生活保護を福祉事務所に申請してもすぐに現金の支給が開始されるわけではありません。

家がない、食費がないなど緊急の場合は、どうすれば良いのでしょうか?

この記事では生活保護を申請してから受給が開始されるまでの流れと大まかな期間、当座の生活費についてご紹介していきます。

1.生活保護の受給可否について

生活保護を受給するためには、まず地域の福祉事務所で相談することから始まります。
福祉事務所では、職員と生活保護の受給が可能かどうかの面談があります。
ここで自分の生活状況を説明して生活保護受給の条件を満たしていた場合、生活保護を申請することが可能になります。

①申請後、受給可否の決定はいつ?

申請後は自治体にて調査が行われ、受給可否の決定を待つ形となりますが、受給可否はどのくらいで分かるのでしょうか?

一般的に申請後は、生活や資産状況の事実確認の調査に日数を要するため、厚生労働省では回答までの日数は原則14日以内、最長30日としています。※1

②生活保護費が受け取れるのはいつ?

申請の回答があり、生活保護が開始されると、最初の生活保護費は福祉事務所で手渡しとなります。※2

2回目以降は、毎月定められた日(定例支払日)に手渡しとされるか、登録した口座で受給を行います。

定例支払日は、自治体によって異なりますが毎月1日~5日が目安となります。なお、1月分の支給に限り前年の12月25日前後に支払われる自治体もあります。

支払日が土日祝日に当たる場合は、前日が支払日となります。※3

※1出典:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A(Q3)」参照:2024.02.02

https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/dl/seikatuhogo04.pdf

※2出典:京都市情報館「保健福祉センターにおける生活保護費等支給事務取扱要綱第3条(4)」参照:202402.02

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000229522.html

※3出典:生活保護法による保護費の預金口座振替事務取扱要綱「3(定例支払日)」参照:2024.02.02

https://www1.g-reiki.net/omura/reiki_honbun/q306RG00000196.html

2.生活保護を受けるための条件

生活保護を受給するには、原則として下記の条件をすべて満たす必要があります。

そのため福祉事務所に諸条件が満たされていると判断された場合に、はじめて申請が可能になります。

しかし、申請するだけでは、生活保護を受給できません。

申請後には調査が行われ、調査によって生活保護受給の条件を満たしていることが事実として確認できた場合に、生活保護の受給が開始されます。

事実確認の際には銀行口座などの資産状況を、すべて提示する必要があります。

①生活保護の条件

1-生活に活用できる資産がないこと

現在所持している現金、預金、保険、土地、車など、売却することで生活費として活用できる資産がなにもないことが、生活保護受給の条件です。

2-働く事ができない理由があること

世帯の人員全員に、ケガや病気、介護、育児など就労できない具体的な理由がある場合、生活保護を検討します。

3-生活保護制度以外の制度が利用できないこと

生活保護制度は最後に頼るべき制度のため、その他の支援制度が利用可能な場合は、生活保護以外の制度を優先して申請します。

4-扶養義務者からの援助が難しいこと

扶養義務者は生活保護を申請する本人の3親等以内の親族が対象となります。

祖父祖母、父母、子ども、兄弟、姉妹、伯父、甥など3親等以内の親族がいる場合は、親族による扶養や援助が優先されます。

②面談の内容をもとに調査開始

面談を経て申請書類が受理されると、福祉事務所での調査が開始されます。

生活保護は世帯単位で決定するため、担当者に世帯の状況を説明した後、世帯を対象とした事実確認の調査が始まります。※4

※4出典:厚生労働省「生活保護制度」参照2024.01.29

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html

3.福祉事務所による調査

ここでは福祉事務所で調査する内容について紹介していきます。

主に行われる調査は以下の3種類です。

①訪問調査

調査員が自宅を訪問し生活状況を確認します。

面談内容と、実情が一致しているかを把握するための調査です。

②資力調査

貯金金額や資産の有無を調べます。

銀行口座、生命保険、自家用車、土地や建物の価値などが調査されます。

申請時に申告していない隠し口座や資産などがあった場合もこの調査時点で判明してしまいますので、虚偽の申告は行わないようにしましょう。

③扶養照会

親類に扶養できる者がいないか確認します。
また、仕送りなどの援助が可能な状況かどうかを調査します。

④調査完了から決定まで

生活保護を申請してから決定通知書がもらえるまでの期間は、原則的に14日以内となっています。延長された場合でも30日以内には結果が出ます。※5

以上の調査をおこなった結果、生活保護を受けられると判断された場合、生活保護の決定通知書が送られてきます。

生活保護が受けられることが決まった場合、申請書を提出した日からの生活保護費が受給できます。

上記の調査で申請時の虚偽が発覚した場合は申請自体が却下されるため、正直に申告しましょう。

※5出典:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A(Q3)」参照:2024.02.02

https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/dl/seikatuhogo04.pdf(※1再掲)

4.申請結果が出るまではどうすればいい?

生活保護の申請をしてから生活保護費が支給されるまでの期間、所持金がなく生活していくことが困難になることが考えられます。

所持金がない、住宅を退去しなければならないなど、今すぐ使える生活費が必要な場合には「臨時特例つなぎ資金貸付制度」を活用することが可能な場合があります。

臨時特例つなぎ資金貸付制度とは、臨時特例つなぎ資金貸付制度は生活保護の申請後、実際に生活保護費が振り込まれるまでの期間に、必要な生活費がない方へ向けた貸付制度です。

連帯保証人が不要となっており、無利子で10万円以内を上限として貸付が可能です

都道府県社会福祉協議会が実施主体となっていますが、活用可能かどうかは自治体が実施しているかにもよるため、窓口で相談するようにしましょう。※6

※6出典:厚生労働省「臨時特例つなぎ資金貸付制度」参照:2024.01.30

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tsunagishikin/index.html

5.生活保護で受給できる生活費はいくら?

生活保護で毎月受給できる金額は、厚生労働省(厚生労働大臣)の定める基準で計算された「最低生活費」で決まります。

収入がない場合は決定した最低生活費が全額受給できますが、収入がある場合は最低生活費から、収入を差し引いた金額が受給金額となります。

そのため生活保護受給中は、ケースワーカーへ毎月収入を報告する必要があります。

①最低生活費の目安

厚生労働省では、生活保護費の目安として「生活扶助」の金額を例示しています。

生活扶助とは、日常生活に必要な生活費として毎月受給できる保護費です。

東京23区内60代独身男性の場合は、生活扶助基準額が77,890円とされています。

母子世帯(30歳、4歳、2歳)の場合は、196,220円です。※7

実際はこの他に住居の家賃などの費用である住宅扶助、医療費が必要な場合の医療扶助など、必要に応じた扶助が受給可能です。

生活保護の扶助は、「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「生業扶助」「医療扶助」「介護扶助」「出産扶助」「葬祭扶助」の8種類がありますが、このうち最低生活費として計算されるのは、「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」の3つです。

②最低生活費の計算方法

最低生活費は、級地と世帯の人員構成によって変動します。

級地とは、厚生労働省が地域ごとに物価や地価などを考慮して分類した等級です。

東京23区のような家賃や物価が高い地域は、「1級地-1」となります。

世帯の人員構成は、障害者の有無、子どもの有無、母子世帯などが考慮されます。

級地と人員構成に応じた基準額と加算額の合計で最低生活費が決定します。

また、定期的に病院で受診している場合や毎月の介護費用も加算額があります。

医療費と介護費用は、月額の平均金額が加算されます。

厚生労働省は級地と最低生活費の計算方法を公表しているため、下記リンクから級地を確認し、最低生活費を計算することが可能です。

厚生労働省「級地区分」

https://www.mhlw.go.jp/content/kyuchi.3010.pdf

厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」

https://www.mhlw.go.jp/content/001152601.pdf

最低生活費の計算方法はやや複雑なため、受給を検討する為に正確な金額が知りたい場合は、リライフネットの無料相談をご利用ください。

※7出典:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A(Q6)」参照:2024.01.31

https://www.mhlw.go.jp/content/001106332.pdf

6.生活保護の相談は安心のリライフネットへ

①困ったときはリライフネットへ無料相談

住居を退去してから住む家がない、所持金が0円になってしまった、生活保護の申請が良く分からない、不当な施設から抜け出したいなど、お困りの際はリライフネットの無料相談をご利用ください。

リライフネットは、東京都が指定する居住支援法人「株式会社ホッとスペース東京」が共同運営者として運営しています。

居住支援法人とは、2017年10月25日に施行された「改正住宅セーフティネット法」に基づき、都道府県が指定する法人です。※8

リライフネットは、行政、NPO、不動産事業者等と連携し、自立へ向けた住宅支援と総合的なサポートを行います。

②リライフネットの特徴

リライフネットでは、生活保護の申請サポートや住居を提供します。

最短で面談翌日に物件へ入居が可能で、生活保護の受給までの期間の食事や消耗品をサポートします。

ご提供したお部屋には退去期限がないため、焦らずに自立へ向けた準備が可能です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

※8出典:東京都住宅政策本部「住宅確保要配慮者への居住支援」参照:2024.01.30

https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/kyojushien.html

上記の調査で申請時の虚偽が発覚した場合は申請自体が却下されるため、正直に申告しましょう。

7.まとめ

この記事では生活保護を申請してからお金が支給されるまでの流れと期間について説明しました。申請したその日にすぐに支給が開始するわけではありませんが、原則的に14日以内には開始されますので目安の一つにしてください。

14日経っても連絡が無い場合は、担当者に相談してみてください。