
生活保護を受給中の引越しで物件が見つからず、不安を感じていませんか。入居審査で断られたり、不動産会社に相談できないといったケースも少なくありません。
しかし、生活保護受給者であっても、支援制度を活用することで住まいの確保は可能です。リライフネットでは、これまで多くの住居支援に携わってきました。この記事では、具体的な手順や解決策をわかりやすく解説します。
1.福祉事務所が提供する住宅確保支援の実際

福祉事務所では生活保護受給者の住宅確保について、単なる相談対応以上の積極的な支援を行っています。これは生活保護法において、生活保護受給者の「最低限度の生活を保障する」という目的を達成するために必要不可欠なサポートとして位置づけられているからです。
①ケースワーカーによる物件探しのサポート
ケースワーカーは、受給者の住宅に関する相談に対応し、必要に応じて情報提供を行うことがあります。住宅扶助の範囲内で住居を確保することが前提とされており、その基準額に基づいて物件を検討することになります。
厚生労働省の資料によると、住宅扶助基準額は地域区分ごとに設定されており、東京都の例として、単身世帯の場合、1級地では月額53,700円とされています。※1
例として、40代男性がケースワーカーの紹介により、住宅扶助内で物件を確保できたケースもあります。
②不動産会社との橋渡し役
生活保護受給者の入居にあたっては、福祉事務所が不動産会社との調整に関与する場合があります。ケースワーカーが受給者の状況や制度の内容について説明することで、住宅扶助の仕組みへの理解が進むことがあります。
また、福祉事務所から不動産会社へ制度に関する情報が共有されることで、受給者本人だけでは伝えにくい内容が補足される場合もあります。住宅扶助には、家賃相当額が支給される仕組みや、状況に応じて代理納付が行われる場合があることなどが含まれます。
③緊急時の一時的住居確保
引越し先が見つからない状況で現在の住居から退去が必要となる場合には、状況に応じて一時的な住居の確保に関する対応が行われることがあります。
具体的には、簡易宿所への一時的な入所や、無料低額宿泊所の利用が案内されることがあります。
※1出典:厚生労働省「生活保護制度における住宅扶助について」参照:2026.4
2.生活保護受給者向け物件探しの具体的手順

住宅確保を成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。焦らず計画的に進めることで、より良い住環境を見つけることができます。
①住宅扶助基準額の確認と予算設定
物件探しを進める際は、自身の住宅扶助基準額を確認しておくことが重要です。この基準額は居住地域や世帯人数に応じて定められており、その範囲を踏まえて物件を検討することが求められる場合があります。ケースワーカーに基準額を確認し、目安として物件探しを進めます。
住宅扶助の対象となる費用には、家賃のほかに共益費や管理費が含まれる場合があります。一方で、駐車場代や電気・ガス・水道などの費用は、住宅扶助の対象外とされることが一般的です。これらの区分を整理しておくことで、検討できる物件の条件を把握しやすくなります。
詳しくは「住宅扶助とは?生活保護で安心して住まいを確保するための支援制度」で解説しています。
②協力的な不動産会社の選定
すべての不動産会社が生活保護受給者の入居に対応しているわけではありません。ケースワーカーから紹介を受けた不動産会社や、受給者の入居実績がある会社を検討することは、有効な方法と考えられます。
生活保護受給者の対応経験がある不動産会社では、住宅扶助の仕組み(代理納付など)への理解がある場合があり、入居審査において事情が考慮されることもあります。また、初期費用を抑えた物件を取り扱っている場合もあります。
③必要書類の準備と内見の実施
物件の内見に際しては、生活保護受給証明書や住宅扶助基準額を示す書類を準備しておくとよいでしょう。これにより、不動産会社に対して制度の内容や支払い方法について説明しやすくなる場合があります。
内見時には住環境だけでなく、通院に必要な医療機関への交通アクセスや、日常的な買い物ができる店舗の有無なども確認しておくと安心です。
また、一人で物件探しを進めることが難しい場合には、生活保護受給者の入居に対応した支援サービスを利用することで、手続きを進めやすくなることがあります。
3.入居審査通過のためのポイント

生活保護受給者の入居審査には、一般的な賃貸契約とは異なる注意点があります。これらのポイントを押さえることで、審査通過の可能性を高めることができます。
①住宅扶助の確実性をアピール
入居審査においては、住宅扶助の仕組みについて説明することがポイントの一つと考えられます。福祉事務所から発行される書類を提示し、支払い方法や制度の内容について説明しておくとよいでしょう。
代理納付制度が利用される場合には、住宅扶助分が福祉事務所から家主や管理会社へ支払われる仕組みとなります。このような支払い方法が明確であることは、不動産会社や家主にとって判断材料の一つとなる場合があります。そのため、制度の内容を丁寧に伝えることが検討を進めるうえでの一つのポイントとなります。
②連帯保証人の確保または保証会社の利用
生活保護受給者であっても、連帯保証人が求められる場合があります。親族などに依頼が難しい場合には、保証会社の利用を検討する方法もあります。
一部の保証会社では、生活保護受給者が利用できるサービスを提供している場合があります。保証料については、一時扶助として支給の対象となる場合もあるため、事前にケースワーカーへ相談しておくとよいでしょう。
③初期費用の準備と一時扶助の活用
敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用については、一時扶助として支給の対象とされる場合があります。住宅の確保に必要と認められる費用については、条件に応じて支給が検討されることがあります。※1
例えば、病気などの理由で就労が難しくなり生活保護を申請したケースにおいて、住居の確保が必要と判断され、一時扶助により敷金や礼金などの費用が支給された事例もあります。
※1出典:厚生労働省「生活保護実施要領等」p,59 参照:2026/4/28
4.住居確保困難時の緊急支援制度

「今日寝る場所がない」といった緊急事態でも、利用できる支援制度があります。
通常の方法で住居が見つからない場合でも、諦める必要はありません。緊急時の支援制度を活用することで、一時的な住居を確保しながら恒久的な住居を探すことができます。
①無料低額宿泊所の利用
無料低額宿泊所は、住居を失った生活保護受給者に対し、一時的な住まいとして利用が検討される施設です。社会福祉法に基づいて運営されており、住宅扶助の範囲内で利用される仕組みです。
無料低額宿泊所は一時的な居住の場として位置づけられ、その後はアパートなどへの住み替えが検討されるケースも見られます。入所中には、状況に応じて次の住まい探しが進められます。
②シェルターや一時保護施設の活用
緊急的に住む場所を失った場合には、自治体や関係機関によりシェルターや一時保護施設の利用が案内される場合があります。これらの施設では、状況に応じて食事の提供や生活相談などが行われることがあります。
利用期間には一定の制限が設けられる場合がありますが、その間に福祉事務所と連携しながら、次の住まいを検討することが考えられます。
詳しくは「住む場所がないときにできる相談先と支援の受け方」で解説しています。
③居住支援法人との連携
住宅セーフティネット法に基づき指定された居住支援法人では、住宅確保に困難を抱える方に対する支援が行われています。
これらの法人では、不動産会社と連携しながら、生活保護受給者の入居に対応した物件が紹介されることがあります。あわせて、物件紹介にとどまらず、入居後の生活に関する相談や見守りなどの支援が実施されているケースも見られます。
こうした支援を活用することで、住まいの確保やその後の生活の安定につながることがあります。
5.入居後の生活安定化サポート

住居を確保した後も、継続して安定した生活を送るためのサポートが用意されています。これらのサポートを活用することで、再び住居を失うリスクを最小限に抑えることができます。
①定期的なケースワーカー訪問
入居後は、状況に応じてケースワーカーによる訪問や連絡が行われます。生活状況の確認や困りごとの共有が行われるほか、家賃の支払い状況や近隣住民との関係について相談できる場面もあります。
また、家計管理に関する助言が行われることもあり、限られた保護費の中で生活を維持していくうえで参考になる内容が示されることがあります。
②地域包括支援センターとの連携
高齢者の方などの場合、地域包括支援センターや相談支援事業所と連携した支援につながることがあります。
これにより、医療・介護・福祉といった分野の関係機関と情報共有が図られ、生活状況に応じた支援が行われる体制が整えられることがあります。こうした連携を通じて、住まいでの生活を継続しやすくなると考えられます。
③緊急時の相談体制
入居後に突発的な問題が生じた際には、相談窓口や緊急時の連絡先が案内されることがあります。健康状態の変化や住居設備の不具合などについて、状況に応じた対応につなげられる体制が設けられているケースも見られます。
生活保護受給中の住まい探しは容易ではないものの、福祉事務所をはじめとした支援を活用しながら進めることで、住居の確保に至る可能性があります。
また、民間の住居支援サービスの中には、入居後の生活に関する相談やサポートを行っている事業者も見受けられます。
6.よくある課題と解決策

生活保護受給者の住居確保においては、共通する課題が見られることがあります。これらを事前に把握しておくことで、住まい探しを進める際の判断材料となります。
①不動産会社での入居拒否への対処
生活保護受給者であることを理由とした入居対応については、住宅セーフティネット制度の趣旨に照らし、慎重な対応が求められると考えられます。このような場面では、一人で抱え込まず、ケースワーカーへ相談することが選択肢の一つとなります。状況に応じて、不動産会社への説明や別の事業者の紹介につながることもあります。
また、居住支援法人などの関係機関では、住まい探しに関する助言や調整を行っている事例も見られます。利用できる支援について情報を整理し、状況に応じて活用を検討することが重要です。
②初期費用不足への対応
敷金や礼金などの初期費用が不足している場合でも、一時扶助や社会福祉協議会の貸付制度が、対応の選択肢となることがあります。
緊急的に住居の確保が必要な場合には、福祉事務所へ早めに相談することが一つの方法です。状況に応じて、生活保護の申請とあわせて住居確保に向けた支援が検討されることもあります。
例えば、住居を失った方が福祉事務所へ相談し、一時扶助により初期費用の支給を受けて住居を確保した事例も見られます。
詳しくは「ホームレスが家を見つける方法とは?住まい確保と生活再建の支援を解説」で解説しています。
③地域の住宅事情による制約
地域によっては、生活保護受給者の入居に対応した賃貸物件が限られていることがあります。そのような場合には、隣接する市町村での物件探しや、公営住宅への申し込みを検討する方法もあります。ケースワーカーに相談することで、広域の物件情報について案内されることもあります。
公営住宅については、生活保護受給者に対して一定の配慮が行われているケースも見られますが、入居条件や選考方法は自治体ごとに異なります。待機期間が生じることもあるため、長期的な住まいの選択肢の一つとして検討されることがあります。
代表的な課題と対応の方向性を整理すると、以下のようになります。

7.よくある質問

①生活保護受給中でも普通のアパートに住むことはできますか?
はい、可能とされています。住宅扶助の基準額内であれば、一般的なアパートへの入居が検討される場合があります。ケースワーカーに相談し、対応実績のある不動産会社を紹介してもらうことで、手続きを進めやすくなることがあります。
②引越しの初期費用は生活保護から支給されますか?
敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用は、一時扶助として支給の対象となる場合があります。ただし、支給には一定の条件があるため、事前にケースワーカーへ相談しておくことが望ましいです。なお、住居確保の必要性や緊急性が高い場合には、支給が検討されることもあります。
③住宅扶助の代理納付とは何ですか?
代理納付とは、住宅扶助分が福祉事務所から家主や管理会社へ直接支払われる仕組みです。この仕組みにより、家賃の支払い方法が明確になるため、入居審査の判断材料の一つとなる場合があります。不動産会社に制度の内容を説明しておくことも一つのポイントです。
④保証人がいない場合はどうすればよいですか?
保証会社を利用することで、連帯保証人の代替とされる場合があります。一部の保証会社では、生活保護受給者でも利用できるサービスが提供されていることがあります。保証料については、一時扶助として支給の対象となる場合もあるため、ケースワーカーへ相談することも一つの方法です。
⑤今すぐ住む場所がない場合はどこに相談すればよいですか?
福祉事務所に相談することで、無料低額宿泊所やシェルターなどの一時的な住居が案内される場合があります。居住支援法人への相談も選択肢の一つです。
⑥引越し先の地域に制限はありますか?
同一の福祉事務所の管内での転居が基本とされる場合がありますが、医療や就労などの事情により、他の地域への転居が検討されることもあります。他の地域へ引越しする場合は、転居先の福祉事務所での手続きが必要となることがあるため、事前にケースワーカーへ相談しておくことが望ましいです。
⑦入居後にトラブルが発生した場合はどうすればよいですか?
近隣トラブルや設備の故障などが発生した場合は、ケースワーカーへ相談することが一つの方法です。状況に応じて対応の案内や支援が行われることがあります。
8.まとめ

生活保護受給中の住まい探しは、不安や困難が伴うものです。
しかし福祉事務所や支援制度を活用することで、住居を確保することは十分可能です。
この記事では、生活保護受給中の引越し先確保に関する具体的な方法と支援制度をご紹介しました。「物件が見つからない」「入居審査に通らない」「初期費用が不足している」などの場合には、リライフネットへご相談ください。
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