生活保護の受給は、
- 働くことができないこと
- 資産がないこと
- 経済的に頼れる人がいないこと
などが主な条件となっています。
しかし、これらの条件を満たしている方でも、生活保護を受けられない事例が見られます。
今回は、生活保護を受給できない代表的な事例を紹介します。
1.探せば仕事が見つかる場合
働くことができないから生活保護を受ける場合、病気やケガなどによって働けないことやシングルマザーの育児など仕事に制限がかかるなどの理由が条件になります。
そのため現在無職の場合でも探せば仕事が見つかり、働ける場合は就労活動を行っていく必要があります。
保護要件を満たしている場合には申請を却下されることはありません。
しかし、生活保護受給中に就労支援の拒否や、過度に消極的な活動しかしない場合は、生活保護が打ち切られてしまうこともあるので注意が必要です。
また、日本には再就職へ向けた手厚い支援制度があるため、就職によって経済的に自立できる状況の方は、生活保護ではなく各種支援制度を利用することが求められます。
2.利用できる資産を保有している場合
資産は現金だけではなく貯金や不動産、生命保険、自動車なども含まれます。
生活保護はいわゆる最後の砦です。
生活保護に頼る前に活用できるものは活用しなければならないため、資産は売却しお金に替えて、生活再建を図る必要があります。
現金化が可能な資産を保有している場合は、原則として生活保護は受けられません。
しかし、自動車や不動産が生活する上で欠かせない場合は、例外として所有が認められます。
地方では、住居の近くにバスや電車など公共交通機関がない場合があります。
そのようなケースでは、通勤や通院など必要不可欠な場合に、所有が認められます。
また、ローンの支払いが終わっている古い持ち家なども、売却せずに住み続けられるケースがあります。
3.生活保護以外の制度の対象となる場合
日本には生活保護以外にも、生活が困窮した場合に利用できる制度があります。
給付金が受け取れる制度の対象になる場合は、それらの制度を利用することが優先されます。
①老齢年金
老齢年金は65歳以上が対象になります。年齢や受給条件を満たしている場合には、手続きをして老齢年金を受け取ります。
また、受け取れる老齢年金が、生活保護で定められた「最低生活費」よりも少ない場合は、条件を満たしているケースに限り、不足分が生活保護から支給されます。
最低生活費は、世帯の構成や現在の収入、住んでいる住所の「級地」と呼ばれる等級で変わります。
老齢年金で家賃や水道光熱費などの支払いをすると、手元に生活費が残らない場合は、年金額が最低生活費を下回っている可能性があります。
住所地の福祉事務所に相談してみましょう。
②障害者年金
事故による後遺症や病気など、就職が困難な場合に受け取れる年金です。
ケガや病気が原因で生活が困窮している場合は、利用できないか検討してみましょう。
障害者年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
国民年金に加入している期間中に、障害が発生し医師の診療を受けた場合には、「障害基礎年金」となります。
厚生年金加入中に、医師の診療を受けた場合には「障害厚生年金」の対象です。
「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の受給には、「保険料納付要件」を満たす必要があります。
③遺族年金
世帯の収入を維持していた人が亡くなった場合、扶養されていた遺族が受け取れる年金です。
生計を支えていた家族を失った場合に、生活が困窮するケースが多いため、この制度に該当しないか確認してみましょう。
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
支給される遺族年金は、亡くなった方の年金加入の状況によって変わります。
場合によっては、両方の遺族年金が支給されるケースもあります。
対象となるのは、「亡くなった方の配偶者で子どもがいる」場合と、亡くなった方に扶養されていた「子」です。
遺族年金が受け取れる可能性がある場合は、お近くの年金事務所で相談しましょう。
④失業保険・労災保険・傷病手当金
仕事が何らかの理由で継続できなくなった場合には、「失業保険」「労災保険」「傷病手当」を検討しましょう。
「失業保険」は、失業した場合の生活費となる基本手当などが給付される保険です。
働いていた職場で離職票を受け取り、ハローワークで手続きをします。
「労災保険」は、通勤中の事故や作業中のケガ、仕事が原因のうつ病など、勤務中に発生したケガや病気によって働けなくなった場合に受け取れる保険です。
労災があった場合には、労働基準監督署長に必要書類を提出します。
「傷病手当金」は、病気やケガで仕事ができない期間が3日間連続した場合に、4日目から休んだ日数分が支給されます。期間は最長で1年6カ月です。
加入している健康保険に必要書類を提出します。
⑤生活福祉資金貸付制度・求職者支援資金融資
新たな就職先を探す際に活用したい制度が、「生活福祉資金貸付制度」と「求職者支援資金融資」です。
「生活福祉資金貸付制度」は、「社会福祉協議会」が主体となって実施している貸付制度です。
生活が困窮している方への生活支援や就職支援を目的としています。
生活再建までの期間に必要な生活資金や就職のための技術の習得にかかる費用が貸付されます。
貸付資金は総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金に分類され、各資金に限度額や償還期限が定められています。
生活再建までの生活費となる「生活支援費」償還期限は、据置期間(最後に貸付を受けた日から6月以内)経過後10年以内です。
「求職者支援資金融資」は、「職業訓練受講給付金」が支給されている方が対象です。
「求職者支援資金融資」の窓口は、住所地のハローワークになります。
職業訓練中の生活費が不足する場合に、「求職者支援資金融資」から貸付を受けられます。
当座の生活資金の融資を受けながら、再就職に向けたスキルアップに集中することが可能です。
⑥母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
母子家庭、父子家庭を対象とした貸付制度です。
住所地の地方公共団体の福祉窓口から申し込みます。
扶養している子どもが20歳未満の場合に対象になります。
就職するための技能習得資金や、就職時に必要な衣服などの就職支度資金、子どもの授業料や交通費などの修学資金の貸付が受けられます。
4.扶養義務がある親族がいる場合
親や兄弟など扶養義務がある親族がいて、その親族が生活保護申請者の扶養に応じられる場合は生活保護を受けることはできません。
基準となるのは、「3親等以内の親族」です。
親等は、本人を「0」として数えます。
世代が変わるごとに数字を1つ足します。
親や子どもは、本人から1つ世代が変わるため「1」を足して、「1親等」となります。
2つ世代が変わる「2親等」は、祖父や祖母、孫です。
兄弟や姉妹は、親を「1」と数え、親の「子」と数えるため、「2親等」になります。
「3親等」となる伯父と叔母、甥、姪までが、扶養義務がある親族です。
扶養義務者である「3親等以内の親族」による援助が可能かどうかは、生活保護の申請後に、福祉事務所が調査します。
しかし、親族との関係が悪化していたり、扶養能力はあるが頼りにできない理由(家庭内暴力など)がある場合、親族への通知を控えて生活保護の受給を決定する場合もあります。
5.生活保護の各種相談はリライフネットへ
今回は生活保護を受けられない場合に多い事例を紹介しました。
生活保護は生活保護費を受け取らないと生活ができない方のための制度であり、最後のセーフティネットです。
そのため受給するためには今回紹介した「働くことができない」「資産がない」「頼りにできる人がいない」といった条件のほかにも審査基準があります。
生活保護制度は、日本の国民が平等に受けられるものですので、要件を満たせばどなたでも受給出来るものです。
自分が生活保護を受けられる状況にあるのかや、より詳しく生活保護について知りたい方は、是非一度リライフネットにお問い合わせ下さい。
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