1.路上生活からの復帰
Iさんとの出会いは、サークルドアが運営している炊き出しでした。※炊き出しの開催場所などはこちらのページ
Iさんは元々、会社勤務をしており普通の生活をしておりましたが、会社の取引先の倒産により、一瞬にして会社とお金を失くしてしまいました。
それに加えて、住まう家もなくなり、路上生活をせざるおえなくなってしまったのです。その際、娘さんがいたのですが、彼女は施設に預けられ、娘離れ離れの生活を送ることになってしまいました。その後、我々の相談ダイヤルに電話がかかってきて、「何とか生活を再建したいので力を貸して欲しい」との要請を請けました。路上生活には慣れていないIさんでしたので、急を要する事態でありましたが、タイミングが悪くサークルドアが運営するコミュニティハウスやアパートの空きはありませんでした。
そこで、生活保護の申請だけの補助を行うべく、連携している区議に相談を行い、無事、福祉事務所が紹介した施設で生活をしながら就労支援を受けることとなりました。
食うに困る生活を脱して、施設で新たな生活を歩み始め、娘さんと再度住むことを目標に無事就労先が決まりました。
2.再びのドロップアウト
当初は順調に仕事を進めてしましたが、問題が出てきました。施設では仕事より施設のルールが優先されることがあります。
例えば、就労した仕事は朝9時に出社しなければなりませんでしたが、施設では朝ごはんの片付け当番になった場合、必ずやらなければなりません。Iさんは寮長に相談しましたが、当番の免除は受け入れてもらえませんでした。
また、多様な方を受け入れる施設では、お酒を飲んで暴れてしまう人や友人を呼んで夜に遅くまで話をするかともいらっしゃいます。
そんな中、精一杯踏ん張っていた1さんですが、朝ごはんの片付け当番で仕事に遅れてしまったり、周囲の方の騒音で夜なかなか寝付けずに疲れが溜まり、ついに仕事を辞めてしまいました。
1さんはもうここでは再出発は難しいと感じて、再度サークルドアへ電話をしました。
3.相談会の開催・個別相談
Iさんが来られたのは、サークルドアが運営している相談会でした。※相談会は毎月第3第4日曜日に開催しています。相談会の詳細についてのページはこちら
相談会では社会福祉士、行政書士などの専門家が対応し、Iさんの悩みをひとつひとつ聞いていきました。サークルドアの住居を活用して自立をしたい、就労して安定した生活をしたい、という内容でした。Iさんはその後、何度か個別に生活相談をしました。今の悩みや今後の計画を立て、サークルドアが運営しているコミュニティハウスへ入られました。
4.生活の基盤を立て直すコミュニティハウス
Iさんはサークルドアの運営するコミュニティハウスに入居しました。※コミュニティハウスは通常の施設とは違います。コミュニティハウスの詳細についてはこちら
コミュニティハウス入居後は管轄の福祉事務所と協力し、生活保護の受給、寝具の受給、その他医療券の発行などを行いました。Iさんの生活の基盤を整えていきました。普通の生活に落ちつかせながら、病院に通いながら体調も整えていきました。Iさんの理想の暮らし計画をたてながら、無理をしないように生活を立て直していきました。
5.就労とアパート暮らし
Iさんはサークルドアと福祉事務所の就労支援によって、いろいろな会社の面接を受けていきました。Iさんの人生設計を考えると、週に数回勤務するような仕事よりも社員になってしっかり生活費を稼ぐプランが良いという結果になりました。すぐに社員に登用してくれるような会社はなかなかったのですが、たまたまIさんが持たれている資格や職歴が高く評価される会社があり、社員として就労しました。就労後は安定して勤務できるかなどのチェックをしながら進めていきました。安定して給与が入ってくるようになり、ケースワーカと相談し、無事、生活保護から自立することができました。仕事熱心なIさんは会社からも評価され、今年には役職もついたようです。
また、コミュニティハウスを引っ越しする資金も溜まったのですが、個室でアパート暮らしとそれほど変わらず居心地が良い為、すぐに引っ越しすることなく生活されています。今後は、念願の娘さんと一緒に暮らし始めるタイミングで引っ越しを考えれているようです。