身体や精神に障害があり、働くことが困難かつ身寄りや支援者がいない。そのような方を支援するための施設が「救護施設」です。名前は知っていても、誰が対象なのか、どのようにすれば利用できるのかは知られていないことが多く、利用を検討するうえで不安を感じる方も多いでしょう。

1.救護施設とは?制度の基本をわかりやすく解説

救護施設は障害や病気により、働くことが困難で自立した生活が難しい方に対して、衣食住と日常生活の支援を提供する公的な福祉施設です。生活保護法を根拠として運営されており、生活保護を受けている人や受給が必要と判断された人が主な対象です。

ここでは、救護施設がどのような制度に基づいて設置されているのかを説明します。

①救護施設の役割と設置根拠

救護施設は、生活保護法第38条に基づいて設置されており、「生活保護を受ける要保護者であって、身体上または精神上の障害があり、日常生活を営むことに支障がある者」を入所させることを目的としています。※1

主な支援内容は以下のとおりです。

・食事、入浴、衣類の提供

・医療機関との連携による健康管理

・生活支援員による日常生活の援助

・社会復帰支援(可能な場合)

※1出典:厚生労働省「生活保護法

②他の施設(自立支援施設・更生施設など)との違い

救護施設と混同されやすい他の福祉施設との違いは、主に以下の点にあります。

③全国にある施設数と管轄(都道府県 or 市区町村)

全国に約100か所の救護施設が存在しており、都道府県や政令指定都市が主に設置・運営しています。
施設数が限られているため、都市部では入所待ちが発生するケースもあり、早めの相談が望まれます。

2.救護施設の対象者と入所条件とは?

「うちの家族は入れるのか?」「自分が対象になるのか?」という不安は当然のことです。
救護施設は誰でも入れるわけではなく、一定の条件や審査を経て入所が決まる仕組みになっています。ここでは、対象者の具体像と入所できるための条件について解説します。

①対象となる人の具体例(身体障害・精神疾患・高齢)

・救護施設の対象者は以下のような事情を抱えている方です。

・重度の身体障害があり、生活に常時介助が必要な人

・精神疾患(統合失調症・うつ病など)により社会生活が困難な人

・高齢や認知症などにより、独居生活が著しく困難な人

・支援する家族や身寄りがいない、または関係が断絶している人

ただし、介護施設のような介護保険施設とは異なり「要介護度」が必須ではなく、生活保護法に基づく困窮状態と生活能力の制限が判断基準になります。

②年齢制限や収入・資産に関する基準はある?

救護施設には基本的に年齢制限はありません。若年層でも精神疾患や発達障害などによって働けず、支援が必要と認められれば対象になります。

また、原則として以下のような経済状況が求められます。

・所得が生活保護基準以下

・十分な資産や支援者がいない

・他に適切な生活手段がないと判断される

③入所が難しいケースとその理由

以下のようなケースでは、救護施設の入所が認められない可能性があります。

・働く能力があり、就労支援施設や更生施設が適していると判断された場合

・医療的な処置が大いに必要であり、医療機関のほうが適しているとされた場合

・家族による支援が可能と判断された場合(同居・仕送りなど)

3.救護施設と生活保護制度の関係

救護施設と生活保護制度は、切っても切れない関係にあります。
施設の設置そのものが生活保護法に基づいており、生活保護を受給している、または受給要件を満たす人が入所の対象となります。ここでは生活保護との具体的な関係性について詳しく解説します。

①生活保護受給者は救護施設を利用できるのか

生活保護受給者は救護施設の主要な対象者です。
実際には、以下の2パターンで入所が行われます。

・すでに生活保護を受けており、自立生活が困難と判断された場合

・救護施設への入所と同時に生活保護を申請する場合

生活保護の中でも、「施設入所」という形で支援が行われます。

②生活保護が支給される中での生活費の扱い

救護施設に入所すると生活保護費のうち、生活扶助や住宅扶助などの一部が施設に支払われ、本人には必要に応じて小遣いや医療費などが提供されます。

費用の内訳は以下のようになります。

・食費、光熱費 :福祉事務所が施設に直接支払う

・医療費 : 医療扶助により無料(原則)

・日用品や雑費 : 本人に支給される少額費用から負担

③自治体による判断とケースワーカーの役割

救護施設の利用には市区町村の福祉事務所による判断が不可欠です。
ケースワーカー(生活保護担当職員)が以下の業務を行います。

・利用希望者の状況を調査、面談

・医師やの意見書を収集

・必要と判断された場合は施設に照会、入所手配

4.救護施設への入所方法と手続きの流れ

実際に「救護施設を利用したい」となったとき、何をすれば良いのか分からない方も多いと思われます。
ここでは相談窓口から申請・入所までの基本的な流れを簡潔にまとめました。必要な書類や手続き、期間を知ることで計画的に動くことができます。

①まずはどこに相談するべきか(福祉事務所)

最初の窓口は、お住まいの地域の福祉事務所です。

緊急性が高い場合(独居の高齢者・路上生活者など)は、すぐに一時保護を受けられる可能性もあります。

②申請に必要な書類や情報

救護施設への入所に必要な書類の例

・本人確認書類(保険証、マイナンバーカードなど)

・医師の診断書または意見書

・所得・資産の確認資料(ない場合は申告でOK)

・入所申請書類(福祉事務所で記入)

③審査の内容と結果が出るまでの期間

ケースバイケースですが、以下の流れになります。

1. 相談・面談 :福祉事務所が支援の必要性を確認し、入所申請の受付を行う

2. 医師の診断 :心身の状況を把握するための診断結果が提出され、施設側の判断資料となる

3. 入退所判定委員会による審査 :救護施設が受け入れ可能かどうかを委員会が判定する

4. 施設の空き状況を確認 :受け入れが可能な場合、入所時期の調整が行われる

入所決定までの具体的な期間は、申請者の状況や施設の都合により異なります。詳細については、必ずお住まいの地域を管轄する福祉事務所にご確認ください。

5.救護施設での生活内容と提供される支援

「入所後の生活はどのような感じなのか?」「自由はあるのか?」「安心して暮らせるのか?」と疑問を抱く人も多いでしょう。
ここでは救護施設で実際に提供されている支援内容や、日常生活の様子を紹介します。

①食事や入浴、医療支援などの日常生活のサポート

救護施設では以下のような基本的な生活支援が提供されます。

・1日3食の食事

・入浴介助、清潔保持支援

・健康チェック、通院同行

・服薬管理、リハビリ支援

②職員の体制と役割

施設には次のような専門スタッフが配置されています。

・生活支援員:入浴、食事などの日常支援

・看護師:健康管理、服薬指導

・相談員:生活相談、外部との連携窓口

・栄養士・調理師:食事の提供と栄養管理

③1日のスケジュール例と集団生活の注意点

救護施設では、生活リズムを整えるために1日のスケジュールがある程度決まっています。以下、例をご紹介します。

・ 7:00 起床、洗面、朝食

・10:00 生活訓練・清掃など

・12:00 昼食、休憩

・15:00 リハビリ・レクリエーション

・18:00 夕食

・21:00 就寝準備

※施設により異なります。
集団生活のため、ルールやマナーの順守が求められます。

6.救護施設を検討する前に知っておきたいこと

救護施設は、身寄りがなく働くことも難しい人にとって、生活を支える最後の砦ともいえる存在です。
しかし、制度には一定の条件や手続きがあり、誤解や不安もつきものです。
最後に、救護施設を検討するうえで知っておきたいポイントをまとめます。

①制度に頼ることは「恥」ではない

生活保護や救護施設の利用は「恥」ではありません。
国があなたを守るために用意した制度です。遠慮せずに頼ってください。

②相談は早めに、専門職のサポートを活用しよう

福祉事務所には生活困窮者支援の専門職がいます。
早めに相談すれば、選択肢が広がり、より良い生活支援につなげることができます。

③他の施設や制度との併用・比較検討も視野に入れる

救護施設以外にも、障害者支援施設やグループホーム、介護施設など、他の制度を活用できる場合もあります。
選択肢を狭めず、専門家と一緒に最適な支援方法を探しましょう。

7.まとめ

救護施設は、「誰にも頼れず生活ができない人」を支える大切な制度です。
対象者や入所条件、生活の実態を理解することで、自分や大切な人が安心して暮らせる道を見つけられるかもしれません。
まずは一人で悩まず、地域の相談窓口に足を運んでみることが第一歩に繋がります。

この記事では、生活保護制度に関わりのある救護施設をご紹介しました。

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