1.生活保護受給者の暮らしぶりは

生活保護の方法は、国が定める最低生活費に収入が満たない場合、不足分を補う形で保護費を支給するというものです。生活保護受給者は収入の有無に関わらず、最低生活費の基準で暮らすことが保障されています。

しかし最低生活費は家族の年齢や人数・居住地によって違うため、世帯の状況によって暮らしぶりはかなり違ってきます。

最低生活費及び生活保護の扶助は、

・生活扶助

・教育扶助

・住宅扶助

・医療扶助

・介護扶助

・出産扶助

・生業扶助

・葬祭扶助

の8種類があり、世帯の実情に応じて算定されます。このうち医療・介護の両扶助は現物給付のため、現金の支給がありません。出産・生業・葬祭の各扶助は基本的に一時的なものであり、教育扶助は義務教育を受けている子どもにのみ算定されるので、この後は生活扶助を基本に暮らしぶりを掘り下げます。

①最低生活費の計算例と暮らしぶりの実態

40歳の単身世帯では、

東京23区内(1級地1)に住む人は基準額が約7万6000円、

最も低い級地区分(3級地2)のひとつである千葉県いすみ市

は6万7000円程度にとどまります。

賃貸暮らしの人には住宅扶助が算定されますが、扶助額は家賃相当分だけなので、日常生活を送る上ではプラスもマイナスもありません。

また税金や公的保険料等は多くが免除されるため、実際生活をしていく上では、これらを除いた分を保護費(最低生活費)の中でやりくりしていくことになります。

生きていくのに欠かせない光熱水費や食費は、生活保護を受けていても受けていなくても同じくらいかかります。特に外食中心の生活をしている場合は、経済的にかなり苦しくなるかもしれません。

残りの額からは、衣類や家具や家電を買い替えるため、最低限の預貯金などでお金を工面しなければなりません。これらを差し引くと、遊興費などほかの経費に充てる余裕はほとんどないといってよいでしょう。

一方で世帯員が増えると最低生活費の基準がアップします。特に子どものいる世帯やひとり親世帯には最低生活費に加算がつくため、一見贅沢な生活ができるのではと思われる場合があるかもしれません。

それでも基準が上がる分子育てにお金がかかる証拠ともいえ、子どもの将来に備える蓄えができないというデメリットもあることから、決して贅沢はできません。

しかし贅沢な生活こそ難しいものの、生活保護受給者の暮らしぶりは質素倹約に努めている限り、保護を受けていない人とさほど大きな違いはないといってもよいでしょう。

2.生活保護受給者で本当に苦しんでいる人の特徴

生活保護を受けている人に対しては、「仕事もせずにただ楽をしている」というイメージを持つ人も中にはいるでしょう。しかし15歳以上65歳未満のいわゆる「稼働年齢層」にある人は少数派で、保護を受けている世帯のほとんどは、客観的にやむを得ない事情によるものというのが実態です。

厚生労働省が毎月行っている被保護者調査では、生活保護の受給者数をはじめとした国全体の概要をとりまとめています。2022年11月の調査結果によれば、生活保護受給者は2,026,638人・1,646,586世帯となっています。

このうち65歳以上のみ、もしくはこれに18歳未満の世帯員で構成されている高齢者世帯の割合が55.4%と過半数を占めています。また世帯主に障害があったり病気治療中だったりして働けない、という障害者世帯が被保護者の24.9%です。

母子世帯も4.1%あるため、「その他世帯」は15.5%に過ぎません。そこにはいわゆる父子世帯や就労しているが収入が足りない世帯も含まれており、純粋に仕事をしていない人(世帯)はごくわずかです。

このように、一般市民がイメージしがちな「働かないのに生活保護を受けている」という人はほんの一部で、ほとんどの受給者が「働けない客観的な理由がある」といえます。

3.ネットで見かける生活保護受給者の実態は本当なのか?

以前から、「生活保護を受けているくせに、もらった保護費をギャンブルやお酒で消費するのはけしからん」という一般市民の声は絶えません。最近ではネットやSNSで同様の書き込みが増え、またたく間に拡散しています。こうした声は、どの程度真実なのでしょうか。

保護受給者の大半は「普通の生活」を送っており、保護費をギャンブルやアルコールにあてているというわけではありません。しかし中には世間的に好ましくない用途で浪費する人がいるため、トラブルにつながる一部の言動が目立つ、というのが真相です。

こういった人たちはどうしても人目に付きやすいため、生活保護受給者に対する誤ったイメージを植え付けてしまうのかもしれません。

4.生活保護受給中の生活制限

生活保護を受けている人でも原則として保護費の使途は制限されません。ただし新たな資産を作れない、という制限が課せられます。

資産形成が認められないため、保護を受けている限りマイホームの夢を叶えることはできません。また自動車やバイク保有が認められる事例はほとんどないため、東京23区内に住んでいる人でなければ不便を感じるかもしれません。

装飾品も処分価値のある資産と見なされ、アクセサリーでおしゃれすることは困難です。

使い道が制限されないからといって、生活保護の基準となる最低生活費の額では、旅行や趣味に使える経済的余裕がほとんどありません。直接禁止されていないギャンブルやアルコールへの出費も、一般市民からの冷たい視線を受けながらということになります。

特にお金を借りたり返したりということが禁止されるのは、受給者最大のデメリットといえるのではないでしょうか。クレジットカードの分割払いやリボ払いも認められないので、キャッシュレス決済は現金チャージしかできないなど、日常生活では不便な場面も多いです。

ケースワーカーによる定期的な訪問調査も、人によっては苦痛を感じる場合があるでしょう。自立へ向けた相談対応の意味合いもあるとはいえ、心情的には調査や生活指導を受けることを快く思わない人がいるかもしれません。

5.生活保護を受ければ一生働かなくて済む?

生活保護には最低生活の保障に加え、自立の促進というもうひとつ大事な役割があります。福祉事務所やケースワーカーは保護の目的を達成するため、実態に応じた支援や指導を行います。

稼働年齢層に対する就労指導は最も目に見える支援ですが、ケースワーカーからの指導に従わない場合は保護の停廃止処分対象となり、生活保護そのものを受けられなくなる可能性もあります。

生活保護の受給は、日本国民へ平等に与えられる大切な権利です。しかし権利だけふりかざして、先に触れたような制限を感じながら生き続けるというのは、決して受給者本人にとっても望ましいとはいえないのではないでしょうか。

もちろん高齢者や障がいを持つ人など、やむを得ない理由で生活保護を受けている人は後ろめたい気持ちを持つことはありません。しかし働けるのに働かない人は、福祉事務所からの強い指導や市民からの冷たい視線におびえながら暮らすより、就労して自立した生活を送ることを目指しましょう。

6.生活再建のためにリライフネットを活用しよう

生活保護は自立促進という隠れた目的があり、特に働けるのに働かない人には厳しい指導や処分がなされます。客観的にやむを得ない事情がない限り、生涯にわたって保護を受け続けるのは現実的とはいえません。

生活に困窮した人が生活保護以外の選択肢をとるためには多岐にわたる専門知識が不可欠ですが、リライフネットはそんなとき相談先として頼りになる存在です。

リライフネットでは生活保護の申請サポートに加え、住まい探しをはじめ生活困窮者をあらゆる角度から支援します。様々な分野の専門家とのネットワークも有しており、必要に応じサポートをつなぐことも可能です。

生活保護を受けたい人だけでなく、暮らしぶりを向上させたいあらゆる人は、リライフネットの門を叩いてみてはいかがでしょうか