生活保護受給中の物件探しにお困りではありませんか?この記事では、生活保護制度で認められている家賃の上限、住宅扶助で支給される各種費用などについて解説します。また、生活保護の基準の範囲内で、物件を探すためのポイントについても紹介します。
1.生活保護受給者が借りられる物件の基準

生活保護受給者が賃貸物件を契約する場合、住宅扶助の範囲内で探すことがポイントです。具体的には、以下のような目安があります。
①住宅扶助の上限額
住宅扶助の上限額は、住む地域によって変わる「級地」と世帯の構成人数によって細かく設定されています。例えば東京都23区(1級地)の場合、単身世帯で53,700円、2人世帯では64,000円、3人から5人世帯69,800円、6人世帯75,000円、7人以上世帯83,800円以内となります。(※1)物件を探す前に、ケースワーカーに家賃の上限額を聞いてみましょう。
②住宅扶助の対象となる費用と対象外の費用
住宅扶助の対象となる費用には、月々の家賃、間代、地代のほか、特別基準額として敷金、礼金、契約更新料、住居維持費が含まれます。(※2)また、条件を満たした場合には、引越し費用、仲介手数料、火災保険料なども一時扶助金として支給される場合があります。一方、管理費、共益費、水道光熱費は住宅扶助の対象外となり、生活扶助から支払う必要があります。そのため、物件を選ぶ際は、これらの費用も含めた総額を考慮することが重要です。
2.生活保護受給者向け物件を扱う不動産会社の探し方

生活保護を受給しながら物件を探す場合、まず生活保護受給者向けの物件を扱う不動産会社を探すことが重要です。不動産会社によっては、生活保護受給者との契約を避けているケースもあるためです。
①生活保護受給者の仲介実績がある会社の見つけ方
生活保護受給者の入居を積極的に受け入れている不動産会社を探し、その不動産会社の取り扱い物件から探しましょう。特に、空室対策として生活保護受給者向けの物件を多く扱う会社では、住宅扶助の代理納付制度により家賃の支払いが安定しているため、受け入れに前向きな場合があります。また、母子家庭など補助を受けている人を専門に対応している保証会社と提携している不動産会社もあり、このような会社は生活保護受給者の受け入れ実績が豊富です。
②ケースワーカーからの紹介
各自治体のケースワーカーは日々物件探しに奔走しており、生活保護受給者の受け入れ実績がある不動産会社と連携している場合があります。担当ケースワーカーに相談することで、信頼できる不動産会社を紹介してもらえる可能性もあります。
③不動産会社への相談時の注意点
不動産会社への相談時は、生活保護受給の事実を正直に伝えることが重要です。また、以下の点について事前に確認しておきましょう。
- 住宅扶助の代理納付制度が利用可能か
- 保証会社の審査基準や手続き
- 契約時に必要な書類や保証人の要否
なお、複数の不動産会社に相談することで、より多くの選択肢を得ることができます。インターネットでの物件検索と併せて、多角的に情報を収集することが物件探しのコツとなります。
3.賃貸契約までの具体的な手順と必要書類
生活保護受給中の賃貸契約は、常にケースワーカーや福祉事務所と相談しながら進める必要があります。
①物件申し込みから契約までの流れ
賃貸契約の手順は以下の順序で進められます。
- 希望物件の選定と内見
- 不動産会社での申込書の記入
- 初期費用の見積もり取得
- ケースワーカーへの見積もり提出と承認
- 保証会社の審査
- 賃貸借契約の締結
- 初期費用の支払いと鍵の受け取り
特に重要なのは、契約したい物件が見つかった場合に、契約する前にケースワーカーの承認を得ることです。住宅扶助の基準に合致しているか、初期費用の支給が可能かなど、事前確認が必要となります。
②ケースワーカーとの事前相談の重要性
生活保護受給者の場合、物件を契約する前にケースワーカー以下の承認を得ましょう。
確認が必要な項目
- 住宅扶助費の上限額の確認
- 物件の条件が生活保護の基準に適合しているかの確認
- 引越しの必要性の確認
- 初期費用の扶助の確認(条件に該当するか)
ケースワーカーとの事前相談により、契約後のトラブルを防ぎ、スムーズな入居が可能となります。また、条件に該当した場合は、引越し費用などの一時扶助の申請も、円滑に進めることができます。
③必要書類と保証人の問題
契約には、以下の書類が必要になります。
1-必要書類
- 賃貸借契約申込書
- 生活保護受給証明書
- 本人確認書類(顔写真付き)
- 保証会社申込書
2-保証人について
保証人を確保できない場合は、以下の対応が可能です。
- 保証会社の利用
- 代理納付制度の活用
- 緊急連絡先の確保(保証人とは異なり、支払い義務は発生しない)
近年は保証会社の利用が一般的となっており、多くの不動産会社で保証人不要の物件が増えています。また、生活保護受給者向けの保証プランを用意している保証会社も増加しています。
4.生活保護受給者の賃貸契約における注意点

①住宅扶助の代理納付制度の活用
住宅扶助の代理納付制度は、借主である生活保護受給者と家主双方の事務負担を軽減し、家賃支払いの確実な履行を図る制度です。この制度では、福祉事務所が家主に直接家賃を支払います。2020年4月からは、家賃滞納の有無にかかわらず、原則として代理納付を適用することとなっています。(※3)これにより、家賃の支払いが確実となり、入居者の居住安定が図られます。
②保証会社の審査対策
保証会社の審査を通過するためには、以下の点に注意が必要です。
- 生活保護受給証明書の提出
- 代理納付制度の利用申請
- 緊急連絡先の確保
- 生活保護受給者の審査に慣れている保証会社の選択
③契約時のトラブル防止策
契約時のトラブルを防ぐために、以下の対応が重要です。
- 契約前にケースワーカーへの相談と承認
- 住宅扶助費の上限額の確認
- 共益費や管理費の支払い方法の確認
- 初期費用の扶助申請手続きの確認
- 契約書と領収書の写しをケースワーカーへ提出
これらの手続きを確実に行うことで、入居後のトラブルを未然に防ぐことができます。
※3出典:全日本不動産協会『厚労省・国交省「生活保護制度における住宅扶助代理納付について」』参照:2024.11.30
5.生活保護のご相談はリライフネットへ

生活保護受給中の物件の探し方について解説しました。生活保護受給中の物件探しで、最初の難関となるのは、生活保護受給者との契約に前向きな不動産会社を探すことだといえます。一般的な不動産会社の場合、生活保護受給者との契約を避ける会社もあるため、話を進めてから契約できないことが判明するケースもあります。
このようなケースを避けるためにも、事前に生活保護受給中であることを伝えることが重要です。また、生活保護受給者への積極的な住居提供を行っているリライフネットへ相談することもおすすめです。
リライフネットは、関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。本コラムで説明した生活保護受給中の物件探しや住居の確保にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料で相談が可能です。
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