生活保護制度の中心となる「生活扶助」は、日常生活に必要な基本的な費用を補うために設けられた支援です。しかし、基準額がどのように決まっているのか、また「住宅扶助」との違いが分かりにくいと感じる人も少なくありません。本記事では、生活扶助の仕組みや支給額の考え方を整理し、地域や世帯構成による違いも含めて丁寧に解説します。

1.生活扶助の基準額とは何かを制度の仕組みから理解する

生活扶助の基準額を正しく理解するには、制度の役割や金額の決まり方を把握しておくことが欠かせません。ここでは基礎となるポイントを整理します。

① 生活扶助の役割と位置づけ

生活扶助は日々の生活費をまかなうための基本的な扶助で、食費・光熱水費・衣料費などの生活必需費を補う目的で設計されており、厚生労働省が公表する生活扶助基準(年齢や世帯構成ごとに定められた基準額)に基づいて支給額が決まります。

② 基準額が決まる仕組みと地域差

生活扶助の基準額は国が示す「最低生活費」を土台とし、地域区分・年齢・世帯人数など複数の要素で調整されています。厚生労働省は物価や賃金の動向を踏まえて定期的に見直しを行い、食料品価格やエネルギー価格などの情勢が反映される仕組みです。※1

③ 生活扶助で対象となる費用の範囲

対象費用には食費・光熱水費・衣類・日用品・通信費などが含まれます。

住居費は含まれず、家賃については別枠の「住宅扶助」で支援されます。

④ 基準額が果たす役割と制度の理念

生活扶助を含む生活保護は、憲法第25条で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられています。公平で透明性の高い制度設計が行われ、生活再建の基盤として重要な位置づけをされています。

※1 出典:厚生労働省「生活扶助基準の見直しについて(令和7年度)」

2.生活扶助と住宅扶助の違いとは?

生活保護制度には複数の扶助項目があります。その中でも、生活扶助と住宅扶助は目的や支給内容が大きく異なるため、正確に理解しておくことが重要です。以下では、両者の違いを制度の仕組みに沿って整理します。

① 両扶助の目的の違い

生活扶助は日常生活に必要な費用を支える扶助である一方、住宅扶助は住居の確保・維持に必要な費用(家賃・敷金など)を支援する扶助です。両者は性質が異なるため、併用して受給することができます。

② 住宅扶助の支給範囲と基準額の仕組み

住宅扶助は地域ごとの「住宅扶助基準額」に基づいて上限が定められており、家賃が上限を超える場合は超過分を自己負担する必要があります※1。

③ 生活扶助が住居の有無に左右されない理由

住居費の有無に関係なく生活費は必ず発生するため、生活扶助と住宅扶助は独立した制度として運用されています。

※1 出典:厚生労働省「住宅扶助について」2013.11.22

3.支給額はどのように決まる?地域や世帯構成との関係

生活扶助の金額は一律ではなく、住んでいる地域や世帯の状況によって変わります。ここでは支給額がどのように決まるのか、その基本的な考え方を整理します。

① 地域区分(級地)による違い

生活扶助の金額は一律ではなく、住んでいる地域や世帯の状況によって変わります。生活扶助の基準額は、居住地の物価水準を反映した「級地(きゅうち)」と呼ばれる地域区分によって設定されています。※1
都市部は物価が高いため基準額も高く、地方では比較的低く設定されています。

たとえば、以下のように都道府県・市区町村ごとに級地が定められています。※2

・東京都23区:1級地-1
・神奈川県横浜市:1級地-1
・大阪府大阪市:1級地-1
・北海道札幌市:1級地-2
・地方の中小都市・町村:2級地-2 または 3級地-1・3級地-2

このように、自分が住んでいる地域の級地を確認することで、生活扶助の支給額のおおよその水準を把握することができます。※3
なお、級地は「1級地-1」「1級地-2」「2級地-1」「2級地-2」「3級地-1」「3級地-2」の6区分に分かれており、級地が高いほど生活扶助の基準額も高く設定されています。※1

※1出典:厚生労働省「生活保護制度における級地区分の考え方」2025.06.24
※2出典:厚生労働省「生活保護制度における級地一覧表」2018.10.01
※3出典:厚生労働省「生活扶助基準額の算定方法(生活保護基準表)」2025.10.01

② 世帯構成による調整

生活扶助の金額は、世帯の人数・年齢構成・障害の有無によっても変動します。ひとり親家庭や高齢者世帯、子どもの人数などによって必要とされる生活費が異なるため、それぞれに応じた基準額が設定されています。また、ひとり親世帯や障害のある人には加算が適用される場合もあります。

③ 地域区分 × 世帯構成で変わる支給額の考え方

実際の金額は年度ごとの基準や自治体の運用状況によって異なりますが、級地と世帯構成で支給額が決まる仕組みになっています。具体的な支給額を確認する際は、福祉事務所の案内や厚生労働省の資料を確認することが大切です。

4.実際に受け取れる生活扶助の事例

生活扶助の金額は地域や世帯状況によって大きく異なります。ここでは基準額の考え方や生活保護を利用して生活を立て直した事例を紹介します。

事例1:40代単身男性

体調不良が続き、安定した勤務が難しくなったため生活保護を申請。認定後は、生活扶助(生活費)と住宅扶助(家賃)が支給され、まずは住まいを確保できました。医療機関での受診が必要でしたが、生活保護では医療扶助により医療費の自己負担がかからないため、必要な治療や相談を受けられるようになりました。

その結果、体調管理や通院を優先できるようになり、無理のない範囲で求職準備を進められるようになっています。

事例2:ひとり親家庭

親子2人の世帯で、収入だけでは生活費と家賃の確保が難しくなり生活保護を申請。生活扶助と住宅扶助に加え、これまで受給していた児童扶養手当などの制度も併用しながら生活を維持しています。

生活扶助により日常の生活費の不足が補われ、住宅扶助で家賃を確実に支払える状態になったことで、住まいの安定につながりました。

5.生活扶助の申請前に知っておきたい留意点と専門家の助言

生活扶助の申請を検討する際には、制度の仕組みだけでなく、提出すべき情報や注意点を事前に理解しておくことが欠かせません。ここでは申請前に知っておきたい重要なポイントを整理します。

① 必要な情報と誤解されやすい点の整理

生活扶助の申請では、収入や預貯金、就労状況、不動産の有無などの情報を正確に提出する必要があります。「貯金があると申請できない」という誤解がありますが、最低限の生活維持に必要な資産は認められることもあります。また、健康状態や家庭環境を整理し、支援が必要な理由を説明できるよう準備しておくことが重要です。

② 住宅扶助の仕組みと注意点

住宅扶助には地域ごとの上限額があり、基準額を超える家賃の物件に住んでいる場合は、自己負担が発生します。転居を検討する場合は基準額内で物件を探す必要があり、選択肢が限られることがあります。住まいに関する判断は福祉事務所へ相談することで、無理のない選択がしやすくなります。

③ 就労支援制度の活用と将来設計

生活保護受給者であっても、意欲や体力がある方は職業訓練や就労支援を利用できます。収入の一部が認定から除外される仕組みもあり、自立に向けた準備が進めやすくなっています。生活再建には個人差があるため、焦らず自分のペースで取り組むことが大切です。

④ 偏見への不安と制度を活用する意義

生活扶助の申請には抵抗を感じる方もいますが、制度は誰にでも起こり得る困難に備えるために設けられています。申請をためらうことで、状況が悪化する可能性もあるため、自身の状態を正確に伝えたうえで支援を受けることが、安定した生活につながります。

6.まとめ

この記事では、生活扶助の基準額と住宅扶助との違い、地域差や世帯構成による支給額の考え方、申請前に押さえたいポイントをご紹介しました。

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