1.保護施設とは

保護施設という言葉から、「生活に困っている人などを保護する施設」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。それは半分正解ですが、半分は誤りとも言えます。

制度としての保護施設は生活保護法(以下「法」)を根拠とするもので、「自宅での安定した生活を送ることが難しい人が、それぞれの形で自立を図るために入所する施設」です。実際には身体または精神的な疾病を持つ人が主に入所しており、生活訓練や就労訓練などを行いながら生活しています。

保護施設の運営は、社会福祉法上の第一種社会福祉事業に位置付けられています。利用者への影響が極めて高いことから、設置主体は法第四十一条により、行政や地方独立行政法人、社会福祉法人及び日本赤十字社に限定されています。

2.保護施設の種類

在宅での生活が困難な人をサポートする保護施設ですが、具体的な目的により

救護施設

更生施設

医療保護施設

授産施設

宿所提供施設

の5種類があります。

それぞれの施設がどのようなものか、具体的にご紹介します。

①救護施設

救護施設は法第三十八条第二項で、「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設」と定められています。また5種類ある生活保護施設の中で、施設数も入所者数も最も多い施設です。

入所者は心身の回復を目標としてリハビリやクラブ活動といった余暇活動を行ったり、入浴や食事など日常生活を支援したりしながら生活しています。

②更生施設

更生施設は法第三十八条第三項で、「身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設」と規定されます。

救護施設の入所者よりも若い人が多い傾向があり、ほとんどの人が就職による社会復帰を目標としています。

③医療保護施設

医療保護施設は要保護者に医療給付を目的とする施設として、法第三十八条第四項で規定されている施設です。実際は独立した施設でなく、指定病院や診療所の許可病床のため医療機関に付随する機能の施設になります。

④授産施設

授産施設は法第三十八条第五項を根拠とする保護施設で、就業能力の限られている要保護者に対し就労又は技能の修得をサポートすることで、自立の助長を図るための施設です。

それぞれの就業能力や経歴により、農業や法制。機械工作、コンピュータプログラムの作成など、様々な実務作業や職業訓練が行われます。障害者支援施設と同様、作業能力や実績に応じ一定の工賃が支払われます

⑤宿所提供施設

宿所提供施設は「住居のない要保護者の世帯に対して、住居扶助を行うことを目的とする施設」として、法第三十八条第六項に定めがあります。他の保護施設と違う特徴として、宿所提供施設はあくまで生活の場所のみを提供するという点があります。介護や職業訓練等、他の援助は提供されません

類似の施設としては、社会福祉法第二条第三項第八号で定める無料低額宿泊所があり、生活困窮者に対し無料または低額な料金で簡易貸付などを行う第二種社会福祉事業とされています。

生活保護施設の宿所提供施設と違い届出制の施設であることから、設置主体に制限がありません。そのため、生活保護の要保護者などを対象にする「貧困ビジネス」の温床になっている施設もあると言われています。

3.保護施設以外に入れる施設はあるのか

保護施設は生活保護制度の施設として、入所者は生活保護の支給を伴います。それ以外にも福祉各法を根拠とする入所施設は数多く存在しており、入所者に対してそれぞれ法の趣旨にもとづいた支援を行っています。

ここでは生活に困窮した人を対象とする施設に加え、18歳以上の成人が入所できる福祉施設を紹介します。

①母子生活支援施設

児童福祉法第三十八条を根拠とする母子生活支援施設は、18歳未満の子どもを養育する母子家庭や、それに準ずる家庭の女性と子ども(以下「母子家庭」)を対象とする入所施設です。

母子生活支援施設では、経済的困窮やDVなどの問題を抱えた母子家庭を保護するとともに、自立促進のサポートや退所後の相談などを行っています。入所するには行政に申請をして入所決定を受ける必要があり、利用料は世帯の所得によって決まります

②障害者支援施設

障害者支援施設は障害者総合支援法第五条第十一項にもとづき設置される施設で、身体障害者や知的障害者、精神障害者などが入所できます。入所できるのは原則として、市区町村から障害支援区分が4以上の認定を受けた人に限られ、世帯収入に応じた利用料がかかります

施設では入所者に対して入浴や排泄、食事などの介護や生活相談に加え、施設入所支援や就労移行支援など必要に応じた支援を行います。

③介護保険施設

介護保険制度における介護保険施設は、指定介護老人福祉施設とも呼ばれる特別養護老人ホーム、介護老人保健施設に加え、介護医療院の3種類があります。それぞれ生活の場、在宅復帰を目指すリハビリの場、医療行為を伴う長期療養及び生活の場という役割があります。

特別養護老人ホームにおける措置入所という例外が設けられる以外は、介護保険の要介護認定を受けなければ入所できません。また、介護老人保健施設はある程度入所期間が制限されていることや、特別養護老人ホームの待機者問題など、施設による課題があります。

4.自分で部屋を借りて暮らすには

ここで紹介した保護施設は生活保護法にもとづく施設ですが、単に経済的に困窮する人というより日常生活全般の支援を必要とする人が主な対象です。他の福祉関係法令にもとづき設置される施設もそれぞれ厳格な入所要件があるため、個別の要件に該当する生活困窮者が利用できるという程度と理解しなければなりません。

いずれの場合も生活拠点の役割を果たす施設はなかなか空きが生じないため、施設に入所できる人はごく一部です。そのため生活に困窮する人の多くは、自分で部屋を借りて暮らすことも検討する必要があります。

生活困窮者向けの制度としては生活保護がありますが、生活保護は最後の砦ともいえる制度なため、申請前にあらゆる資産や制度を活用しなければなりません。保護開始までには最長30日かかることもあるため、困窮した際は別の制度や相談先を活用することも検討しましょう。

都道府県や市町村が設置する自立支援センターは、生活困窮者自立支援制度のひとつである一時支援事業を行う機関に位置付けられています。ホームレスの人はこのセンターで宿泊場所や衣食の提供を受けながら、自立へ向けたサポートを受けられます。

民間の支援団体でも相談を受け付けるところがありますが、住まい探しは自力で対応しなければなりません。そんなとき頼りになるのが、リライフネットです。

リライフネットでは生活困窮者のくらしをトータルで支援しており、生活保護の申請サポートにも対応します。中でも住居の提供と生活保護サポートのセットを得意としているため、支援を受けて路上生活やネットカフェくらしから脱却することができます。

生活保護受給者でも即入居可能な物件情報も有しているため、部屋を借りて単身で自立を図ることも可能です。

経済的に困窮する人が自立を図るためには、よろず相談ができるリライフネットの利用も検討してはいかがでしょうか。