生活保護を受給中に妊娠・出産した場合、出産扶助による経済的支援を受けることができます。本記事では、申請方法や支給額、必要書類、注意点まで詳しく解説し、不安を解消します。

1.生活保護の出産扶助で受けられる支援内容

生活保護を受給中の方が出産する際に利用できる「出産扶助」は、出産にかかる費用を補助する制度です。ここでは、出産方法ごとの支給基準や支給対象となる費用、さらに双子や多胎妊娠の場合の支給額について解説します。

①施設分娩・居宅分娩・特別基準の違い

出産扶助の支給額は、出産の場所や状況によって異なります。主に「施設分娩」「居宅分娩」「特別基準」の3種類に分けられます。

・施設分娩
病院や助産院などの医療機関での出産を指し、一般的な分娩方法です。支給基準額は約31万8,000円以内とされており、入院費用(最大8日分)も含まれます。

・居宅分娩
自宅など医療機関以外の場所で助産師や医師の指導のもとで行う分娩です。支給基準額は上限額25万9,000円以内でしたが、令和7年4月1日に改定となっている可能性がありますので確認が必要です。

・特別基準
出産予定日の急変や母体・胎児の状態が悪い場合など、医師の判断により特別に支援が必要なケースです。支給額は約36万8,000円以内で、個別に決定されます。特別基準についても令和7年4月1日に上限額が改定となっている可能性があります。

出産予定日の急変や母体・胎児の状態が悪い場合など、医師の判断により特別に支援が必要なケースです。支給額は約36万8,000円以内で、個別に決定されます。特別基準についても令和7年4月1日に上限額が改定となっている可能性があります。

これらの基準は厚生労働省の生活保護制度の概要に基づいており、地域や状況によって若干の差異があります※1。

②支給対象となる費用(分娩費・入院費・衛生材料費・新生児被服費など)

出産扶助でカバーされる費用は多岐にわたります。主な支給対象は以下の通りです。

・分娩費用
分娩にかかる費用の実費が支給されます。施設分娩の場合は医療機関での分娩料が対象です。

・入院費用
出産後の入院にかかる費用(最大8日間)が支給されます。食事代や寝具代なども含まれますが、個室の差額ベッド代は自己負担となる場合が多いです。

・衛生材料費
出産に必要な包帯やガーゼ、消毒液などの衛生用品費用が一律で支給されます。2025年度の基準では6,200円以内が加算されます。

・新生児被服費
赤ちゃんの衣類やおむつなどの費用も扶助の対象となる場合があります。

これらの費用は、生活保護受給者の経済的負担を軽減するために設けられており、必ず福祉事務所に申請する必要があります。※1

③双子や多胎妊娠の場合の支給額

双子や三つ子などの多胎妊娠の場合は、出産扶助の支給額も増額されます。具体的には、分娩費用の基準額が胎児の数に応じて倍増される仕組みです。

例えば、双子の場合は単胎の約2倍の支給が認められており、施設分娩の基準額31万8,000円の2倍が上限となります。入院費用や衛生材料費も同様に増額されることが一般的です。

ただし、自治体によって支給の詳細や上限額に差があるため、担当のケースワーカーや福祉事務所に早めに相談し、正確な支給額を確認することが重要です。※1

※1参考:厚生労働省「2025(令和7)年4月1日施行 生活保護実施要領等」参照:2025.06.25

2.出産扶助の申請条件と必要書類

出産扶助は、生活保護を受給中の方が出産にかかる経済的負担を軽減するための重要な制度です。ここでは、申請資格や申請期限、必要書類、申請先について詳しく解説します。

①申請資格

出産扶助を申請できるのは、原則として生活保護を受給中の方です。生活保護法に基づき、世帯全体の収入や資産が最低生活費を下回っていることが条件となります。申請時には、預貯金や不動産などの資産状況、収入状況の確認が行われます。また、親族への扶養照会も実施されることがありますが、近年はDVや絶縁状態など本人の事情が尊重される傾向にあります。出産があった場合は、速やかに福祉事務所に申し出ることが求められます。

②申請期限

出産扶助の申請は、出産日からの明確な期限は決まっておりませんが、できるだけ早く行うと安心です。この期限を過ぎてしまうと、出産扶助が受給できない場合があるため、出産後はできるだけ早く必要書類を揃えて申請しましょう。なお、妊娠6か月以内と6か月以降では金額が変わるため、妊娠が判明した段階で早めに福祉事務所に相談することが大切です。

※2出典:厚生労働省「申請期限については第三十四条第七項及び第八項の規定を準用する」参照:2025.07.31

※3出典:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」参照:2025.07.31

③必要な書類

出産扶助の申請には、以下の書類が必要となります。

  • 母子手帳:出産の事実や妊娠・出産に関する記録が記載されているもの。
  • 領収書:分娩費用や入院費など、実際に支払った費用の証明となる領収書。
  • 出産扶助申請書:福祉事務所で配布される所定の申請用紙。
  • 本人確認書類:マイナンバーカードや運転免許証など身分証明書。
  • 収入・資産状況を確認できる書類:給与明細、年金証書、預金通帳など。

これらの書類は、福祉事務所の窓口で確認され、不足がある場合は後日追加提出を求められることもあります。また、必要に応じて住民票や健康保険証、賃貸借契約書などの提出が求められる場合もあります。

④申請先

出産扶助の申請は、居住地を管轄する福祉事務所で行います。福祉事務所は、生活保護や福祉に関する相談・申請を受け付ける行政機関です。申請の際は、担当のケースワーカーや窓口職員に相談し、必要書類や手続きの流れについて説明を受けましょう。福祉事務所の場所や受付時間は、厚生労働省の公式サイトや自治体のホームページで確認できます。

3.出産扶助の申請方法と手続きの流れ

出産扶助の申請は、スムーズな支給のためにも正しい手続きとタイミングが重要です。ここでは、事前相談から申請、支給までの流れや注意点について解説します。

①事前相談の重要性

出産扶助を受けるためには、まず福祉事務所への事前相談が重要です。妊娠が分かった段階で、できるだけ早く担当のケースワーカーや福祉事務所の窓口に相談しましょう。出産扶助や妊婦加算などの支援は自動的に開始されるものではなく、必ず申請手続きが必要です。事前相談を通じて、必要な書類や申請の流れ、支給額などについて詳しく説明を受けることができ、不明点や不安も解消しやすくなります。

②申請から支給までの流れ

出産扶助の申請は、生活保護を受給している方が、妊娠22週以降から妊娠9か月までの間に行うのが一般的です。申請は、居住地を管轄する福祉事務所の窓口で受け付けています。申請時には、母子手帳や出産予定日の証明書、領収書などの必要書類を提出します。申請後、福祉事務所のケースワーカーが生活状況や収入・資産状況の調査を行い、扶助の必要性を審査します。

審査が完了すると、支給決定の通知が書面で届きます。原則として申請日から14日以内、調査に時間がかかる場合でも30日以内に結果が通知されます。決定後、出産にかかる費用が基準額の範囲内で支給されます。なお、出産扶助は出産日から30日以内に申請を完了する必要があり、期限を過ぎると受給できない場合があるため注意が必要です。※4

※4出典:さいたま市「生活保護制度について」参照:2025.07.31

③申請時の注意点

出産扶助の申請時には、収入や資産の状況を正確に申告することが求められます。虚偽の申告や隠し事があると、申請が認められなかったり、後日返還を求められる場合があります。また、配偶者や同居家族の収入・資産も審査対象となるため、必要な情報はすべて正確に提出しましょう。特に、結婚や事実婚、シングルマザーの場合など、家族構成によって必要な書類や審査内容が異なるため、不明点は必ず福祉事務所に確認してください。

4.生活保護受給者が妊娠・出産する際の注意点

妊娠・出産は生活や家計に大きな変化をもたらします。生活保護を受給中の方が安心して出産を迎えるためには、制度の違いや手続き、加算制度などを正しく理解し、早めに対応することが大切です。ここでは、生活保護の継続や各種制度の違い、加算制度について解説します。

①生活保護が継続できるか

妊娠・出産を理由に生活保護が打ち切られることはありませんが、世帯構成や収入の変化によって受給額が増減する場合があります。たとえば、結婚や同居で世帯収入が増えると、生活保護の減額や廃止となることがあります。一方、シングルマザーや収入が増えない場合は、妊婦加算や産婦加算、母子加算などが適用され、保護費が増額されることもあります。妊娠・出産が分かった時点で、速やかに福祉事務所へ相談し、状況の変化を報告することが重要です。

②出産一時金との違い・併用不可の理由

出産費用の助成として「出産育児一時金」がありますが、生活保護受給者は原則としてこの制度の対象外です。生活保護を受給していると国民健康保険の資格がなくなるため、一時金は受け取れません。その代わりに出産扶助が支給され、両者は併用できません。

③入院助産制度との併用について

入院助産制度は、経済的に困難な妊産婦のための支援ですが、生活保護の出産扶助と重複して利用することはできません。利用希望の場合は、必ず福祉事務所に確認しましょう。

④母子家庭や子どもがいる場合の加算制度

出産後に母子家庭となった場合や子どもがいる場合は、母子加算や児童養育加算などの加算制度が適用されます。妊娠中は妊婦加算、出産後は産婦加算も受給できます。加算内容や条件は地域や世帯状況で異なるため、詳細は福祉事務所で確認してください。

5.まとめ

この記事では、生活保護の出産扶助に関する申請方法や支給額、必要書類、申請時の注意点についてご紹介しました。「出産費用の支払いが不安」「申請手続きが分からない」「住まいの確保に悩んでいる」などの場合には、リライフネットへご相談ください。

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