生活困窮者とはどんな人?

生活困窮者は、様々な理由から生活の経済面で困窮する人のことを指します。

具体的には生活困窮者自立支援法第三条で、「就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義付けられています。

国はこれまで、高齢者・児童・障がい者などを主な対象とした福祉施策に力を入れてきましたが、その枠組みにあてはまらないが生活のサポートを必要とする人が増加してきました。

具体的な困窮内容としては、以下の例が挙げられます。

・離職後の再就職ができず、求職活動もうまくいかない

・家族を介護しなければならず、フルタイムの就労が難しい

・DV被害から逃れたが、生活状況がまだ安定しない

・不登校から引きこもりになったため社会参加が困難

これらの人は以前から一定数いましたが、社会の多様化によりその存在が顕在化し大きな社会問題となりました。その実態を踏まえ、生活困窮者を救済する方法として生活困窮者自立支援制度が誕生しました。

「生活困窮者自立支援制度」とは何か

生活困窮者を救済する制度の根幹としては従来から生活保護がありますが、あくまでも最後のセーフティネットという位置付けです。受給できる人が限られるとともに、いったん受け始めた人は生活再建への道が厳しくなるという現実もあります。

そこで生活保護に至る前の支援策として、2015年(平成27年)4月から生活困窮者自立支援制度がスタートしました。生活困窮者自立支援法第一条で「生活困窮者に対する自立の支援に関する措置」と定義されており、生活保護に至る前段階に支援することで生活困窮者の自立促進を図るというものです。

生活困窮者自立支援制度は必須事業と任意事業で構成されており、制度の基本である必須事業として自立支援相談事業住居確保給付金の支給があります。

自立相談支援事業

自立相談支援事業は生活困窮者自立支援制度の根幹をなす事業で、専門の相談員が相談者の実態に応じた支援プランをもとに自立をサポートします。

他の専門機関と連携をとることで生活保護を要する状態に至る前に生活立て直しを図るというものですが、状況に応じ生活保護や生活福祉資金貸付へ誘導する場合もあります。また支援開始後も定期的なモニタリングを行い、実態に合わせたプランに修正しながら自立を総合的に支援しています。

相談窓口である自立相談支援機関は各市区町村が定めており、社会福祉協議会やNPOなどの機関が相談にあたっています。相談機関の一覧は厚生労働省のホームページで公表されているので、自分が住んでいる地域や他の地域も含め自分で確認することも可能です。

生活困窮者住居確保給付金の支給

住居確保給付金は生活の土台である住環境の整備を支援するという目的で、家賃相当額を支給するものです。

離職などで住居を失った人や失うおそれのある人を対象に、就職に向け活動するという条件を付けて一定期間給付金を支給することで、間接的に就労支援を行います。

この事業は金銭を給付するため、資産や収入に関する要件が定められています。

制度を利用できる条件はあるのか

生活困窮者自立支援制度は生活困窮者を対象としたもので、具体的には「経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」に限られています。

給付金はもちろんですが、給付を伴わない事業実施のためにも税金を使うので、一定の資産・収入に関する要件を満たす場合にはじめて、各種の支援を受けることが可能です。

必須事業のうち住居確保給付金では全国統一の基準が示されており、主たる生計維持者の離職状況や世帯収入の合計額が基準を下回ること、求職活動をするなどの要件をクリアする必要があります。

一方任意事業の実施内容は自治体によって異なるため、補助額をはじめ要件の詳細は相談窓口や各自治体に問い合わせましょう。

生活保護と生活困窮者自立支援制度は違う?

生活保護と生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者に対する支援という点が共通しています。しかし生活保護が「最後の砦」であるのに対し、生活困窮者自立支援制度はその手前で救済するという大きな違いがあります。

また生活保護は原則金銭給付ですが、生活困窮者自立支援制度は一部例外を除き人的支援が事業の中心となります。自立を見据え計画的なサポートが受けられるという特徴があるものの、すぐ現金を必要とする人にとってはメリットが薄いと言えるかもしれません。

その他の支援制度

生活困窮者自立支援制度は必須事業と任意事業とで構成されていますが、任意事業は自治体ごとの判断で、実態に応じ実施している事業です。

厚生労働省が示す任意事業としては、以下の5事業があります。

就労準備支援事業

就労準備支援事業は「社会や就労への第一歩」をサポートするという目的で、働くための訓練をする場所を提供するという事業です。

地域社会との関わりやコミュニケーションなどに不安がありすぐ就労することが難しい人を対象に、基礎能力を身につけながら就労へ向けた支援や就労機会の提供を一定期間行います。

就労訓練事業

就労訓練事業はすぐに一般就労することが難しい人を対象に、中間的就労という性格の就労訓練を実施するというものです。

サポート対象者それぞれに合った作業機会を提供することで柔軟な働き方を支援するとともに、一般就労を目指し個別の就労支援プログラムに基づき中長期的な支援を行います。

家計改善支援事業

家計の立て直しを支援する事業として、具体的にアドバイスするのが家計改善支援事業です。

家計状況を「見える化」することで課題を把握し、早期の生活再生を支援します。具体的には支援計画の作成や相談支援、貸付をはじめとした具体的な支援を行う関係機関とのつなぎなど、必要に応じたサポートを行います。

なお支援を受けるには、資産・収入に関する一定の要件を満たす必要があります。

生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業

生活困窮世帯で暮らす子どもたちやその保護者を対象に、将来へ向け必要な支援を行うのが子どもの学習・生活支援事業です。

子どもの学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、仲間と出会い活動ができる居場所づくり、進学に関する支援や高校進学者の中退防止に関する支援など、事業を通じ子どもの明るい未来をサポートします。

一時生活支援事業

一時生活支援事業は住居のない人に衣食住を提供するというもので、実際に宿泊施設を提供するという点が家賃補助の住居確保給付金とは異なります。

住居のない人に加え、ネットカフェなど不安定な住居形態の人を対象として、宿泊場所や衣食を提供します。また退所後の生活も見据え、就労支援をはじめとした自立のサポートも行うのが特徴です。

この事業にも、資産・収入に関する一定の要件が設けられています。

支援を受けるときにはどこに相談したらいいのか

最後のセーフティネットである生活保護に至る前に、生活困窮者を救済するのが生活困窮者自立支援制度の趣旨です。

そのため国や自治体が「地域の相談窓口へ」と言っても、必要な人へ十分な支援が行き渡らないことも考えられます。そんな中生活に困っている人の相談先のひとつとして、リライフネットをおすすめします。

リライフネットは生活困窮者を対象にした様々なサービスを提供していますが、中でも住居確保の支援を得意としています。また行政や不動産事業者・職業紹介事業者などとも連携しており、必要に応じ他サービスの紹介や生活保護の申請サポートも可能です。

もちろん相談は完全無料となっています。

生活に困窮する人は公的な相談窓口に加え、リライフネットの利用も検討してはいかがでしょうか。