「生活保護を申請したいけど、入院中だから対応できない。」

「認知症を患っている母の生活保護を申請したいけど、家族が申請しても良いの?」

生活保護は日本国憲法第25条で制定されている「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するための最後のセーフティーネット(行政サービス)です。しかし、この制度はどんなに生活に困窮していても(国が定める最低生活費以下でも)申請しない限り利用することはできません

1.生活保護の申請は代理人でもできる?

生活保護を申請したくても出来ない事情もあります。冒頭のように入院中であったり、病気のために判断や申請作業ができない場合です。

そんな時は代理人が申請することができます。しかし、誰でも代理人になれる訳ではありません。代理人になれる人には条件があります。この記事では生活保護申請の概要と、代理人になれる人についてご説明します。

2.まずは申請の大まかな流れを確認しておく

この章では生活保護の申請をする時の大まかな流れをご説明します。本人が申請する場合も代理人が申請する場合も、大まかな流れは変わりません。

①福祉事務所で相談

まずは最寄りの福祉事務所へ行って生活保護を申請したい旨を相談しましょう。最寄りの社会福祉事務所の場所が分からない場合は、今暮らしている自治体の役場に行って聞いてみましょう。

中には住民票の住所と居住地が異なっている方もいるかもしれません。しかし、生活保護は住民票の住所に関係なく、居住地の社会福祉事務所で申請できます。公園で暮らしていたり(ホームレス)ネットカフェで暮らしているなど、住居がない場合でも申請できます。

②申請書及び関係書類の提出

保護申請書や提出する関係書類(※1)を用意しましょう。次の書類が必要になります。

(※1)生活保護申請書類  http://www.iwamotocho-ando.jp/pdf/dl.pdf

  • 保護申請書:住所、保護を受けたい世帯全員の氏名、扶養の有無、申請したい理由などを記載
  • 資産報告書:現預金、土地・建物、株式・債権などの資産情報を記載
  • 収入報告書:給与明細など保護を受けたい世帯全員の収入が分かる書類を元に記載
  • 同意書  :社会福祉事務所が調査のために収入や資産を関係先に問い合わせることへの同意書

関係書類は社会福祉事務所へ相談へ行くときに予め用意しておくと、申請がスムーズに進みます。保護申請書は社会福祉事務所でももらえますが、フォーマットは自由なので予め作っておくこともできます。

③福祉事務所による調査

保護申請書と関係書類を提出すると、社会福祉事務所による調査が行われます。調査内容は二つあります。

一つ目は申告された収入や資産が正しいか確認する調査です。申請者の家庭訪問を行い、現在の収入や生活の状況をヒアリングします。また、自治体の税務課や金融機関、それに勤務先に対して調査を行います。

二つ目は他に扶養(生活の援助)ができる親族がいないか確認する調査です。生活保護は申請者の努力や他の社会福祉制度を活用しても、最低限度の生活ができない場合に利用できます。親族の扶養もこれに該当します。そのため、扶養できる親族がいないことを確認する為に調査が行われます。

④生活保護の決定

生活保護の審査は申請から14日以内に行われます。遅い場合でも1ヶ月以内には審査結果が分かります。しかし、残念ながら審査に通らない場合もあります。その時は却下された理由が記載された通知が届きます。この内容に納得できない場合は不服申立てをすることもできますが、その時は専門家に任せることをおすすめします。

⑤受給開始

受給が決まったら生活保護費を受給することができます。しかし、生活保護の受給が始まっても気を付けることがあります。ケースワーカーと呼ばれる社会福祉事務所の職員が、生活実態調査のために定期的に家庭訪問に訪れます。家庭訪問を拒否するなど非協力的な場合は、生活保護が停止・廃止される場合があります。

リライフネットの相談者層
当サイトにお問い合わせの方には仕事や住居を失い、頼れる人も場所もない生活困窮者の方が数多くいらっしゃいます。

3.自分以外が申請することはできる場合とできない場合がある

生活保護の申請は原則生活保護を申請する本人が行うものですが、それが出来ない場合もあります。この章ではそんな時に代理人となれる人についてご説明します。

①本人以外に申請できるのは、原則扶養義務者と同居の家族だけ

本人以外で生活保護の申請をできると認められているのは原則扶養義務者と同居の家族だけです。扶養義務者とは直系血族と兄弟姉妹のことです。直系家族とは本人と直接血縁関係のある家族です。父母や祖父母、子や孫やひ孫がこれに該当します。義父母や子の配偶者などは直系血族には該当しません。

②弁護士や行政書士ができるのは、申請者本人の意思で記載した書類の代理提出

弁護士や行政書士ができるのは申請書類を代わりに提出することです。あくまで本人や前述の申請が認められている人の意思が必要です。しかし、弁護士に依頼するメリットはあります。それはケースワーカー等が法律から逸脱する発言や指導を行ったときに、是正(反論)してくれるという点です。生活保護を理解するには法律の知識が必要です。しかし、社会福祉事務所の職員も全てを把握している訳ではありません。

場合によっては生活保護受給者を増やさないために、担当窓口で意図的に違法な指導が行われる場合があります。本来なら受給できるはずの生活保護を断られることのないように弁護士に依頼するメリットは大きいです。また、前述の生活保護の審査結果に対する不服申立てをする際も、弁護士に依頼することをおすすめします。

「弁護士に依頼したいけど、どこに問い合わせたら良いか分からない。」という場合は東京弁護士会(※2)等に問い合わせれば、弁護士を紹介してもらえます。

(※2)東京弁護士会  https://www.toben.or.jp/bengoshi/syoukai/

③成年後見人は申請可能(2021年10月1日以降)

厚生労働省の『「生活保護問答集について」の一部改正について』(※3)によると2021年10月1日以降は成年後見人も申請可能となりました。

(※3)「生活保護問答集について」の一部改正について  https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000831722.pdf

成年後見人は「財産に関する全ての法律行為」を代理で行う権利を有することや、要保護者(本申請者人)の判断能力を考慮して代理で申請することが認められています。しかし、この場合でも本人の意思があることが望ましいとされています。

4.1人で申請する時には事前にしっかり調べておく

頼れる親族もおらず弁護士に代理を依頼することもできない場合もあるでしょう。この章ではそんな時に気を付けるポイントをご説明します。

①必要書類を揃える

必要書類そのものや、記載方法が分からない場合は社会福祉事務所で確認しましょう。初めて社会福祉事務所に訪問する時までに、これらの書類を必ずしも揃える必要はありません。分からないことはその場で社会福祉事務所の職員に相談して、一つずつ丁寧に書類を作成するようにしましょう。

必要書類を作成するためには給与明細や賃貸借契約書などが必要です。紛失した場合は勤務先や不動産屋に依頼してコピーなどを再発行してもらうようにしましょう。いずれも一覧表などを作成すると漏れが少なくなるでしょう。

②扶養照会してほしくない親族を申告する

他に扶養できる親族がいないか調査されることは前述しました。(扶養照会)しかし、DVから逃げているなど現在の居住地や状況を知られたくない親族がいる場合もあります。そんな時は社会福祉事務所にその旨を申し出ましょう。

5.自分一人で申請するのが不安な時は相談を!

生活保護の申請に役立つサイトがあります。それが「リライフネット」です。

一人で申請するのが不安。」という方はぜひリライフネットに相談して下さい。リライフネットには生活保護を熟知し経験も豊富な専門家がいます。そのため、これまで生活保護の審査が通らなかった方や、そもそも担当窓口で申請させてもらえなかった方のサポートの実績もあります。

きっとあなたのお役に立てるはずです。何か困ったことがあれば、まずはリライフネットに。