
突然の病気やけが、あるいは家庭の事情などで働けなくなったとき、生活の不安は非常に大きなものになります。収入が途絶えることで日々の生活費の確保が難しくなるだけでなく、将来への見通しも立てにくくなります。そうしたときに知っておくべきのは、公的な支援制度や手続き、そして緊急時に頼ることのできる窓口の情報です。このページでは、働けなくなったときに活用できる制度や支援について、わかりやすく丁寧に解説していきます。
1.働けない状況でまず確認したい支援制度

心身の不調や家庭の事情などにより一時的に働けない、あるいは長期的に働くことが困難になった場合、多くの人が真っ先に心配するのがお金の問題です。実際、収入が途絶えると生活は一気に不安定になります。しかし、国や自治体にはそうした状況を支えるための公的制度がいくつか用意されています。その中でもまず確認しておきたいのが、傷病手当金や雇用保険の失業等給付、障害年金、そして生活福祉資金貸付制度などです。
たとえば、会社員や公務員で健康保険に加入している方が病気やけがで働けなくなった場合、一定の条件を満たしていれば「傷病手当金」を受け取ることができます。これは、業務外の病気やけがで仕事を休んだときに、給与の約3分の2に相当する金額が最長1年6か月支給される制度です。会社を退職後でも条件を満たせば受給可能な場合があるため、会社を辞める前に確認しておくことが大切です。※1
一方、雇用保険に加入していた人が退職し、就職活動ができない事情がある場合には、通常の失業手当だけでなく、「特定理由離職者」や「特定受給資格者」として扱われることで、給付日数が延長されることがあります。たとえば、病気やけがによってすぐに就職できない場合には、一定期間「受給期間の延長申請」をすることが可能です。これにより、給付を受けられる期間を延ばすことができ、生活の安定につながります。※2
また、病気や障害が長期化する場合には、「障害年金」の申請も検討すべきです。これは、国民年金または厚生年金に加入していた期間中に一定の障害状態になった方に対して支給される年金で、働けない状態が長く続く方には大きな助けとなります。ただし、申請には医師の診断書や障害の程度を示す証明などが必要であり、申請から支給までに時間がかかることもあるため、早めの準備が求められます。※3
さらに、これらの制度に加えて、各自治体が実施している「生活福祉資金貸付制度」も知っておきたい制度のひとつです。これは、低所得世帯や高齢者世帯、障害者世帯などを対象に、緊急的な生活支援として無利子または低利子でお金を貸し付ける制度です。返済の条件も柔軟に設定されており、生活再建の一助になります。※4
①制度ごとの主な特徴

※1出典:全国健康保険協会「傷病手当金」
※2出典:厚生労働省「失業等給付について」
※3出典:日本年金機構「障害年金」2023.03.01
※4出典:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
2.生活保護を受けるために知っておくべきこと

生活に行き詰まり、ほかの制度では対応しきれない場合の最後の支えとなるのが生活保護制度です。この制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を促すことを目的としており、収入や資産状況に応じて必要な支援を受けることができます。ただし、生活保護という言葉に対して、世間体や周囲の目を気にしてしまい、申請に踏み出せない方も少なくありません。※1
実際に、生活保護を利用している人の多くは、病気や障害、家庭状況などやむをえない事情により働くことが困難な状態にあります。この制度はそうした人々の命を守るために存在しており、決して恥ずかしいものではありません。また、生活保護は単に現金を支給するだけでなく、住宅扶助や医療扶助など、生活に必要な複数の面から支援が行われます。
申請の際には、まず居住地の福祉事務所に相談することが第一歩になります。申請には収入や資産の状況、家族構成、住居の形態などの詳細な情報が必要ですが、正直に事情を話すことが大切です。実際に相談に訪れた人の中には、他の制度が利用可能であることがわかり、生活保護に至らずに済んだケースもあります。一方で、生活保護が必要と判断された場合には、申請を受け付けたその日から支給が開始される可能性もあります。
また、生活保護は「扶養義務者」との関係も問われますが、必ずしも扶養を受けることが前提ではありません。たとえば、親族との関係が疎遠である、または扶養が現実的でない場合には、その事情も考慮されます。重要なのは、困窮している本人の生活状況であり、制度の目的はあくまでその人の生活を守ることにあります。
※1出典:厚生労働省「生活保護制度」
3.お金に困ったときに使える緊急のサポート

突然の失業や病気によって収入が途絶えた場合でも、いきなり生活保護に進む前に利用できる支援があります。代表的なものが、生活困窮者自立支援制度の「一時生活支援」や「就労準備支援」、そして家賃の負担が難しくなったときに利用できる「住居確保給付金」です。これらは、生活が急変した人が再び自立を目指すための公的支援として位置づけられています。
生活困窮者自立支援制度では、まず生活を立て直すための相談支援が行われ、必要に応じて食事・衣類の提供、宿泊場所の確保などの「一時生活支援」を受けられることがあります。また、すぐに就労が難しい場合には、生活リズムの改善や基礎的な能力を身につけるための「就労準備支援」を利用でき、生活の再建を段階的に進めるサポートが行われます。※1※2
家賃の支払いが難しくなった場合には「住居確保給付金」が利用できます。この制度は、離職や収入減少などにより住まいを失うおそれのある人に対して家賃相当額を支給するもので、一定の収入・資産要件を満たせば申請できます。支援期間中は就労支援を受けることが求められ、再就職に向けた相談や職探しを進めることができます。※3
生活が急に苦しくなったとき、利用できる制度を知っているかどうかで、その後の選択肢は大きく変わります。収入の途絶や住居喪失の不安を一人で抱え込まず、まずは自治体の相談窓口や自立相談支援機関に相談することで、状況に応じた支援を受けられる道が開けます。早めの相談が、生活の安定につながる第一歩です。
①現在利用できる主な支援制度一覧
働けなくなった際の備えとして、国や自治体には複数の選択肢が用意されています。しかし、それぞれの制度によって「どのような支援を受けられるのか」「自分は対象になるのか」という細かな違いがあるため、まずは全体像を整理して把握しておくことが大切です。
以下の表では、ここまでご紹介した主な支援制度の概要と、どのような状況の方が対象となるのかを分かりやすくまとめました。ご自身の現在の状況と照らし合わせながら、活用できる制度がないか確認してみましょう。

※1出典:厚生労働省「一時生活支援事業の手引き」
※2出典:厚生労働省「就労準備支援事業の手引き」
※3出典:厚生労働省「住居確保給付金」
4.働けなくても暮らしを整えるための工夫

①日々の支出を見直すことの重要性
安定した収入が得られない状況において、最も基本的で効果的な取り組みの一つは、日常生活における支出の見直しです。特に、固定費と呼ばれる毎月必ず発生する支出をいかに抑えるかが、暮らしを整える鍵となります。例えば、通信費や光熱費、家賃などは少しの工夫で減額できることがあります。格安スマートフォンへの乗り換えや、電力会社・ガス会社の見直し、住居のダウンサイジングなど、できる範囲で見直すことが必要です。
支出を減らすことは、単に節約するという意味だけでなく、自分自身の生活の優先順位を見つめ直す機会にもなります。たとえば、外食の頻度を控え、自炊をするようになると、食費の削減だけでなく健康面でもよい影響が現れることがあります。暮らしを整えるというのは、生活の質を落とすことではなく、自分にとって本当に必要なものに意識的になることでもあります。
②生活のリズムを整える工夫
働けない時間が長くなると、生活のリズムが崩れがちです。朝起きる時間が遅くなったり、食事の時間が不規則になったりすると、心身のバランスも乱れてしまいます。このようなときこそ、意識的に生活の流れを整えていくことが求められます。毎朝決まった時間に起き、太陽の光を浴びるだけでも体内時計が整い、自然と前向きな気持ちになれることがあります。
また、一日一回、散歩などの軽い運動を取り入れることで、気分の浮き沈みを抑えることにもつながります。体を動かすことで気分転換になり、睡眠の質も改善されることが多いです。「働けない」という現実は変わらなくても、日々の暮らしを丁寧に整えていくことで、自分自身の内面に少しずつ変化が生まれます。生活のリズムが整うと、未来に対する見通しも自然と明るく感じられるようになります。
③福祉事務所のサービスとのつながりを持つ
暮らしを整えるうえで、福祉事務所とのつながりを持つことは非常に重要です。市区町村の窓口では、生活に困ったときの相談窓口が設けられており、生活費の相談や住宅に関する支援、医療費の減免制度など、実にさまざまな支援が用意されています。こうした制度は、知っているかどうかで大きな差が出ます。しかし、相談に行くことに抵抗を感じたり、制度が複雑で理解しにくいと感じたりする人も少なくありません。
そのような場合でも、まずは「何が困っているのか」ということを明確にして、相談窓口で話してみることが大切です。窓口の担当者は、状況に応じて最適な制度や支援を案内してくれることがあります。支援制度には申請期限があるものも多く、早めの行動がよりよい結果につながることもあります。福祉事務所のサービスは「最後の手段」としてではなく、「今の自分の暮らしを支えるための一つの選択肢」として活用していく意識が必要です。
5.将来に備えるために今できること

①今ある制度を知り、使いこなす
将来への不安を少しでも和らげるためには、まずは現在利用できる制度や支援策を理解し、それらを上手に活用することが第一歩になります。たとえば、生活保護制度は、単なる金銭的支援にとどまらず、住宅扶助や医療扶助など、生活のあらゆる側面を支える機能があります。また、障害がある場合には、障害年金や福祉サービスを受けられる可能性もあります。
これらの制度は、それぞれに要件があり、申請には手続きが必要です。しかし、制度の存在を知らずに苦しい生活を続けるよりも、少しでも情報を集め、活用することが将来の安定につながります。制度を「使うことに申し訳なさ」を感じる方もいますが、制度は本来、必要な人に使ってもらうために設けられているものです。自分や家族の生活を守るために、できることから始めていくことが何より大切です。
②生活に対する考え方を変える
将来に対して前向きな備えをするためには、「働くことがすべて」という価値観から少し距離を置くことも必要です。もちろん、働けることに越したことはありませんが、働けない状況だからといって人生の価値が下がるわけではありません。自分なりの役割や存在意義を見出すことが、将来への不安を和らげ、暮らしに安心感をもたらします。
たとえば、地域とのつながりや、趣味を通じたコミュニケーション、あるいは日々の家事や自分の健康管理など、目に見えない「働き」としての価値は数多く存在します。社会的な評価にとらわれず、自分自身が納得できる時間の使い方をしていくことで、将来に対する見通しも少しずつ変わっていきます。生活とは、収入だけで成り立つものではなく、心の充実や人とのつながりによっても支えられるものです。
③小さな積み重ねが未来をつくる
不安の多い中で先のことを考えるのは難しいかもしれませんが、将来を形作るのは、日々の小さな積み重ねです。たとえば、家計簿をつける習慣を持つことで、無理なくお金の流れを把握できるようになります。また、日記をつけることで、自分の気持ちや体調の変化に気づきやすくなり、生活全体を見直すヒントになります。小さなことのように思えるかもしれませんが、これらの習慣が積み重なることで、自分自身の暮らしに対する自信へとつながっていきます。
未来に対する備えとは、大きなことを一気にやることではありません。むしろ、今できることを丁寧に積み重ね、日々の中で「これでよいのだ」と思える時間を増やしていくことが、最も現実的で持続可能な備えとなります。少しずつでも、自分のペースで進んでいけることが、暮らしを守るうえで何より大切なことです。
④信頼できる人とのつながりを持つ
将来に備えていくうえで、精神的な支えとなる人との関係は欠かせません。家族や友人、あるいは地域の支援団体など、信頼できる人とのつながりがあるだけで、困難なときにも「一人ではない」という安心感が生まれます。話を聞いてもらえるだけで、気持ちが軽くなることもありますし、自分では気づかなかった選択肢を教えてもらえることもあるでしょう。
孤立しないこと、それが何よりも重要です。つながりは必ずしも多くある必要はありません。たった一人でも、自分のことを理解しようとしてくれる人がいれば、それは大きな心の支えになります。そのような関係を少しずつ築いていくこともまた、将来に備えるうえでの大切な一歩です。
まとめ

この記事では、働けなくなったときに利用できる公的支援制度や生活を立て直すための考え方に関する知っておきたい重要な内容をご紹介しました。
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