
生活保護を受給している方が老人ホームに入所できるかどうかは、多くの方にとって非常に重要な関心事です。高齢化が進む日本社会において、経済的に困窮している高齢者が安心して老後を過ごすためには、生活保護制度と介護施設の仕組みを正しく理解することが不可欠なのです。特に、介護保険制度との関係や、入所できる施設の種類、費用負担の仕組みなどを把握することが、適切な施設選びと生活の安定につながります。
1.生活保護を受けながら老人ホームに入れるのか

生活保護制度は、憲法第25条に基づき、すべての国民に最低限度の生活を保障することを目的としています。また、生活保護受給者が必要と認められる場合には、介護施設への入所にかかる費用も生活保護の対象となります。つまり一定の条件を満たせば、生活保護を受けながら老人ホームに入所することは可能なのです。
①生活保護と高齢者福祉施設の関係
高齢者が介護を必要とする場合、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどの福祉施設への入所を検討することもあるでしょう。生活保護を受給している方がこれらの施設に入所する場合、施設の種類や運営形態によって対応が異なりますが、原則として介護扶助と住宅扶助を組み合わせることで、入所にかかる費用の大部分が生活保護費で賄われます。
特に、特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設では、介護保険の自己負担分が介護扶助により支給され、居住費や食費などの負担も、生活扶助や住宅扶助の中で調整される仕組みとなっています。一方、有料老人ホームなどの民間施設では、入所費用が高額になることが多く、生活保護基準を超える場合には支援対象外となるケースもあります。
入居に関する支援は、単なる住まいの提供にとどまらず、医療・介護・生活支援を含めた包括的な支援が必要とされています。そのため、福祉事務所、介護支援専門員(ケアマネージャー)、施設職員など、複数の関係者が連携しながら、個々の状況に応じた最適な支援が提供されることが理想とされています。
2.入所可能な施設の種類

日本における老人ホームには、さまざまな種類がありますが、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」に分類されます。それぞれに入居条件や提供されるサービス、費用負担の仕組みが異なっており、特に生活保護を受給している方にとっては、選択肢の幅や費用の負担軽減に大きな違いがあります。ここでは、代表的な老人ホームの種類とその特徴を詳しく解説します。
①特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、要介護3以上の高齢者を対象とした公的な介護施設であり、介護保険制度に基づいて運営されています。入居者の所得や資産状況に応じて、費用の一部が軽減される仕組みが整っており、生活保護受給者も入居可能です。特養は地方自治体が設置・運営しているケースが多く、費用が比較的安価であるため、経済的に困窮している高齢者にとっては有力な選択肢となります。
特養に入居する際には、生活保護の住宅扶助や介護扶助を活用することで、自己負担を最小限に抑えることが可能です。さらに、厚生労働省の生活保護基準に基づき、施設利用料や食費、居住費などの必要費用は、生活保護の支給対象となるため、実質的な負担は非常に軽くなります。
②介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、病院からの退院後に自宅復帰を目指す高齢者のための中間施設です。医療やリハビリテーションを中心としたサービスが提供されており、要介護1以上の認定を受けている方が対象です。老健も介護保険の適用を受けるため、一定の費用軽減制度がありますが、原則として短期間の利用を目的としているため、長期的な居住には適していません。
生活保護受給者が老健を利用する場合、介護扶助と医療扶助の両方が適用されるため、自己負担は原則として発生しません。ただし、老健は医療的ケアが必要な方やリハビリを要する方が対象であり、生活の場としての機能は限定的です。そのため、長期的な入居を希望する場合は、他の施設と併せて検討する必要があります
③有料老人ホーム
民間が運営する有料老人ホームは、入居一時金や月額費用が高額になる傾向があり、生活保護の扶助基準を超えるケースが多く見られます。そのため、生活保護受給者が入居するには、施設側が生活保護受給者向けの特別プランを用意している場合や、自治体と連携して低額利用が可能な場合に限られます。生活保護でカバーされる範囲内で受け入れ可能な施設を選定することが重要であり、事前に各施設と自治体に相談することが推奨されます。
④グループホーム
認知症対応型共同生活介護施設であるグループホームは、介護サービス費用が介護扶助でカバーされますが、家賃や食費、共益費などは住宅扶助および生活扶助の範囲内で支給されるため、施設によっては自己負担が発生する場合もあります。特に、家賃が住宅扶助の基準額を超える場合には、超過分が自己負担となる点に注意が必要です。
⑤サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住はバリアフリー設計の賃貸住宅であり、介護サービスは外部の訪問介護などを利用する形になります。家賃や共益費は住宅扶助、食費や日用品費は生活扶助、介護サービス費は介護扶助でそれぞれカバーされますが、家賃が地域の住宅扶助基準を超える場合や、生活支援サービス費が高額な場合には自己負担が必要となります。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)については、施設ごとに生活保護受給者の受け入れ可否が異なります。民間施設であっても、運営者が福祉的な配慮を行っている場合は、生活保護受給者の受け入れが可能なケースがあるため、施設選びの際には事前に確認が必要です。
3.入所の条件

生活保護を受給している方が老人ホームに入居する際には、いくつかの重要な条件や手続きが存在します。これは単に施設の空き状況や入居希望だけで決定されるものではなく、厚生労働省が定める生活保護制度の運用方針や、各自治体の福祉事務所の判断に基づいて慎重に決められます。特に、生活保護の受給者が入れる老人ホームには種類や条件があり、それぞれの施設の性質や提供されるサービス内容、費用負担の仕組みなどを理解することが非常に重要です。
①生活保護で入居するための基本的条件
生活保護受給者が老人ホームに入居するためには、厚生労働省が定める生活保護制度に基づき、次のような条件を満たす必要があります。これらの条件は、生活保護の専門家の知見に基づいており、現場での実務に即した内容です。
1-要介護認定の取得
特別養護老人ホームなどの介護施設に入居するには、要介護認定が必要です。特に特養では要介護3以上であることが原則条件とされています。生活保護受給者であっても、介護認定を受けていない場合は入居が認められないため、まずは市区町村に申請し、介護度の評価を受ける必要があります。
2-自立生活が困難であること
生活保護では、原則として自宅での生活を基本としています。しかし、身体的・精神的な理由により自宅での生活が困難であると福祉事務所が判断した場合に限り、施設入居が認められます。たとえば、独居高齢者で日常生活に支障をきたしている場合や、家族からの支援が得られず、在宅介護が現実的でないと判断された場合などです。
3-施設費用が生活保護の扶助範囲内であること
老人ホームの費用が、生活保護の「生活扶助」「住宅扶助」「介護扶助」「医療扶助」などの範囲内に収まっている必要があります。たとえば、特養の場合は利用料が比較的安価であり、生活保護の範囲内で収まることが多いため、入居が認められる可能性が高いです。一方、有料老人ホームやサ高住などは費用が高額になりがちで、扶助の範囲を超える場合には入居が認められません。
4-福祉事務所の許可があること
生活保護を受給している方が老人ホームに入居するには、必ず事前に福祉事務所の許可を得る必要があります。これは、生活保護法に基づく制度運用の一環であり、勝手に施設へ入居した場合、その費用が扶助の対象とならない可能性があります。福祉事務所では、本人の身体状況や介護度、家庭環境、施設の種類や費用などを総合的に判断し、入居の可否を決定します。
②民間の有料老人ホームに入れる条件
民間の有料老人ホームに入所するためには、以下のような条件を満たす必要があります。まず第一に、在宅での生活が困難であることが医師の診断や介護認定結果などにより客観的に証明されている必要があります。次に、入所予定の施設が生活保護制度における「居宅生活移行支援」の対象となっていることが求められます。
さらに、施設の入居契約において、生活保護費の範囲内で賄える費用設定になっていることも重要です。具体的には、入居一時金が無料または低額であり、月額利用料が福祉事務所の定める基準額を超えないことが条件です。これらの条件を満たす施設は限られているものの、全国的には一定数存在しており、地域によっては自治体が提携している民間施設もあります。
4.生活保護でカバーされる費用

老人ホームに入所する際に必要となる費用には、入所費用、食費、居住費、介護サービス費、日常生活費などがあります。生活保護制度では、これらの費用のうち、介護扶助、医療扶助、住宅扶助、生活扶助などの名目で必要な費用が支給される仕組みとなっています。
全額が無条件で支給されるわけではなく、施設の種類や費用の内訳、地域ごとの基準額などによって取り扱いが異なります。
①入居に関係する主な扶助
高齢者が必要な介護や住居を確保できるよう、複数の扶助制度が用意されています。老人ホームに入居する際に関係する主な扶助には、以下のようなものがあります。

これらの扶助を適切に活用することで、生活保護受給者であっても、一定の条件を満たせば老人ホームへの入居が可能となります。特に住宅扶助と介護扶助の適用範囲を正確に把握しておくことが重要であり、施設の選定においては、これらの扶助が適用されるかどうかを確認することが不可欠です。
②介護扶助と医療扶助の適用
介護保険サービスにかかる自己負担分は、介護扶助でまかなわれます。通常、介護保険サービスは1割から3割の自己負担がありますが、生活保護受給者はこの自己負担額が全額介護扶助で補填されるため、実質的な負担はありません。さらに、訪問介護、通所介護、短期入所などの在宅サービスを併用する場合も、介護扶助で賄うことができます。
入所中に医療が必要になった場合には、医療機関での受診や薬剤の処方が必要な場合があります。生活保護では医療扶助により、医療費の自己負担が免除されるため、施設入居中の通院や入院にかかる費用も安心して受けることが可能です。特に、慢性疾患や加齢に伴う疾患を抱える高齢者にとって、医療扶助の存在は大きな支えとなります。
③住宅扶助と生活扶助の活用
老人ホームの居住費や家賃に相当する部分は、住宅扶助の対象となります。特にサービス付き高齢者向け住宅に入所する場合、自治体によっては家賃の一部または全額が住宅扶助で支給されるケースもあります。
ただし、住宅扶助は在宅生活を前提とした支援であるため、施設入所後には住宅扶助の支給は停止されることが一般的です。ただし、施設の種類や契約形態によっては例外もあるため、具体的な施設と契約内容を確認することが重要です。
日常生活に必要な費用(衣類・日用品・娯楽費など)は生活扶助で支給されるため、入所後の生活も一定程度保障されます。
食費、衣類費、日用品費、理美容費、新聞代などの日常生活にかかる費用を月額利用料に含めて請求する場合もありますが、生活扶助の範囲を超える場合には自己負担となる可能性があります。特に、嗜好品の購入やレクリエーション費用などは生活扶助の対象外となることが多いため、注意が必要です。
④施設の入居にかかる費用と生活保護の支給額のバランス
生活保護の支給額は、本人の居住地、年齢、世帯構成、障害の有無などにより異なります。また、施設の費用も地域や施設の種類によって大きく異なるため、生活保護の支給額内で収まるかどうかを事前に確認する必要があります。
生活保護を受けている高齢者が老人ホームなどの施設に入所する場合、自己負担を最低限に抑えて入居することは可能です。これは、生活保護制度が「最低限度の生活の保障」を目的としているためであり、介護保険サービスの自己負担分については介護扶助により支給するとされているためです。ただし、支給されない場合もあるため、入居を希望する際は事前にケースワーカーや福祉事務所での相談を行ってから検討するようにしてください。
※上記以外の費用の一例

⑤入居一時金や保証金の取り扱い
有料老人ホームなどで発生する入居一時金や保証金については、生活保護制度では原則として支給対象外とされています。これは、入居一時金が将来的に返還される性質を持つ場合があるため、生活保護法における「必要かつ一時的な支出」として認められにくいからです。ただし、特例的に「一時扶助」として支給が認められるケースもあり、たとえば医師の診断により緊急に施設入居が必要と判断された場合などには、自治体が柔軟に対応することもあります。
5.施設の選び方のポイント

施設選びにおいては、生活保護受給者の受け入れ実績があるかどうか、介護サービスの質、医療体制、費用の内訳などを総合的に判断することが重要です。
①施設選びのチェック項目
施設の選定にあたっては、以下のような点を確認することが推奨されます。
1-施設側の受け入れ体制
すべての老人ホームが生活保護受給者の受け入れに対応しているわけではありません。施設によっては、生活保護受給者の受け入れに消極的な場合もあるため、事前に受け入れ実績や費用の取り扱いについて確認することが求められます。
2-費用の内訳
施設によっては、介護保険の給付対象外のサービスや特別な食事、娯楽費用などが別途請求される場合があります。生活保護では、必要最低限の費用しか支給されないため、こうした追加費用が発生しない、または生活扶助の範囲内で支払える施設を選ぶことが重要です。
3-各施設や自治体との連携
生活保護は市区町村の福祉事務所が窓口となるため、施設入所の前に必ず担当ケースワーカーと相談し、入所に必要な手続きや扶助の内容を確認することが必要です。事前に相談しておくことで、入所後のトラブルや支給停止などを防ぐことができます。

②地域差と施設の選び方のポイント
費用や入居条件には、地域ごとの差が大きく影響します。特に都市部では地価や人件費が高いため、同じ種類の施設でも費用が高額になる傾向があります。一方、地方では比較的低価格でサービスを受けられる施設も多く、生活保護受給者にとっては選択肢が広がる可能性があります。しかし、東京都内では生活保護受給者向けの特別養護老人ホームの入所支援が充実している一方で、地方の一部自治体では、施設数が限られており、入所までに時間がかかることもあります。
また、施設によっては生活保護受給者の受け入れに消極的な場合もあるため、事前に施設の方針や受け入れ実績を確認することが重要です。ケースワーカーや福祉事務所と連携することで、より適切な施設選びが可能となります。特に、福祉事務所を通じて入居相談を行うことで、費用面での調整や必要書類の整備もスムーズに進めることができます。
自治体によっては、生活保護受給者が入所しやすいように、家賃補助や入所一時金の貸付制度を設けている場合もあります。これらの制度を活用することで、生活保護を受けながらでもスムーズに老人ホームへ入所することが可能となります。
③生活保護対応可能施設
生活保護受給者が入居できる民間の有料老人ホームを探すために、まずケアマネージャーや福祉事務所、ケースワーカーに相談することで、生活保護受給者の受入れ実績がある施設の情報を得ることができます。また、福祉事務所と連携している福祉施設紹介業者を活用するのも一つの手段です。
さらに、施設のホームページやパンフレットで「生活保護対応可」や「生活保護受給者受入実績あり」といった記載があるかを確認することも重要です。中には、生活保護受給者向けの特別料金プランを設けている施設も存在し、そうした施設であれば、福祉事務所の基準内での入所が可能となる場合があります。
④施設選びの注意点
介護施設には公立と民間があり、施設によって居住費や食費の設定が異なります。生活保護の範囲内で賄える施設を選定することが重要であり、福祉事務所と事前に相談することで、適切な施設を紹介してもらえる可能性があります。また、介護保険施設の中には、生活保護受給者の入所を制限している場合もあるため、入所希望先の受け入れ体制を確認することが求められます。
⑤医療ニーズと介護度による判断
民間の有料老人ホームに入居する際には、医療ニーズや介護度も重要な判断材料となります。要介護度が高く、常時医療的なケアが必要な場合には、医療体制が整っている施設でなければ受け入れが難しいことがあります。生活保護制度では、医療扶助によって必要な医療費を支給することが可能ですが、施設側の受け入れ体制が整っていない場合、入所が認められないこともあります。
また、認知症の進行度や精神疾患の有無も、施設選定において重要な要素となります。これらの条件に応じて、専門的なケアが可能な施設の中から、生活保護制度に対応している施設を探す必要があります。
6.入所に関する手続きと注意点

生活保護を受給している方が老人ホームに入居する場合、事前に自治体の福祉事務所との相談が必要です。施設の種類や費用、本人の健康状態などをもとに、福祉事務所が入居の可否を判断し、必要な扶助の種類と金額を決定します。生活保護の専門家によれば、施設のパンフレットや契約書を持参して相談に行くことで、スムーズな手続きが可能になります。
①入所手続きと介護認定
生活保護を受けながら老人ホームに入所するには、まず福祉事務所への相談が必要です。福祉事務所では、本人の要介護度や健康状態、家庭環境、経済状況などを総合的に判断し、必要性が認められた場合に入所が許可されます。特に、介護保険の認定を受けていることが前提となるため、要介護認定の申請も同時に進める必要があります。
また、施設によっては生活保護受給者の受け入れに制限を設けている場合があります。特に民間が運営する有料老人ホームやサ高住では、入所時に保証人を求められたり、生活保護受給者の入所を断るケースもあるため、事前に施設側への確認が不可欠です。生活保護の専門家は、入所を希望する施設が生活保護制度に対応しているかどうかを、事前に福祉事務所と連携して確認することを推奨しています。
②基本的な手続きの流れ
生活保護受給者が老人ホームに入居するには、以下のような手続きが必要です。
1-入居希望施設の選定
まず、生活保護の扶助範囲内で入居可能な施設を探します。特養や老健などの公的施設が現実的な選択肢になります。施設には直接問い合わせを行い、入居の可否や空き状況、費用目安などを確認します。
2-福祉事務所への相談と申請
施設が決まったら、福祉事務所に相談し、入居の必要性について説明します。医師の診断書や介護認定結果、家庭状況などを提示し、入居許可を申請します。福祉事務所は、生活保護法に基づき、入居が適切かどうかを審査します。
3-入居決定後の契約と扶助内容の変更
福祉事務所から入居の許可が下りたら、施設と契約を結びます。その後、扶助内容の変更手続きが実施され、生活扶助や介護扶助の支給額が調整されます。施設側とも連携し、必要な書類を提出することが求められます。
③生活保護で介護施設に入居する際の注意点
生活保護を受けながら老人ホームに入る場合、以下のような点に注意が必要です。
1-すぐに入居できない可能性がある
生活保護の対象となる施設であっても、入居を希望するすべての人がすぐに入れるわけではありません。特養などは待機者が多く、数ヶ月から数年待つこともあります。そのため、早めの情報収集と準備が重要です。
2-自己負担が発生する場合がある
生活保護の扶助の範囲を超えるサービス(個室料、特別な食事、付加的な介護サービスなど)については、自己負担となる場合があります。これらの費用が支払えない場合、施設から入居を断られることもあるため、事前に詳細を確認することが大切です。
3-定期的な面談が必要
施設入居後も定期的に福祉事務所との面談や収支報告が求められます。生活状況の変化や健康状態の変化に応じて、扶助内容が見直されることもあるため、継続的な対応が求められます。
もちろん、年金などの収入がある場合は必ず申告する必要があります。申告を怠ると不正受給と判断され、返還請求や支給停止となる可能性があるのは、他の生活保護受給者と同じ条件です。
4-扶養義務者の調査
生活保護の申請に際しては、親族に対して扶養照会が行われます。これは、民法上の扶養義務者が申請者を援助できるかどうかを確認するための手続きであり、必ずしも実際に扶養を受ける必要があるわけではありません。扶養照会に対して「援助できない」という回答があれば、生活保護の審査に影響はありません。
生活保護で老人ホームに入ることは、制度上は可能ですが、様々な条件と手続き、そして福祉事務所との調整が必要です。制度の仕組みを正しく理解し、適切な準備と相談を行うことで、安心して老後を迎える環境を整えることができます。
④入居後の生活と支援体制
老人ホームに入居した後も、生活保護受給者としての支援は継続されます。施設職員と福祉事務所のケースワーカーが連携を取りながら、健康状態や生活状況の変化に応じて支援内容が見直されることがあります。特に、医療機関への通院や入院が必要になった場合には、医療扶助が適用されるため、施設職員を通じて福祉事務所に報告が行われます。
また、施設内での生活においても、生活保護制度に基づく最低限度の生活が保障されるよう、必要に応じて衣類や日用品の支給が行われることがあります。入居後も定期的にケースワーカーと連絡を取ることで、安心して生活を送ることができます。
⑤家族との関係と扶養義務の扱い
生活保護を受けている方が老人ホームに入所する場合、家族との関係や扶養義務の有無も考慮されます。生活保護制度では、原則として扶養義務者による扶養が優先されますが、実際には扶養義務者が高齢であったり、経済的に余裕がない場合には、扶養が困難と判断され、生活保護による支援が優先されます。
また、生活保護を受けながら老人ホームに入所することについて、家族の理解と協力が必要となる場合もあります。たとえば、入所手続きや必要書類の準備、保証人の手配など、家族の協力が求められる場面もあるため、事前に家族との話し合いを行うことが望ましいです。
⑥注意すべき契約内容とトラブル回避
民間の有料老人ホームに入所する際には、契約内容に十分注意を払う必要があります。特に注意すべき点は、入居一時金の有無、退去時の違約金、サービスの範囲、追加費用の有無などです。生活保護制度では、基本的に入居一時金の支給は認められていないため、入居時に高額な一時金が必要な施設は選択肢から外れることになります。
また、月額料金に含まれるサービス内容を明確に把握し、追加料金が発生しないかを確認することも重要です。生活保護費の範囲内で収まらない金額が発生した場合、自己負担が求められ、生活が困窮する恐れがあります。契約前に施設側と詳細な説明を受け、必要であれば福祉事務所の職員に同席してもらうことが推奨されます。
施設入所後も、生活保護の受給は継続されますが、施設の料金改定や介護度の変化によって必要な費用が変動する可能性があります。その際には、福祉事務所に対して再度申請し、扶助額の見直しを受けることが求められます。特に介護保険の自己負担割合が変更された場合や、施設が新たなサービスを導入した場合などには、生活保護費で賄いきれなくなるリスクもあるため、定期的な見直しが必要です。
価格の変動に対応するためには、施設との契約時に「料金改定時の通知義務」や「サービス内容の変更時の説明義務」などを明記した契約書を交わすことが重要であり、トラブル防止にもつながります。
⑦特例的な入居ケースと福祉事務所の裁量
原則として生活保護制度では、過剰なサービスや高額な施設への入居は認められていませんが、本人の健康状態や家族関係、地域の施設状況などを考慮して、福祉事務所が特例的に認めるケースも存在します。例えば、認知症が進行しており、専門的なケアが必要な場合や、家庭内での虐待が疑われる場合などは、施設のグレードや費用に関係なく、安全性を優先して入居が認められることがあります。
このような判断は、生活保護制度の「補足性の原則」や「必要即応の原則」に基づき、個別具体的に行われます。したがって、入居希望者やその家族が自らの状況を正確に説明し、福祉事務所に理解してもらうことが極めて重要です。
7.生活保護制度の今後と高齢者福祉の展望

厚生労働省は、今後の高齢化社会に対応するため、生活保護制度の見直しと高齢者福祉の充実を進めています。特に、地域包括ケアシステムの推進により、在宅生活を支援する体制が整備されつつありますが、施設入所のニーズも依然として高く、生活保護との連携が重要な課題となっています。
老人ホームへの入所を考える際には、単に施設の空き状況や費用だけで判断するのではなく、生活保護制度との整合性や、将来的な自立支援の可能性まで含めて総合的に検討することが重要です。生活保護は一時的な支援だけでなく、長期的な生活の安定と尊厳の保持を目的とした制度であることを理解し、正しく活用していくことが求められます。
①生活保護制度の利用に対する誤解と実態
生活保護制度に対しては、「恥ずかしい」「家族に迷惑がかかる」といった誤解が根強くありますが、生活保護は国民の権利であり、必要な人が適切に利用するべき制度であると明記されています。特に高齢者にとっては、年金や貯蓄だけでは不十分な生活を補完する重要な制度であり、安心して老後を過ごすための手段の一つです。
また、生活保護を受けていることを理由に施設入所を断られることは原則としてあってはならず、施設側も法的に差別的な取り扱いをしてはならないとされています。実際には、生活保護受給者を積極的に受け入れている施設も多く、適切な情報収集と相談により、安心して入所先を選ぶことが可能です。
②自立支援と生活保護の役割
生活保護制度は単なる生活費の支給にとどまらず、利用者の自立を支援することを目的としています。高齢者の場合には、身体的・精神的な自立が難しいケースもありますが、安定した住居や医療、介護サービスが提供されることで、生活の質(QOL)を維持しながら、自分らしい生活を送ることが可能となります。
生活保護を受けることで、適切な介護サービスを受ける機会が広がり、孤独や不安を軽減する効果もあるとされています。特に介護保険制度と連携した支援により、施設入所後も継続的なケアが提供されるため、身体機能の維持や社会的つながりの確保にもつながります。
このように、生活保護制度は高齢者の尊厳ある生活を支えるための重要な社会保障制度であり、老後の生活設計において積極的に活用を検討すべき選択肢の一つといえるでしょう。
③民間支援制度との併用と活用
生活保護制度のほかにも、高齢者向けの支援制度は多岐にわたります。たとえば、自治体によっては、住宅確保給付金、高齢者向けの家賃補助制度、地域包括ケアシステムによる見守り支援、緊急通報装置の設置支援などが提供されています。これらの制度は、生活保護と併用可能な場合も多く、生活の質を高める上で重要な役割を果たします。
また、NPO法人や社会福祉法人が運営する無料低額宿泊所や、生活困窮者支援事業を活用することで、生活保護申請前の一時的な居住や食事の提供を受けることも可能です。生活保護の専門家の立場から見ても、こうした民間支援との連携は、老後の生活基盤を安定させるうえで非常に有効であると評価されています。
④今後の制度改正と影響
厚生労働省は、今後の高齢化の進展に伴い、生活保護制度と介護保険制度の連携をさらに強化していく方針を示しています。特に、居住費や食費の基準の見直し、施設基準の適正化、生活保護受給者に対する情報提供の強化などが検討されています。
制度改正によって、今後は生活保護受給者がよりスムーズに介護施設へ入所できるようになる可能性がありますが、一方で、扶助の適用範囲や支給額の見直しが行われることで、自己負担の増加が懸念される場面も出てくるかもしれません。したがって、常に最新の制度情報を確認し、福祉事務所やケアマネジャーと連携を取りながら、適切な判断を行うことが重要です。
8.安心のために今からできる準備

老後の生活において、金銭的な不安や身体的な不自由さへの備えは、誰にとっても避けて通れない重要な課題です。特に、年金だけでは生活が難しいと感じている方や、将来的に老人ホームへの入居を考えている方にとっては、生活保護制度の活用を視野に入れた準備が極めて現実的かつ有効な選択肢となります。
①今からできる資産・収入の整理と準備
生活保護の申請において、資産の保有状況は重要な審査項目です。預貯金、不動産、自動車、有価証券などの資産が一定以上ある場合、生活保護の対象外となる可能性があります。したがって、老後に生活保護を利用する可能性がある場合は、今のうちから資産の整理を行っておくことが望ましいとされています。
具体的には、自宅を所有している場合、居住用不動産としての評価がなされるため、原則として売却を求められることはありませんが、空き家や賃貸不動産などは処分の対象となることがあります。また、生活保護の専門家の見解では、自動車の保有についても、通院や通勤に必要であると自治体が認めた場合を除き、原則として処分が求められるとされています。
収入については、公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)がある場合でも、その額が最低生活費に満たない場合は、生活保護の対象となります。年金額の確認は、毎年送付される「ねんきん定期便」や「年金見込額照会サービス」を活用することで、将来の収入見込みを把握できます。
②将来に備える心構えと情報収集の重要性
老後の安心を確保するためには、制度を正しく理解し、早期から準備を始めることが何よりも大切です。生活保護制度は、決して「最後の手段」ではなく、必要な支援を受けながら尊厳ある生活を送るための「社会的な権利」であるという認識を持つことが重要です。
そのためには、地域の福祉窓口や地域包括支援センターを定期的に訪れ、最新の制度情報を得ること、信頼できる専門家に相談すること、そして何よりも「一人で抱え込まない」姿勢が求められます。生活保護の専門家の見解によれば、早期の相談と準備が、老後の不安を大きく軽減する鍵となるとのことです。
今からできる準備としては、年金受給見込み額の把握、資産の整理、家族との話し合い、希望する老人ホームの見学と情報収集、地域の支援制度への登録などが挙げられます。これらを計画的に進めることで、将来に向けて安心できる生活基盤を築くことが可能です。
9.まとめ
生活保護を受けながらでも、条件を満たせば老人ホームに入所することは十分可能です。厚生労働省の生活保護ガイドラインに基づく支援制度を活用することで、経済的に困窮している高齢者でも安心して老後を過ごすことができます。
重要なのは、福祉事務所との連携を密にし、必要な手続きを適切に行うこと、そして自分に合った施設を選ぶための情報収集を怠らないことです。生活保護の専門家の知見を踏まえた支援体制の中で、誰もが尊厳を持って暮らせる老後を実現することが可能です。
この記事では、生活保護を受給しながら介護施設へ入居できるのかどうかを解説しました。「今後の生活に不安がある」「自分が入居できる施設はあるのか」「もし入居できなかった場合、生活環境を整えたり住居を確保することは可能か」などの不安がある場合は、リライフネットへご相談ください。
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