の検討

体力や健康状態に問題がなければ、自転車を移動手段の一つとして検討できます。電動アシスト自転車は、坂道が多い地域や比較的長い距離を移動する場合に役立つことがあります。

自転車を利用する際は、移動距離や道路環境、安全面などを考慮することが大切です。また、購入費用や修理費用なども踏まえ、無理のない範囲で利用しましょう。

4.福祉事務所との継続的な連携のポイント

車を手放した後は、移動手段の確保だけでなく、生活状況の変化に応じて必要な支援を活用していくことも大切です。

①定期面談での状況共有

ケースワーカーとの面談では、移動手段の利用状況や生活状況の変化について適切に伝えることが大切です。公共交通機関の利用実績や交通費の支出状況を整理しておくと、現在の生活環境を説明しやすくなります。

また、健康状態や就労状況に変化があった場合は、早めに相談しましょう。必要に応じて診断書や勤務状況に関する資料を提出することで、事情を共有しやすくなります。

②地域資源の情報共有

地域の移動支援サービスや交通機関の変更など、移動に関する情報を必要に応じてケースワーカーと共有します。また、自治体の支援制度や地域で利用できるサービスについて確認しておくことで、移動手段の選択肢を広げやすくなります。

生活状況に変化があった場合は、その内容を早めに相談し、利用できる支援について確認しましょう。

③緊急時の対応計画策定

急な体調不良や家族の緊急事態など、予定外の移動が必要になった場合に備え、利用できる移動手段をあらかじめ把握しておきましょう。タクシー会社や医療機関、相談先の連絡先を控えておくと、緊急時にも対応しやすくなります。

また、地域の相談機関や支援団体など、困ったときに相談できる窓口を把握しておくことも大切です。日頃から利用できる支援について調べておくことで、急な状況の変化にも備えやすくなります。

5.法的手続きと専門機関への相談

福祉事務所との話し合いだけで解決が難しい場合は、外部の専門家や支援機関へ相談することも選択肢の一つです。状況に応じて利用できる制度や相談先を活用しながら、自身に合った解決方法を検討しましょう。

①不服申立て手続きの活用

福祉事務所の決定や処分に納得できない場合は、審査請求などの手続きを検討できる場合があります。手続きには期限が設けられているため、通知書の内容を確認し、不明な点があれば早めに相談しましょう。

また、手続きを行う際は、医師の診断書や地域の交通事情に関する資料などを整理しておくことが大切です。事実関係や経緯をまとめておくことで、自身の状況を伝えやすくなります。
詳しくは「生活保護廃止決定を覆す!審査請求で取り消しを勝ち取る手続きと準備のすべて」で解説しています。

②弁護士や法律相談の活用

福祉事務所の対応について疑問や不安がある場合は、弁護士などの専門家へ相談する方法もあります。生活保護に関する相談実績のある専門家に相談することで、制度や手続きについて助言を受けられる場合があります。

また、法テラスや地域の法律相談窓口を利用できることもあります。※1
利用条件や費用は相談先によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

③支援団体との連携

生活保護受給者や生活困窮者を支援するNPOなどの団体へ相談する方法もあります。支援団体によっては、制度に関する情報提供や相談支援を行っている場合があります。

また、地域の支援団体を通じて、利用できる制度や相談先に関する情報を得られることもあります。一人で抱え込まず、必要に応じて外部の支援機関へ相談することも検討しましょう。

※出典:日本司法支援センター法テラス「民事法律扶助業務」参照:2026.6.18

6.長期的な生活設計と移動手段の見直し

生活環境や健康状態は、年齢や状況の変化によって変わることがあります。将来も安心して生活を続けるためには、移動手段の確保だけでなく、住環境や地域とのつながりについても考えておくことが大切です。

①健康状態の変化への備え

加齢や慢性疾患などにより、将来的に移動手段の見直しが必要になる場合があります。現在は公共交通機関を利用できていても、健康状態の変化によって移動に支援が必要となる可能性があるため、日頃から体調や生活状況の変化に注意しておくと安心です。

また、必要に応じて主治医や地域包括支援センターなどへ相談し、利用できる支援制度やサービスについて確認しておきましょう。

②住居環境の見直し

現在の住居が公共交通機関から離れている場合は、将来的な住環境の見直しを選択肢の一つとして考えることもできます。駅やバス停に近い地域へ転居することで、移動手段を確保しやすくなる場合があります。

また、転居を考える際は、住居費や交通環境などを総合的に確認することが大切です。必要に応じて福祉事務所へ相談し、利用できる制度について確認しておきましょう。
詳しくは「住宅扶助の条件を詳しく解説 生活困窮したときのポイント」で解説しています。

③地域コミュニティとの関係構築

近隣住民との良好な関係を築き、緊急時の相互支援体制を整えます。町内会や自治会の活動に参加し、地域の一員として認識してもらいます。高齢者サロンやボランティア活動への参加を通じて、地域のネットワークを広げます。

地域の移動支援ボランティアに登録し、必要な時にサポートを受けられる環境を整えます。逆に、自分ができる範囲で他の方への支援も行い、助け合いの関係を構築します。

7.よくある質問

①車の処分指導を受けたらすぐに売却しなければならない?

福祉事務所から車に関する指導を受けた場合は、まず内容を確認し、ケースワーカーへ事情を相談しましょう。通院や就労などで車が必要な場合は、診断書や勤務状況に関する資料などを準備して状況を説明することが大切です。車の保有が認められるかどうかは、個別の事情に応じて判断されます。

②通院のための車保有はどのような条件で認められる?

公共交通機関での通院が難しい場合や、身体的な理由などにより公共交通機関の利用が困難な場合は、車の保有が認められることがあります。判断にあたっては、医師の診断書や地域の交通事情に関する資料の提出を求められる場合があります。

③車を手放した場合の交通費は生活保護費に含まれる?

日常生活で使用する交通費は、原則として生活扶助の範囲でやりくりすることになります。一方で、通院に伴う交通費については、条件を満たす場合に支給対象となることがあります。詳しい取扱いは自治体によって異なるため、福祉事務所へ確認しましょう。

④処分指導に納得できない場合の法的手続きは?

福祉事務所の決定や処分に納得できない場合は、審査請求などの手続きを検討できる場合があります。不明な点がある場合は、通知書の内容を確認したうえで、福祉事務所や弁護士などの専門家へ相談しましょう。

⑤電動アシスト自転車の購入費用は福祉事務所で相談できる?

電動アシスト自転車の購入を検討している場合は、必要に応じて福祉事務所へ相談してみましょう。利用目的や生活状況によって取扱いが異なるため、購入前にケースワーカーへ確認しておくと円滑に手続きを進めることができます。

⑥家族の車を借りて運転することは問題ない?

家族の車を利用する場合の取扱いは、利用状況や目的によって異なります。継続的に利用する予定がある場合は、事前にケースワーカーへ相談しておくとよいでしょう。
また、利用方法について不明な点がある場合は、福祉事務所へ確認してくと安心です。

8.まとめ

この記事では、生活保護受給中の車の処分指導に関する対応方法をご紹介しました。

「車がある状態で生活保護を受けたい」「住居がなく相談先に困っている」「生活保護申請や住まい探しについて支援を受けたい」などの場合には、リライフネットへご相談ください。

リライフネットでは関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。行政・不動産事業者・職業紹介事業者・NPO・ボランティア団体などと連携しており、迅速に住居を提供できます。

生活保護の申請サポートも可能なため、お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料で、メール、LINE、電話で相談が可能です。

ご相談はこちらから
https://seikatsuhogoguide.com/