生活保護を受けている中で、消費者金融やカード会社から督促状が届いて動揺していませんか。「生活保護費から返済しなければならないのか」「督促を止める方法はあるのか」といった疑問を抱く方も少なくありません。

生活保護受給中の借金問題は、実は法律で明確に保護されています。適切な対処法を知ることで、督促のストレスから解放され、安心した生活を取り戻すことができます。

1.生活保護受給中の借金返済義務について

①生活保護費による借金返済は法律で禁止されている

生活保護法第58条の趣旨に照らすと、生活保護費を借金の返済に充てることは認められていません。生活保護費は最低限度の生活を維持するために支給されるものであり、本来の生活費以外の用途に充てることは適切ではないとされています。そのため、債権者から督促があったとしても、生活保護費から返済する法的義務はありません。※1

相談事例としては、消費者金融から毎月3万円の返済を求められていたケースがあります。福祉事務所と連携し、生活保護を受給している事実を債権者に通知したことで、督促が落ち着き、その後、債務整理によって借金問題の解決につながった例もあります。

②督促を受けた場合の初期対応

督促状や電話による取り立てを受けた場合は、状況を整理した上で、生活保護を受給していることを債権者に伝えることが大切です。書面で通知する際は、生活保護受給証明書の写しを添付し、返済に充てられる資力がないことを明確に伝えることが考えられます。

もっとも、このような通知によって督促が落ち着く場合はあるものの、それだけで借金問題が解決するとは限りません。借入先や債務額によっては、自己破産などの債務整理を含めた法的手続きの検討が必要となることもあるため、早い段階で弁護士や法テラスなどの専門機関に相談することが望まれます。

③福祉事務所への相談タイミング

借金の督促を受けた場合は、早めに担当のケースワーカーへ相談することが重要です。福祉事務所では状況に応じて、法テラスや弁護士会の法律相談窓口などを案内してもらえることがあります。

生活保護受給者は、生活保護費を借金の返済に充てることは認められていません。督促を受けた場合でも、一人で対応しようとせず、福祉事務所に相談しながら適切な支援先につなげてもらうことが大切です。

※1出典:e-Gov法令検索「生活保護法 第58条」参照:2025.10.01

2.債権者への対応方法

①生活保護受給の通知方法

債権者に対して生活保護を受給していることを伝える際は、書面で通知する方法が一般的です。状況によっては内容証明郵便を利用することも考えられます。通知書には生活保護受給開始日や返済が困難な状況にあることを記載し、生活保護受給証明書の写しを添付することが考えられます。

このような通知によって督促が落ち着く場合もありますが、それだけで問題が完全に解決するとは限りません。通知後も督促が続く場合は、福祉事務所に相談することで、適切な対応方法について助言を受けられる場合があります。

②督促電話への対処法

債権者から督促の電話があった場合は、生活保護を受給していることを伝え、返済が困難な状況であることを説明します。電話でのやり取りは記録に残し、可能であれば日時や内容をメモしておくことが望ましいでしょう。

威圧的な取り立てや深夜早朝の電話などは、貸金業法で問題となる可能性があるため、状況を記録しておくことが重要です。電話による督促が頻繁に続く場合には、書面での連絡を希望する旨を債権者に伝えることで、精神的な負担を軽減できる場合もあります。

③訪問による取り立てへの対応

債権者が自宅を訪問する場合もありますが、必ず応対する必要はありません。インターホン越しに生活保護受給中であることを伝え、書面での連絡を求める方法もあります。

強引な訪問や威圧的な態度が見られる場合には、日時や内容を記録し、状況によっては警察や専門機関に相談することも検討されます。

詳しくは「生活困窮の相談窓口とは?相談方法・支援内容・利用のポイントを徹底解説」で解説しています。

3.債務整理の選択肢と手続き

①自己破産による借金の免責

生活保護受給者にとって、自己破産は債務整理の選択肢の一つとして検討されることがあります。破産手続きによって借金が免責されれば、返済義務がなくなり、督促による精神的な負担の軽減につながる場合があります。

また、生活保護受給者は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合があります。この制度では弁護士費用などの立替制度があり、生活保護受給中は償還が猶予されることもあるため、費用面の負担を抑えて手続きを進められる可能性があります。

相談事例としては、カードローンや奨学金など複数の借入を抱えていたケースにおいて、法テラスを通じて弁護士に依頼し、自己破産の手続きによって借金問題の解決につながった例もあります。

債務整理にはいくつかの方法がありますが、生活保護受給者の場合は、収入状況や返済可能性の観点から選択できる手続きが限られることがあります。主な方法の違いは以下のとおりです。

②法テラスの利用方法

生活保護受給者は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合があります。一定の要件を満たせば、弁護士費用や書類作成費用などについて立替制度を利用することができ、生活保護受給中は返済が猶予されることや、免責確定後の審査により返済が免除されることがあります。相談を希望する場合は、法テラスに連絡した上で、案内に従って必要書類を準備し、相談につなげていく流れが一般的です。※1

法テラスでは、自己破産などの債務整理に関する相談先の案内や、手続き利用に向けた支援を受けられる場合があります。借入先や債務額、生活状況に応じて適切な手続きは異なるため、早い段階で相談し、今後の進め方を整理することが重要です。

③弁護士選びのポイント

債務整理を依頼する弁護士選びでは、生活保護制度に詳しく、債務整理の実績が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。初回相談時に費用体系や手続きの流れについて明確な説明があるかどうかも判断材料になります。

弁護士が受任通知を債権者に送付すれば、その時点で督促が停止されます。これにより督促への対応が不要となり、落ち着いて手続きを進めやすくなります。

※1出典:日本司法支援センター「法テラス民事法律扶助制度」

4.福祉事務所との連携方法

①ケースワーカーへの相談内容

借金問題についてケースワーカーに相談する際は、借入先、借入時期、借入理由、現在の督促状況などを整理して伝えることが大切です。生活保護受給前の借金であっても、生活保護費を借金の返済に充てることは認められていないため、一人で抱え込まず相談することが重要です。

ケースワーカーは債務整理の専門家ではありませんが、状況に応じて適切な相談窓口の紹介や、債権者からの問い合わせへの対応方法について助言を受けられる場合があります。定期的な面談の際に状況を共有することで、継続的な支援につながることがあります。

②生活保護制度への影響

借金問題や債務整理の手続きについて不安がある場合は、早めに福祉事務所へ相談することが大切です。借金の問題を整理していくことで、現状の課題や優先順位が整理され、取るべき対応が明確になる場合があります。

また、自己破産を含む債務整理の手続きを進める際には、現在の状況や手続きの進み具合について、必要に応じてケースワーカーへ共有しておくことが望ましいでしょう。手続きを一人で抱え込まず、福祉事務所や専門家と連携しながら進めることが重要です。

③関係機関との連携

借金問題は、相談先ごとに担う役割が異なります。福祉事務所は生活面の支援を担い、法テラスや弁護士会は法的な手続きの相談に対応しています。状況に応じてこれらの窓口を使い分けることで、より適切な対応につなげることができます。

詳しくは「生活困窮者が受けられる支援とは?種類や申請方法、活用のポイントを徹底解説」で解説しています。

5.督促停止から債務整理完了までの流れ

①弁護士による受任通知の送付

弁護士に債務整理を依頼すると、まず債権者に対して受任通知が送付されます。この通知により、原則として債権者から本人への直接の督促は行われなくなり、以降は弁護士を通じてやり取りが行われることになります。多くの場合、受任通知の送付後は電話や郵送による督促が落ち着くとされています。

以後の連絡は弁護士を通じて行われるため、本人が直接対応する必要はなくなります。

②債権調査と手続き選択

弁護士は債権者から取引履歴を取り寄せ、正確な債務額を確認します。過払い金が発生している場合には返還請求を行い、債務額が減額される可能性もあります。

③手続き完了後の生活再建

自己破産の手続きが進み、免責決定が確定すると、借金の返済義務はなくなります。一方で、信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなる場合があります。

ただし、この期間を生活の立て直しに充てることで、借金に頼らない生活基盤を整えるきっかけになることもあります。債務整理をきっかけに生活状況を整理し、就労や生活再建に向けた取り組みにつなげていくことが重要です。

詳しくは「うつ病で収入が途絶えたら?働けないときでも利用できる給付金・支援制度」で解説しています。

6.よくあるトラブルと予防策

①悪質な債権回収業者への対応

正規の債権者以外に、債権を譲り受けた債権回収会社から督促を受ける場合があります。債権譲渡の手続きが行われた後、生活保護受給中である状況が十分に共有されていないまま督促が続くケースもあります。

このような場合は、生活保護を受給していることを通知し、状況に応じて弁護士などの専門家へ相談することが考えられます。

債権回収会社の登録状況は金融庁のウェブサイトで確認することができます。無登録の業者から督促を受けている場合には、不適切な取り立ての可能性もあるため、警察や専門機関への相談を検討することが望ましいでしょう。

②家族や保証人への影響

自己破産をしても、家族の信用情報に直接影響することはありません。ただし、家族が保証人になっている借金については、保証人に請求が移る可能性があります。

このような場合には、保証人も含めた対応を検討する必要があります。連帯保証人がいる借金の債務整理では、事前に保証人と状況を共有し、弁護士などの専門家と相談しながら進めることが重要です。

③新たな借入の防止

債務整理後は信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。

この期間を生活の立て直しの機会と捉え、家計管理の見直しや就労準備に取り組むことが重要です。生活保護制度の各種扶助を適切に活用することで、借金に頼らない生活基盤を整えることにつながります。

詳しくは「生活扶助の基準額を正しく理解するために知っておくべきこと」で解説しています。

7.支援機関との連携による総合的解決

①NPOや支援団体の活用

借金問題の解決には、法的手続きだけでなく生活全般のサポートも重要です。NPOや支援団体では、家計管理の支援や就労支援、メンタルヘルスの相談など、さまざまな支援が行われています。こうした支援を活用することで、借金問題の整理と生活の安定につながることが期待されます。

特に借金の原因が病気や失業などにある場合には、原因となった問題への対応も重要です。支援団体では、個々の状況に応じた支援が行われており、複合的な課題の解決につながる場合があります。

②長期的な生活再建計画

債務整理による借金問題の整理は、生活再建のスタート地点といえます。安定した生活基盤を築くためには、就労支援、住居の確保、健康管理など、多方面からの取り組みが重要になります。

生活保護受給中の期間を、将来の自立に向けた準備期間として活用することも考えられます。職業訓練の受講や資格取得、健康状態の改善などに取り組むことで、持続的な生活基盤の構築につながる場合があります。

③継続的なフォローアップ

借金問題の整理後も、状況に応じたフォローアップが重要です。家計状況の確認や生活環境の変化への対応、新たな問題の早期把握など、継続的な支援が生活の安定につながる場合があります。

支援機関との関係を維持し、必要に応じて相談できる体制を整えておくことが大切です。

詳しくは「生活困窮者を支える支援制度の全貌|利用方法や種類、申請のポイントを解説」で解説しています。

8.よくある質問

①生活保護を受けていても借金を返済しなければならないのですか?

生活保護法の趣旨により、生活保護費を借金の返済に充てることは認められていません。債権者から督促があった場合でも、生活保護費から返済しなければならないものではありません。生活保護を受給していることを債権者に伝えることで、督促が落ち着く場合もあります。

②債務整理をすると生活保護が打ち切られますか?

債務整理の手続き自体が、生活保護の受給に直接影響するものではありません。借金問題を整理することで精神的な負担が軽減され、生活を立て直すきっかけになる場合もあります。

③自己破産の費用はどのくらいかかりますか?

生活保護を受給している方は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合があります。弁護士費用などについて立替制度が利用でき、生活保護受給中は審査により返済が免除されることがあります。

④家族が保証人になっている借金はどうなりますか?

自己破産を行うと、保証人に請求が移る可能性があります。そのため、保証人がいる借金については、事前に状況を共有し、弁護士などの専門家と相談しながら対応を検討することが重要です。

⑤債権回収会社から督促が来た場合はどうすればよいですか?

債権回収会社から督促があった場合でも、生活保護を受給していることを伝えることで督促が落ち着く場合があります。また、債権回収会社の登録状況は金融庁のウェブサイトで確認することができます。無登録の業者の場合は、不適切な取り立ての可能性もあるため、警察や専門機関への相談を検討してください。

⑥借金の督促が止まるまでどのくらい時間がかかりますか?

弁護士に債務整理を依頼すると、債権者に受任通知が送付されます。多くの場合、この通知をきっかけに督促が落ち着くとされています。直接債権者に通知する場合でも、一定期間の後に督促が減少する場合があります。

⑦自己破産後にクレジットカードは作れますか?

自己破産後は信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなる場合があります。この期間を生活の立て直しの機会とし、家計管理の見直しなどに取り組むことが重要です。

9.まとめ

生活保護を受給中に借金の督促を受けると、不安や焦りを感じやすくなりますが、生活保護費を借金の返済に充てることは認められておらず、一人で抱え込む必要はありません。大切なのは、督促を受けた段階で状況を整理し、福祉事務所や法テラス、弁護士などの支援先につながることです。早めに適切な対応を取ることで、精神的な負担を軽減しながら、今後の生活再建に向けた道筋を整えやすくなります。

この記事では、借金問題に関する対処法と債務整理をご紹介しました。借金等で生活が苦しい状況で、生活保護をまだ受けておらず、生活保護受給の検討や前提となる住居の確保をしたい場合には、お気軽にリライフネットへご相談ください。

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