一戸建てを持たない人が生活保護を受ける場合は、賃貸を借りて生活の拠点を構える必要があります。契約前には入居審査が行われますが、生活保護を受けている人が審査に通らない場合もあります。今回は保護を受けていても、入居審査に通るためどんな点を抑えておきたいかを詳しく解説します。

1.生活保護を受けている人でも賃貸は借りられる?

生活保護を受けている人でも、賃貸を借りることに制限はありません。というより、一戸建て住宅の所有が認められない場合は、必然的に賃貸暮らしをすることになります。

生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度として、国が定める最低生活費に収入が満たない場合、不足分を扶助するという方法がとられています。

生活の場面によって生活扶助をはじめとした8種類の扶助が使い分けられ、住環境を整えるための住宅扶助が含まれています。

扶助額の基準には上限がありますが、金銭給付される他の給付と一緒に住宅扶助が支給されるため、生活保護を受けている人も賃貸を借りられるような措置が取られています。

2.生活保護を受給していたら審査は難しいか

生活保護では賃貸の家賃が住宅扶助という形で支給されますが、賃貸契約は当事者同士の同意が前提となるため、賃貸暮らしが制度上認められるということとは別の話になります。

通常賃貸を借りる際は入居審査をクリアしなければなりませんが、特に生活保護を受けている人が新たに賃貸を借りようとする際、入居審査に通らない場合があります。

生活保護は経済的に困窮している人が受けられる制度で、保護申請につながった原因が単なる収入減や失業・ひとり親世帯などの事情であれば審査は問題なく通ることが多いようです。

一方で賃貸の審査に通りにくい事例としては、

  • 身体に障がいを持つ方
  • 心の病を抱えている方
  • 高齢者の方

などが入居を申し込んだ場合があります。

身体の障がいは視覚や聴覚・四肢などの障がいであれば、柔軟に審査してもらうことが期待できます。しかし口頭でのコミュニケーションが難しい障がいでは、電話聞き取りによる調査が難しいという理由で審査に通らないこともあります。

心の病に対する偏見は昔より減ってきていますが、それでも「精神障がいの人」というレッテルを貼られ差別の対象になる可能性もあります。

精神に障がいを抱える人でも症状は多岐にわたりますが「精神障がいの人イコール近隣住民とトラブルを起こす人」と誤解されやすく、心の病を持つ人はどうしても敬遠されがちです。

また生活保護受給の有無にかかわらず、高齢者ですと入居審査に通らない事例があります。高齢になるほど死亡リスクが上がり、特に単身高齢世帯では孤独死・発見の遅れという事由から、いわゆる事故物件になる可能性が高くなります。

事故物件になると家賃を下げざるを得なくなったり、そもそも入居申込者がいなくなったりするので、高齢者の新規申込みは審査に通らない可能性が高くなるということです。

3.生活保護を受けている人が賃貸の審査を通るコツとは

生活保護を受けている人が賃貸の審査に通らない理由を踏まえれば、審査に通るコツとしては、

  • 家賃の支払い能力
  • 与信
  • 生活保護受給者の入居相談の可否

の3点が重要になる、と言い換えることができます。

賃貸の審査では、主に家賃の支払能力から入居の可否を判断します。保証人がいなくとも保証会社を利用すればオーナーとしては問題ないのですが、その場合は保証会社での審査をクリアしなければなりません。

保証会社では滞納歴の有無や現状の収入など、会社ごとに定める一定の基準を満たすかどうかを審査します。生活保護を受けている人は住宅扶助が受けられるので、保護受給を理由に審査に通らないということはないでしょう。

連帯保証人になってくれる人が見つからない場合でも、緊急連絡先だけ記載すれば審査に通る保証会社もあるようです。その場合は審査時に「生活保護受給決定通知書」や「生活保護受給証明書」などの呈示を求められることがあります。

賃貸の審査では、むしろオーナーが生活保護受給者を受け入れ対象にしているかという点が重視される、といえるかもしれません。

賃貸を汚さないか・近隣とのトラブルを起こさないかという観点から、審査時に「なぜ生活保護を受けることになったか」という点を重視する場合もあります。

精神障がいの人に「トラブルメーカー」というイメージを持つオーナーもいると思われるため、精神障がいの人でも受け入れてくれる物件を検討しなければならない場合もあります。

もちろんトラブルを起こさないことをアピールするため、社会人らしい言葉遣いや態度を心がけるといった点も意識したいところです。

4.生活保護を受けている人が賃貸契約する流れや必要なもの

賃貸契約は住宅扶助の支給を伴うため、事前に福祉事務所へ連絡・報告しておかなければなりません。生活保護を受けている人が賃貸契約を検討する場合は、あらかじめケースワーカーに相談しておきましょう。

①賃貸契約までの流れ

入居物件は、ケースワーカーから賃貸契約の許可が出てから探し始めることになります。生活保護受給者も入居できる物件か、家賃が住宅扶助の基準におさまるかという点は、最初に確認しておきたいポイントです。

生活保護に対応する物件を扱っている不動産会社は、自力で見つけるのが困難です。頼りになる相談先を探せるかどうかが、賃貸を探したり審査に通してもらったりするためのポイントになるでしょう。

めぼしい物件を見つけたら、不動産会社にその旨伝えます。毎月の家賃はもちろんですが、敷金・礼金などの初期費用がどのくらいかかるかも忘れず確認しましょう。

その際「生活保護を受けている」ということを伝え、通常よりも本契約まで少し時間を要する旨を説明しておくことが重要です。同時にケースワーカーへ連絡を入れ、福祉事務所の指示を仰ぐ必要もあります。

福祉事務所から許可が出てから再度不動産会社に連絡を入れ、入居申込や審査の手続きを行います。入居審査に通ったら、正式な入居契約を結ぶ手続きを行います。契約を結ぶときに初期費用を支払うことになるので、住宅扶助の支給日などはケースワーカーに確認しておきましょう。

生活保護受給者の契約事務が不慣れな不動産会社の場合、スムーズに進まないことも考えられます。できれば経験豊富な不動産会社か、生活支援を行う団体などにサポートを依頼することをおすすめします。

②審査に必要な書類

必要な書類は物件により異なりますが、免許証や保険証といった本人確認書類や印鑑は、審査にあたって最低限準備しておきましょう。

生活保護を受けている人の場合、「受給している事実がわかる書類」の呈示を求められることがあります。具体的には生活保護決定通知書や生活保護受給証明書などがあり、決定通知書は保護の開始時に送付されています。一方受給証明書が必要な場合は、福祉事務所に発行を依頼しなければなりません。

スムーズに手続きが進むよう、申請から発行までどのくらいの日数がかかるのかをケースワーカーに事前確認をしながら、不動産会社には提出のタイミングも確認しておきましょう。

生活保護受給中の方の物件探しは通常よりも難航することが予想されますが、めげずに一つ一つ取り組んでいきましょう!

5.まとめ

生活保護を受けている人が賃貸を契約しようとする場合は入居審査に通らないこともあるため、審査に通らない理由を分析ししっかりとした対策を練ることが重要になります。

しかし生活保護に対応する物件を扱っている不動産会社は、なかなか見つけにくいかもしれません。そのようなとき頼りにしたいのが、リライフネットです。

リライフネットは経済的に困窮する人へ様々なサポートを行う中、住まいの提供と生活保護に関する支援を最も得意としています。

生活保護受給者でも即入居可能な物件について常に情報収集していることに加え、連帯保証人免除システムにより賃貸の審査に通るチャンスが増えることも期待できます。

生活保護を受けている人の住まい探しは、リライフネットへ相談してみましょう。