
生活保護を検討しているが車の保有が気になる方へ 厚生労働省のガイドラインに基づき車の扱いについて専門家が詳しく解説します。
1.生活保護と車の保有は両立できるのか

生活保護を受ける際に「車を所有していても大丈夫なのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。特に地方在住者にとって、車は日常生活を送る上で欠かせない移動手段であり、通勤や通院、買い物などにおいて公共交通機関が十分に整備されていない地域では、その重要性は一層高まります。
しかし、生活保護制度には一定の資産保有制限が設けられており、車の保有が原則として認められていないとされることもあります。では、本当に生活保護と車の保有は両立できないのでしょうか。厚生労働省のガイドラインや実際の運用事例をもとに、詳細に解説していきます。
①生活保護制度における資産の取扱いと車両の位置づけ
生活保護制度では、生活に必要な最低限度の生活を保障するために、まずは申請者自身が持つ資産や能力を活用することが求められます。厚生労働省が定める「生活保護手帳」や「生活保護制度の手引き」では、車両(自動車)は原則として処分すべき資産と位置づけられており、生活保護を受けるにあたっては売却して生活費に充てることが求められるのが基本方針です。
ただし、一定の条件を満たす場合には例外的に車の保有が認められることもあります。この点について、生活保護の専門家によると、保有が認められるか否かは個別のケースに応じて判断され、自治体の福祉事務所による裁量が大きいとされています
②車の評価額と生活保護基準の関係
車の保有が認められる場合でも、車両の評価額が一定以上であると資産と見なされ、生活保護の申請が却下される可能性があります。原則として評価額が基準額以下であることが求められます。具体的には、査定価格が10万円以下であることが目安とされることが多く、これを超える場合には売却を求められる可能性が高くなります。
また、車検切れや長期間使用されていない車両であっても、名義が申請者本人である限りは資産として評価されるため、注意が必要です。生活保護の専門家によれば、仮に使用実態がなくても処分可能な資産とみなされるため、事前に廃車手続きを行っておくことが望ましいとされています。
1-車両の評価方法
車両の評価は、一般的に中古車査定サイトや自動車販売業者による見積もりによって行われます。福祉事務所から査定書の提出を求められる場合もあるため、生活保護申請前に準備しておくことが重要です。査定額が基準以下であることを証明できれば、保有が認められる可能性が高まります。
2-資産価値に関する評価基準
例外的に車の保有が許可される場合でも、その車両が高額である場合には生活保護の対象外とされる可能性があります。車両の資産価値が一定額を超える場合には、売却して生活費に充当すべきとされており、一般的には時価が50万円以下の車両であることが望ましいとされていますが、実際の判断は車種、年式、走行距離、査定額などを総合的に考慮して行われるのです。

また、車両がローン付きである場合、そのローン残債がある限りは実質的な資産とみなされず、保有が許可される可能性が高まりますが、ローンの返済額が生活保護基準を超える場合には、生活保護の適用が困難となります。ローンの有無や残債の金額は、保有の可否を判断する上で極めて重要な要素です。
③車の使用目的と生活扶助の整合性
車を保有する場合、その使用目的が生活扶助の目的に合致していることが求められます。たとえば、就労支援の一環として車を使用している場合には、生活保護制度の「自立支援」の観点から肯定的に評価されるのです。しかし、単に移動の便宜のために車を使用している場合や、レジャー目的での使用が想定される場合には、保有が認められない可能性が高くなります。
車の使用頻度や距離、目的地などを日誌などで記録しておくことは、福祉事務所との面談において有効な資料となります。こうした記録があることで「必要性」の証拠として機能し、保有許可の判断材料となるケースもあるのです。
2.車の保有が認められる主なケース

①車の保有が認められる主な条件
厚生労働省の通知や各自治体の運用マニュアルには、車の保有が認められる具体的な条件がいくつか示されています。以下のようなケースでは、生活保護受給者が車を保有していても直ちに不適格とされるわけではありません。

1-通勤や通院など生活維持に必要不可欠な場合
生活保護受給者が就労しており、その就労先への通勤手段として車が必要不可欠である場合、車の保有が認められることがあります。特に公共交通機関が整備されていない地域においては、車以外の手段で通勤が困難であると判断されれば、例外的に保有が許可されます。
また、定期的な通院が必要であり、公共交通機関の利用が著しく困難である場合や、障害等によって車での移動が必要とされる場合にも、保有が認められる可能性があります。
2-自営業に車が不可欠な場合
自営業を営んでおり、その事業の継続に車が必要であると認められる場合、車の保有が許可されることがあります。たとえば、個人配送業や訪問型サービス業など、業務遂行において車の使用が不可欠な職種に該当する場合です。
3-障害や要介護状態にある場合
身体障害者手帳の交付を受けている場合や、要介護認定を受けている高齢者などについては、日常的な移動手段として車の利用が必要と判断されることがあります。特に、通院や買い物など日常生活における移動が困難とされる場合には、車の保有が容認されることがあります。
4-地域的な事情による場合
地方においては、公共交通機関の本数が少なく、生活圏内での移動に車が必要とされるケースがあります。こうした地域事情を考慮し、福祉事務所が「生活維持に必要」と判断すれば、車の保有が認められることがあります。
これらのケースに該当するか否かは、申請時の聞き取り調査や提出書類をもとに福祉事務所が総合的に判断します。たとえば、公共交通機関の運行状況や自宅から病院までの距離、勤務先の所在地などが考慮されます。
③地域における運用の違い
生活保護制度は全国共通の制度でありながら、実際の運用は都道府県や市区町村の福祉事務所によって異なる場合があります。特に車の保有に関しては、地域の交通事情や生活環境が大きく影響するため、同じ状況でも自治体ごとに判断が分かれることがあります。
たとえば、都市部では公共交通機関が充実しているため、車の必要性が認められにくい傾向にあります。しかし、地方では公共交通機関の少なさから車が生活の必需品とされたり、北海道や東北地方の一部では、冬季の積雪や公共交通機関の不便さから、車の保有が比較的認められやすい傾向にあります。そのため、申請前にお住まいの自治体の福祉事務所に相談することが重要です。
3.生活扶助費との関係と維持費の自己負担

車両の保有が認められた場合でも、その維持費については生活保護費からの支給対象とはなりません。具体的に、ガソリン代、自動車税、車検費用、任意保険料などは自己負担となります。特に任意保険については、加入が強制されるものではありませんが、事故発生時のリスクを考慮すると、最低限の補償は確保しておくべきです。
一方で、自賠責保険については法定加入義務があるため、未加入での運行は違法です。維持費を捻出できない場合には、車両の使用が現実的でないと判断され、保有継続が困難となることがあるため、経済的な見通しを立てた上での申請が求められます。
4.車を保有しながら生活保護を受ける際の注意点

①車を手放す場合の選択肢とその影響
車の保有が認められない場合には、売却や廃車といった手続きを行うことになります。売却によって得られた金銭は一時的な収入として扱われ、生活保護の申請時に収入認定されることがあります。たとえば、車を15万円で売却した場合、その金額は生活費に充てられると判断され、一定期間の生活保護の支給が停止される可能性があります。
一方、廃車手続きを行った場合でも、車両の部品や金属としての価値があると評価されることがあるため、適切な書類提出が求められます。廃車証明書や解体証明書などを提出することで、資産としての評価を避けることができます。
②車の処分指導
車の処分指導は単なる形式的な指導ではなく、生活実態を踏まえた丁寧な対応が求められるとされています。具体的には、以下のような手順で進められることが一般的です。
1-所有車両の申告と評価
生活保護の申請時には、所有しているすべての資産を福祉事務所に申告する必要があります。車両についても例外ではなく、車種、年式、走行距離、現在の市場価値などを申告し、資産評価が行われます。評価額は、一般的に中古車買取相場などを参考に判断され、一定額以上の資産価値があると判断されれば、処分を求められる可能性が高くなります。
2-処分の指導と猶予期間の設定
車の処分が必要と判断された場合、福祉事務所から正式に「処分指導」が行われます。この際、一定の猶予期間(通常は1か月程度)が設けられ、その間に売却や譲渡などの手続きを進めるよう求められます。猶予期間中に処分が完了しない場合、生活保護の決定が保留される、または支給が停止されることもあります。
3-処分方法の選択と注意点
車の処分方法としては、主に以下の3つが挙げられます。

生活保護の申請や受給においては、これらの処分手続きが適切に行われたことを証明する書類の提出が不可欠です。たとえば、売却の場合は売買契約書や入金記録、譲渡の場合は譲渡証明書、廃車の場合は抹消登録証明書などが求められます。
③車を手放すよう指導された場合の対応
福祉事務所から車の処分を求められた場合でも、すぐに諦める必要はなく、以下のような対応が可能です。
1-必要性を文書で説明する
車が生活維持に不可欠である理由を、具体的かつ客観的に示すことが重要です。たとえば、通勤経路、通院頻度、公共交通機関の状況などを整理し、文書で提出することで、再検討される可能性があります。
2-医師の意見書を添付する
通院や身体的理由で車が必要な場合には、医師の意見書や診断書を添付することで、説得力が増します。特に、障害や慢性疾患によって公共交通機関の利用が困難であることを明示することが重要です。
3-就労証明書や事業計画書の提出
自営業や就労目的での車の使用である場合には、就労証明書や事業計画書を提出することで、車の必要性を具体的に示すことができます。これにより、福祉事務所の理解を得やすくなります。
4-処分後の対応と福祉事務所との連携
車を処分した後には、必ず福祉事務所にその旨を報告し、証拠書類を提出する必要があります。生活保護の専門家の見解によれば、処分後の報告が遅れたり、証拠書類が不十分であったりすると、生活保護の決定に影響を及ぼす可能性があるため、迅速かつ正確な対応が求められます。
また、処分によって得た収入(売却代金等)は「収入認定」される場合があります。生活保護制度では、収入がある場合にはその分だけ保護費が減額される仕組みになっているため、売却代金が高額であった場合には、一時的に保護費が支給されないこともあります。このような点については、事前に福祉事務所に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
※車の処分に関するよくある質問と対応

④生活保護申請時の手続きと車両に関する申告の重要性
車を保有している場合、生活保護申請時に必ずその旨を申告する必要があります。申告を怠ったり、虚偽の申告を行ったりした場合、不正受給とみなされ、後日返還命令や罰則を受ける可能性があります。生活保護の専門家によると、車の名義変更や一時的な譲渡を行っても、実態として使用していれば資産と見なされるため、正直に申告することが最も重要であるとされています。
必要書類の例
・車検証:所有者の確認及び車両の詳細情報
・査定書:車両の市場価値を示す書類
・通勤証明書:車の使用目的が就労である事の照明
・診断書:通院の必要性を証明する医師の診断
・廃車証明書:車両を処分したことを証明する書類
これらの書類を適切に提出することで、福祉事務所による審査がスムーズに進み、車の保有が認められる可能性が高まります。逆に、書類が不十分である場合や説明が不明確である場合には、保有が認められないこともあります。
⑤車の名義と実態による判断
生活保護の審査では、車の名義が申請者本人であるかどうかだけでなく、実際に使用しているかどうかも重要な判断材料とされます。たとえば、名義が家族であっても、申請者が日常的に使用していれば「実質的な保有」と見なされることがあります。逆に、名義が申請者であっても、使用実態がなく、他人が使用している場合には、保有資産として扱われないこともあります。
このように、名義と実態の両面からの審査が行われるため、事実に基づいた正確な申告が求められます。
5.生活保護と車に関する誤解と正しい理解

「車を持っていると生活保護は受けられない」という誤解は根強くありますが、実際には条件や地域事情を考慮して柔軟な対応がなされることもあります。車の保有が直ちに不許可となるわけではなく、生活の実態に即した判断が重要とされています。
また、「車を処分すれば必ず生活保護が受けられる」というわけでもありません。生活保護の可否は、資産の有無だけでなく、収入状況、扶養義務者の有無、就労可能性など、さまざまな要素を総合的に判断して決定されます。
車の処分指導と対応は、生活保護を受けるうえで非常に重要なプロセスです。厚生労働省のガイドラインに則り、制度の趣旨を理解し、自身の生活状況に応じて誠実に対応することが、円滑な生活保護の受給につながります。福祉事務所との信頼関係を築き、必要な書類を整えて正確な情報を提供することが、結果的に最良の対応です。
車の処分に関する判断は一律ではなく、個別の事情に応じて柔軟に対応される場合もあります。したがって、まずは自分の状況を整理し、必要であれば専門家に相談したうえで、適切な手続きを進めることが大切です。
この記事では、生活保護を受給しながら車を持てるのかについて解説しました。今の自分の状況で車を保有することはできるのか、処分することになった場合はどのような対応になるのかなど1人で対応できない場合には、リライフネットへご相談ください。
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