1.生活保護とはどのような制度なのか

日本国憲法第二十五条では国民の生存権が定められており、それを保障するために国が行っている社会保障制度のひとつが生活保護です。

生活保護は金銭などの給付を通じ、国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための支援を行うというもので、生活保護法で定める一定の条件を満たした場合に受給できます。

また生活保護は日本の社会保障制度における「最後の砦」とも言われており、自分の資産や他法の支援など、あらゆるものを活用しても経済的に困窮する場合にのみ受けられます。

しかし中には緊急の支援を要する人もおり、年金受給や資産の処分などに一定期間を要することは迅速なサポートの壁とも言えます。また要否判定に時間を要するのも事実で、生活保護の対象とならない人に対する支援策の充実は、社会的な課題となっています。

2.金銭的に困窮したらどこに相談したらいいの?

金銭的に困窮した人の相談を受け付けてくれる機関としては、自治体をはじめとした公的機関の相談窓口や民間の支援団体などが例として挙げられますが、自立を積極的に支援する制度として生活困窮者自立支援制度があります。

制度の根拠である生活困窮者自立支援法は、生活困窮者に対して自立を支援することで自立の促進を図るという目的のもと、2013年に公布されました。同法にもとづき、2015年4月に制度がスタートしています。

社会福祉協議会やNPOなどに相談窓口を設け、ひとりひとりの状況に合わせた支援プランを作成するとともに、他の機関とのネットワークも活かしながら専門の支援員が相談者に寄り添った支援を行います。

これが制度の根幹をなす自立相談支援事業で、就労準備支援や家計改善のアドバイス、子どもの学習支援など必要な支援を組み合わせます。また一定の条件を満たす人には、住居確保給付金や一時生活支援など金銭や現物の支給も行われます。

生活保護との大きな違いは、生活保護が給付を中心とした支援を行うのに対し、生活困窮者自立支援制度は相談やアドバイスなどより具体的なサポートを提供する点と言えます。

また生活困窮者自立支援制度には、生活保護の手前で支援を行うことで、より自立への近道を見つけられるようにするという性質もあります。

金銭給付だけでなく具体的なサポートを受けられる生活困窮者自立支援制度は、周知度がまだ低いかもしれません。しかし国の財政状況や現役世代の負担など社会保障制度の将来が不安視される中、生活困窮者に対する新たな支援制度として期待されるところです。

3.生活保護を申請する時の窓口

生活保護の申請窓口は、都道府県や市区に設置されている福祉事務所になります。市区の場合は役所内に、都道府県の場合は地域の出先機関に窓口があるので、市や区に住んでいる人は前者に、町や村に住んでいる人は後者に申請をすることになります。

ただし都道府県の福祉事務所は町村から離れて設置されていることもあり、事前相談もしたい人は特に不便を感じるかもしれません。その場合は住まいのある町村役場で相談することが可能で、役場を通して日時を調整すれば自宅で相談・申請をすることもできます

市区の住民であっても、時間をかけてじっくりと相談や申請をしたい場合は、あらかじめ電話予約を入れておくのがよいかもしれません。

直接役所へ赴くことに不安を感じる人は、地域の民生委員から福祉事務所につないでもらうこともできます。しかし都市部など住民間の交流が希薄なところでは、役所より高いハードルを感じる人もいるのではないでしょうか。

また法律の専門家である弁護士や司法書士、地域によっては民間の支援団体に相談することも可能です。不安な点があれば、役所で申請する前に相談しておくのもよいでしょう。

4.生活保護の受給が始まった後の相談先

生活保護が開始になると、自分の住所を管轄するケースワーカーが、地区担当員として相談窓口になります。ケースワーカーは定期的に家庭を訪問し生活実態を調査しますが、税務調査のように怖いイメージを持つ必要はありません。

むしろ生活の実態にあわせ、より適切な支援を行うための聞き取りという側面があるため、日頃の悩みや困りごとは積極的に相談してみましょう。ケースワーカーは福祉制度に関する広範な知見を有しているため、保護受給者の強い味方になってくれます。

相談内容によっては、他分野の専門家につないでくれることもあります。介護サービスの利用に関することはケアマネジャーが、医療に関することは病院の医療ソーシャルワーカーなども相談を受け付けてくれます。

しかし最終的には関係機関同士で情報が共有されるため、総合的な相談窓口としては福祉事務所のケースワーカーが最適ということができるでしょう。

またケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーは、介護や医療などの支援が必要なときにはじめて関わりが生じる相談先です。初対面でいきなり悩みを打ち明けることに、抵抗を感じる人は少なくないのではないでしょうか。

ケースワーカーなら定期的な訪問によりある程度の人間関係も構築できているので、他の相談先よりも話しやすいという側面もあります。生活保護受給中の相談先は、基本的にケースワーカーに決めておけば間違いないでしょう。

5.生活保護受給時に債務がある場合は?

生活保護受給時に債務がある場合は、ケースワーカーに加え弁護士への相談を要する場合があります。

生活保護の受給中に債務を返済するということは、返済額相当生活に余裕があると見なされます。また国民の税金から借金を返すということにもなるため、保護を受けながらの債務返済は認められません。

債務を返済できない状態のため、最終的には法的な処理として債務整理をせざるを得なくなり、保護受給者はその中でも自己破産という選択肢しか取れません

自己破産の手続きは自分でもできることになっているものの、難しい書類作成や裁判所に何度も足を運ぶ必要があるなど、弁護士に相談するのが最も現実的といえるでしょう。法テラスを通じて依頼すれば、弁護士費用支払いの繰り延べや支払い免除などのサポートも受けられます。

もちろん生活保護を受けているため、福祉事務所のケースワーカーにも必ず相談しましょう。弁護士への相談を思い付かない人に対して、適切なアドバイスが期待できます。また自己破産をする際、自宅が競売にかけられ新たな住まい探しが必要になる場合もあります。保護の内容も変更されることになるため、ケースワーカーへの相談は忘れずに行いましょう。

6.生活に困窮する人はリライフネットへの相談がおすすめ

生活に困窮する人の相談先としては、行政に加え社会福祉協議会や民間の生活支援団体など、様々なところが挙げられます。行政の場合、福祉的な施策として生活保護や生活困窮者自立支援制度があるため、実効性の高いサポートが期待できます。

しかし経済的に困窮する人全てが対象となるわけではなく、行政のできることには限界もあります。より充実したサポートを望む人は、別の選択肢を探す必要があります。その意味で、リライフネットは信頼できる相談先のひとつと言えるでしょう。

リライフネットでは、ホームレスの人やいわゆるネカフェ難民の人に対し、最短で相談翌日から住まいを提供できる体制が整っています。また様々な分野の専門家とのネットワークを活かし、生活困窮者を総合的に支援することも可能です。

相談は無料なので、生活に困窮する人の相談先として、リライフネットの利用も検討してはいかがでしょうか。