生活保護の申請を行ったものの、却下の通知を受け取るケースは一定のケースが見られます。想定していなかった結果に戸惑い、「今後どうすればよいのか分からない」と感じる方も少なくありません。
ただし、却下決定はその時点での判断であり、必ずしも状況が固定されるわけではありません。理由の確認や必要な手続きを踏むことで、見直しにつながる可能性もあります。
本記事では、却下通知を受け取った際に確認すべき点から、審査請求の流れ、再申請の考え方、生活費に困った場合の支援制度まで順を追って整理します。リライフネットの相談支援の現場で見られる傾向も踏まえながら、対応のポイントを解説します。
1.却下通知が届いたら最初に確認すること

生活保護申請が却下された場合、まず検討すべき対応の一つとして重要なのは、通知内容の正確な把握と整理です。通知書には一定の理由が記載されていますが、判断の詳細までは明確でない場合もあります。
①却下理由の内容を正確に読み取る
却下通知には「資産要件」「扶養の可否」「稼働能力(就労可能性)」などの理由が記載されることがありますが、表現が抽象的なケースも見られます。
例えば「資産要件を満たしていない」と記載されている場合でも、どの資産(預貯金・保険・不動産など)がどの程度影響したのかは個別事情によって異なります。
そのため、必要に応じて福祉事務所へ問い合わせ、判断の根拠を確認することが考えられます。
②主な却下理由と確認ポイント
却下理由は一見すると単純な分類のように見えますが、実際には複数の要素が組み合わさって判断されることがあります。資産の有無だけでなく、その評価額や生活維持への影響、扶養関係の実態、稼働能力(就労可能性)に関する医療的な判断などが総合的に考慮される場合もあります。
そのため、却下通知を受け取った際には「どの要素が判断に影響したのか」を整理することが重要とされています。以下に、代表的な却下理由と確認すべきポイントを整理します。
代表的な却下理由は大きく3つに整理されることが多く、判断の基準を把握するための参考情報として扱われます。

特に扶養関係や就労可能性については、生活実態と評価内容に差が生じるケースもあるため、事実関係を丁寧に整理することが必要になります。
③福祉事務所への確認と記録の整理
判断内容に不明点がある場合は、福祉事務所へ確認することが考えられます。その際は、感情的なやり取りを避け、事実確認として整理する姿勢が大切です。
確認内容は、後の手続きに備えて整理しておくことで、経緯の把握や説明の補助材料として活用できます。そのため、やり取りの内容については、可能な範囲で記録しておくことが望ましいとされています。
記録しておくべき主な情報は以下の通りです。
- 確認した日時
- 担当者の所属・氏名(分かる範囲)
- 説明内容の要旨
- 回答内容の要点
これらは審査請求や再申請を検討する際に、判断経緯を整理する材料として役立つ可能性があります。
④初期対応の整理が後の手続きに影響する場合
生活保護申請に関する相談対応の中でも、初期段階で情報整理が十分でないまま手続きを進めると、後から事実関係の確認や整理に時間を要するケースがあります。
特に、却下理由の理解が曖昧なまま次の手続きに進むと、審査請求や再申請の準備が複雑になることがあります。そのため、初期段階で情報を整理し、客観的に状況を把握しておきましょう。
こうした整理は、後の手続きにおいて判断材料の一つとして参照されることがあります。
2.審査請求の流れ

審査請求は、生活保護申請の却下決定に対して不服を申し立てるための手続きとされています。決定を知った日の翌日から一定期間内に行う必要があるとされており、期限の把握が重要になります。※1
①審査請求書の作成と提出方法
手続きの基本的な流れとしては、まず審査請求書を作成し、福祉事務所を経由して都道府県の審査機関へ提出します。提出方法は自治体ごとに異なる場合があるため、事前確認が必要です。
書式についても自治体によって異なることがあるため、あらかじめ確認しておくことが望ましいとされています。
提出の際には、正本・副本の取り扱いが必要となる場合もあるため、記載方法や提出ルールについて事前に確認しておきましょう。
②記載内容の整理と主張の考え方
審査請求においては、「どの部分に不服があるのか」「なぜその判断に異議があるのか」を整理することが中心となります。
感情的な主張ではなく、事実関係や生活状況に基づいた説明が重視されるとされています。例えば、資産状況や就労の可否、扶養関係などについて、実態との違いを整理する形が一般的です。
③添付資料と補強の考え方
主張を補強するために、医師の意見書や収入・資産に関する資料などが提出されることがあります。ただし、必要となる書類は個別事情によって異なります。
そのため、状況に応じて、生活実態を説明できる客観的な資料を整理しておくことが大事です。
④審査過程での対応と説明機会
審査の過程では、必要に応じて事情聴取が行われます。その際には、申請時点からの状況変化や現在の生活状況について説明を求められることがあります。
事前に経緯を整理しておくことで、説明時の補助資料として活用できます。
⑤支援体制について
生活保護申請に関する相談対応の中では、書類整理や事実関係の整理について、必要に応じて同行支援や申請準備の補助が行われることがあります。こうした支援は状況に応じて活用が検討されるケースもあります。
※1出典:総務省「行政不服審査法の概要」参照:2026.06.02
3.再申請する場合のポイント

再申請は、生活保護の却下後にあらためて申請を行う手続きです。審査請求とは別の対応として扱われることがあります。前回の却下理由がどの程度変化しているかが、判断の参考とされる場合があります。
①再申請で重視される変化の有無
再申請では、前回の申請時から状況に変化があるかどうかが確認されます。たとえば収入状況の変化、健康状態の悪化または回復、扶養関係の変化など、客観的に説明できる要素がある場合には、再度の判断対象となることがあります。
一方で、前回と状況がほとんど変わっていない場合には、同様の結果となる可能性があるため、事前に整理しておくことが大切です。
②書類不備や説明不足への対応
再申請の際には、必要書類の不足や説明内容の不明確さが原因となる場合があります。そのため、提出書類を改めて確認し、前回申請時との違いや補足情報を整理しておくことが重要です。
特に、医療関連の資料や収入・資産に関する証明などは、状況の変化を示す資料として扱われることがありますが、必要性は個別事情によって異なります。
③再申請時の準備と整理の考え方
再申請では、前回の申請内容と比較しながら、どの点が変化しているのかを明確にしておくことが重要です。単に同じ内容を繰り返すのではなく、現状に即した説明を整理する必要があります。
また、申請時の説明内容と実際の生活状況に差がある場合には、その理由を整理しておくことで、説明の補足につながることがあります。
④支援体制の活用について
生活保護申請に関する相談支援の中では、再申請に向けた状況整理や必要書類の確認について、関係機関との調整や同行支援が行われることがあります。こうした支援は、申請に関する負担軽減につながる場合があります。
4.生活費に困ったときの支援制度

審査請求や再申請の期間中は、生活費の確保が課題となる場合があります。そのため、公的制度や民間支援の活用が検討されます。
①公的支援制度の活用
生活費が不足した場合には、生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金などの公的支援が利用できる場合があります。※1
これらは主に社会福祉協議会を通じて実施されており、生活再建を目的とした一時的な資金支援です。
ただし、利用には収入状況や生活状況などの条件が設けられており、地域によって運用が異なります。そのため、事前に窓口で確認することが必要です。また、自治体によっては住居確保に関する支援が行われる場合もあります。
②民間支援と相談窓口の活用
フードバンクやNPO法人などによる食料支援は、生活費を補う手段の一つとして活用されることがあります。※2
これらは行政制度とは異なり、地域ごとの活動状況によって提供内容が変わります。
支援制度は複数存在するため、状況に応じて情報を整理し、適切な窓口へ相談することが重要です。リライフネットでは、こうした制度の情報整理や住居確保、生活再建に向けた相談支援を行う場合があります。ただし、支援内容は個別の状況によって異なります。
※1出典:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」参照:2026.06.02
※2出典:全国フードバンク推進協議会 参照:2026.06.02
5.よくある質問

①審査請求に費用はかかりますか?
審査請求自体に費用はかからないとされています。ただし、医師の意見書や各種証明書などの取得には、実費が発生する場合があります。
②審査請求と再申請は同時にできますか?
状況によっては審査請求と再申請を並行して進めることも可能とされています。ただし、手続きの進め方は自治体の運用や個別の事情によって異なるため、事前に確認しながら対応することが必要です。
③却下後すぐに再申請してもよいですか?
却下後であっても再申請を行うこと自体は可能とされています。ただし、前回の却下理由に対して状況の変化がない場合には、同様の判断となる可能性があります。そのため、収入や健康状態、扶養関係などに変化があるかどうかが重要な判断材料になります。
④審査請求にはどれくらい時間がかかりますか?
審査請求の処理には、一般的に数か月程度かかるケースが多いとされています。ただし、事案の内容や追加確認の有無などによって期間は前後します。
⑤一人で手続きを進めるのが不安です。相談先はありますか?
自治体の福祉窓口や法テラス、NPOなどの支援団体が相談先として挙げられます。それぞれ対応できる内容が異なるため、状況に応じて活用を検討することが重要です。
6.まとめ

再申請の場合は、収入の変化や体調の変化など、前回の申請時から状況がどう変わったかを説明できるかどうかが一つの目安になります。
手続きの間は、生活費のやりくりが不安になることもあるため、必要に応じて公的な貸付制度や民間の支援などを確認してみるのも一つの方法です。
一人で進めるのが難しいと感じる場合は、早めに相談窓口を利用しながら、状況を整理していくことで負担を少し軽くできることがあります。
この記事では、生活保護申請が却下された後の対応として、審査請求の流れや再申請の考え方、生活費に困った場合の支援制度について解説しました。
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