生活が困窮した場合に、相談できる窓口があるのをご存知でしょうか?今回は、生活保護を受給する前に相談することで、生活再建の支援を受けられる生活困窮者自立相談支援制度について解説します。

1.生活困難とは?その定義と背景

生活困窮者自立支援法では、生活困窮者を「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」と定義しています。(※)つまり、生活保護は受給していないものの、様々な事情により経済的に困窮し、最低限の生活すら送ることが難しい状態の人を指します。

①生活困窮の背景

生活困窮に陥る背景には、失業や病気、家族の介護、借金、社会的孤立など、複合的な要因があります。

従来の福祉制度は高齢者や障害者、児童など特定の対象者ごとに分かれていたため、制度の狭間で支援を受けられない人が存在していました。こうした複雑化・多様化する生活課題に総合的に対応するため、生活困窮者自立支援制度が制定されました。

②生活困窮の具体例

生活困窮の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 離職し、家賃の支払いが難しくなった
  • 高齢の親と二人暮らしで、地域から孤立し仕事が見つからない
  • 家族の介護のため収入が減った
  • DV被害から逃れたが、子育てしながらの就労が難しい
  • 引きこもりが長期化し、社会に出るのが怖くなった
  • 家計管理がうまくできず、借金が膨らんだ
  • 路上生活やネットカフェ生活を送っている

このように生活困窮の状態は人によって異なりますが、共通しているのは経済的な困窮に加え、社会的な孤立など複合的な課題を抱えている点です。一人で抱え込まずに、早めに相談することが重要です。

※出典:e-GOV「生活困窮者自立支援法」第3条(定義)参照:2024.08.11

2.生活困難に直面したときの相談先

生活困難に直面したときの相談先は、福祉事務所が代表的ですが、現在は生活困窮者自立支援制度の相談窓口への相談が可能です。

生活困窮者自立支援制度では、経済的困窮や社会的孤立など生活上の困難に直面した人のための相談窓口を、全国の自治体に設置しています。

①生活困窮者自立相談支援機関

生活困窮者自立相談支援機関は、都道府県や市区町村の福祉担当部署、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPOなどに設けられており、生活困窮者の相談を幅広く受け付けています(※)。失業や病気、家族の介護、借金、ひきこもりなど、生活のあらゆる悩みについて相談でき、一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成してくれます。

②主な相談内容と支援

生活困窮者自立相談支援機関では、以下のような相談に対してサポートや支援を行います。

1-就労に関する相談

就労に関する相談には、就労準備支援事業や認定就労訓練事業による就労支援が行われます。

2-住まいに関する相談

家賃が支払えない場合や住居を失ってしまった場合には、住居確保給付金の支給や緊急的な宿泊場所を提供します。

3-家計に関する相談

家計の状態が悪い場合は、家計の「見える化」と改善に向けた助言をするほか、貸付などのあっせんを行います。

4-子どもの学習支援

子どもの学習支援や生活習慣の改善に関する助言を行います。

生活困窮者自立相談支援機関での相談は無料で、秘密は厳守されます。生活のあらゆる不安や困りごとを抱え込まず、まずは最寄りの自立相談支援機関に相談することが大切です。家族や周囲の方からの相談も受け付けています。

③相談窓口の探し方

お住まいの都道府県や市区町村のホームページで、「生活困窮者自立相談支援機関」や「生活困窮者自立支援制度」の窓口一覧を確認できます。分からない場合は、市区町村の福祉担当課に問い合わせるのも一つの方法です。

生活困窮は誰にでも起こりうる身近な問題です。一人で抱え込まずに、行政の支援制度を上手に活用しながら、一歩ずつ自立への道を歩んでいきましょう。

※出典:厚生労働省「制度の紹介」参照:2024.08.11

3.生活困難者自立支援制度の概要

生活困窮者自立支援制度は、2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法に基づき、経済的に困窮し最低限度の生活を維持することが困難になるおそれのある人に対し、個々の状況に応じた支援を行い、自立の促進を図ることを目的とした制度です。

この制度では、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うための措置を講じています。

生活困窮者自立支援制度の特徴

生活困窮者自立支援制度の主な特徴は以下の通りです。※1

  • 自立相談支援事業において、生活困窮者の相談を幅広く受け止め、個々の状況に応じた支援プランを作成
  • 離職などにより住居を失った方に対する家賃相当額の住居確保給付金の支給
  • 直ちに就労が困難な人への就労準備支援事業による就労に向けた基礎能力の養成
  • 緊急に支援が必要な人への一時生活支援事業による衣食住の提供
  • 家計の状況の「見える化」と家計管理に関する相談、貸付のあっせんなどを行う家計改善支援事業

生活困窮者の自立支援は、生活困窮者の尊厳の確保に配慮していることが特長です。自立相談支援機関は、本人の意欲に寄り添いながら包括的な支援で、生活を再建することを目的としています。

※出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度について」p.10参照:2024.08.11

現に仕事をしている方などは生活保護を受給せずとも生活困窮を脱することが出来る場合がありますので、こうした制度は積極的に検討し活用していきましょう。

4.生活困難を乗り越えるためのポイント

生活困難に直面したとき、それを乗り越えるためには以下のようなポイントが重要です。

①困難を受け止め、前を向く

困難な状況に直面したら、まずはその現実を受け止めることが大切です。悲観的になるのではなく、「この状況を何とか乗り越えよう」と前を向く姿勢を持ちましょう。困難から目を背けず、立ち向かう勇気を持つことが第一歩となります。

②助けを求める

1人で抱え込まず、周囲の人に相談したり、助けを求めることも重要なポイントです。家族や友人、専門家など、信頼できる人に打ち明けて支援を受けましょう。1人で問題に立ち向かうのは難しくても、周りの支えがあれば乗り越えられる可能性が高まります。助けを求めることで情報を得られます。自分が対象となる支援制度は積極的に活用しましょう。

③小さな目標を立てる

困難な状況を一気に打開することは難しいといえますが、自分にできることから少しずつ取り組んでいきましょう。最終的に解決を図りたい生活上の困難から逆算していき、現状でも実現可能な小さな目標を立て、それを着実に達成していくことで、自信とやる気を取り戻すことができます。

④相談窓口を知っておく

生活困難を乗り越えるためには、問題に応じた周囲のサポートを受けることがポイントです。

1-生活で困った場合(自立支援)

日常生活や仕事、住居で困った場合には、生活困窮者自立支援制度によって、各自治体に設置されている自立相談支援機関窓口へ相談します。

2-パワハラや借金で困った場合(法律支援)

会社でのパワハラや借金の返済に困った場合には、法律相談の窓口を利用します。

法テラス(※1)は、国が設立した法的支援を目的とする機関です。借金、離婚、隣人トラブルなどの無料相談が可能です。借金の返済が困難になった場合には、債務整理や自己破産の相談をすることで、生活を再建できる場合があります。

3-DVやストーカー被害(警察への相談)

家族や配偶者による虐待などがあった場合、警察安全相談窓口(※2)への相談がおすすめです。110番をするほどの緊急性がなくても、暴力や不安を抱えている場合に相談できます。全国統一番号「#9110」へ電話をかけると相談ができます。(通話料がかかります。)

※1出典:法テラス「法テラスについて」参照:2024.08.11

※2出典:厚生労働省「その他の相談先」参照:2024.08.11

5.リライフネットとは

リライフネットは、関東一都三県を対象にマンション、アパート、個室型シェアハウスなどの住居提供を行っております。生活保護の申請サポートや迅速な住居確保などが可能です。お気軽にご相談ください。リライフネットでは完全無料でご相談が可能です。

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