生活保護を受けている人が相続人となった場合、遺産は相続できるのか、相続した場合は受給資格はどうなるのか、生活保護を受けている方にとっては非常に気になることではないでしょうか。生活保護を受けている方にとって、相続という行為は生活を変えてしまうことにも繋がるため、慎重に行動しなければなりません。
「生活保護を受けているけど相続人になったらどうなるの?」
「生活保護を受け続けるには相続放棄しかないのか」
「生活保護受給者が財産を相続した場合の注意点は?」
など、相続に関する疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では
- 生活保護受給者は相続放棄ができるのか
- 生活保護受給者が相続放棄できるケースとは
- 生活保護受給者が相続した場合の注意点
を解説していきます。相続に関することで迷うことがあった際には、この記事を参考にしてみましょう。
1.生活保護受給者は相続放棄はできる?
生活保護受給者は相続放棄ができるのかという点に疑問を持つ方も多いはずです。
ここでは、生活保護受給者は相続放棄ができるのかを見ていきましょう。
①生活保護とは?
そもそも生活保護とは、国民の生存権を保障している日本国憲法第25条において健康で文化的な最低限度の生活を送る権利を保障するために、経済的に困窮する人々に対して、困窮の程度に応じた給付を行う制度です。
その人が自立できるような支援をすることが目的とされており、生活が困窮している人であれば誰でも申請ができる制度となっています。
②生活保護の受給条件
生活保護を受給するための条件とは
- 収入が国の定める最低生活費を下回っていること
- 持ち家や車などの資産価値があるものを持っていないこと
- 病気や怪我によって働けずに生活が困窮していること
- 公的融資制度、公的扶助の対象から外れていること
- 三親等以内の親族から支援を受けることが難しいこと
これら5つの条件を満たす必要があり、すべて満たすことではじめて生活保護を受給できる対象となります。
③原則として相続放棄ができない
生活保護受給者は、原則として相続を放棄することができません。
その理由としては、生活保護受給者が相続できる財産を受け取らずに相続放棄することは、活用できる財産があるにも関わらず、活用せずに生活保護を受給し続けることになります。相続できる財産がありながらも相続を放棄すると「利用しうる財産」があるのにも関わらず、最低限度の生活を送るためにそれらを活用していないと判断されます。
相続放棄は、活用できる財産を自ら放棄することになるため、生活保護制度の原理原則に反する考えとなり、一般的に相続を放棄することができません。
2.生活保護受給者が財産を相続すると受給が中止に
生活保護受給者は原則的に相続放棄できないと説明しましたが、相続した場合にはどういったことが起きるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
①相続額によっては受給停止、廃止になる
生活保護受給者が遺産を相続した場合は、生活保護の受給停止、または廃止になる可能性があります。
生活保護の基本的な考えが「困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ものを根底にしており、「不足分を補う」制度として存在しているからです。
遺産を相続をしたことで、生活保護が不要になるほどの財産を取得することとなった場合、継続的に安定した生活を送れるようになったと判断される可能性が高いです。その結果、「保護が必要なくなったとき」として認められてしまい、生活保護の一時停止や廃止になる可能性が高くなります。
ここでいう生活保護の「停止」は一時的に保護費の支給が停止されることを指し、「廃止」は生活保護費の受給資格自体が失われることを指していることを覚えておきましょう。
②少額の財産であれば、引き続き生活保護の受給は可能
遺産の相続をしたからといって、すべてのケースで生活保護の受給が停止または廃止になるわけではありません。相続した財産を活用しても最低限度の生活が維持できない場合には、生活保護を受け続けることが可能です。
例えば、1ヵ月の保護費よりも少額の遺産を相続した場合、最低限度の生活が維持できないので生活保護費を受け続けることができます。また、相続した財産が地方の不動産などといった処分することが難しいケースでは、現金化が難しく、生活費に充てられないことから受給資格に影響がないのが一般的です。
3.例外的に生活保護受給者でも相続放棄ができるケース
一般的に生活保護受給者は、相続することができないと説明していますが、例外的に以下の場合には相続を放棄することが可能です。
- マイナスの財産がプラスに財産を上回る場合
- 処分が困難な財産がある場合
の2点です。それぞれ解説していきます。
①マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合
相続はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継がれるのが原則とされています。
そのため、亡くなった方の財産が、現金や金品、不動産などといったプラスの財産の合計金額よりも、借金やローンなどマイナスの財産の方が多い場合、相続を放棄することが可能です。相続した財産をすべて売却した場合でも借金やローンなどが残ってしまうため、生活保護者にとっては不都合が大きいことが理由です。
生活保護受給者が借金やローンの支払いを引き継いでしまうと、さらに生活が困窮してしまうことが考えられるため、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には相続放棄できるとされています。
そのため、生活保護受給者に相続が発生した際には、相続財産の調査をしっかりと行うことが重要です。
②処分の困難な財産がある場合
相続できる財産の中には、立地条件が悪く、売却することが困難な自宅や山林なども含まれるのが特徴です。これらの財産のように、取得したとしても自分で使用することなく、換金することが難しい不動産が存在するケースも考えられます。
そのような不動産を生活保護受給者が相続したとしても、最低限度の生活を送るための維持費として活用することが難しいです。反対に維持費や管理費などで費用がかかってしまい、より生活が困窮してしまう可能性も考えられます。
財産に処分が困難な不動産が含まれている場合には、相続放棄できるのが一般的です。
ただし、相続放棄に対する生活保護への影響を判断するのは保護の実施期間とされています。問題ないと考えられる場合でも、あらかじめケースワーカーなどに相続放棄が問題ないかを相談しておくことが大切です。
また、不動産や株式などといった財産の価値を判断することが必要なケースでは、不動産鑑定士などの専門家に相談することも重要になるので覚えておきましょう。
4.生活保護受給者が財産を相続した場合の注意点
生活保護者が相続をする場合には、「相続する前」と「相続した後」でいくつか注意しなければならないことがあります。ここでは相続前後で注意すべきポイントを3点を解説していきます。
①生活保護を受給しながら保有できる財産もある
相続する前の注意点として「生活保護を受給しながら保有できる財産もある」ということを覚えておきましょう。
例えば、以下のような条件の場合、生活保護を受けながら財産として保有しておくことが可能です。
- 最低限度の生活を維持するために活用されている資産であり、なおかつ処分した場合よりも保有している場合の方が生活維持や自立の助長に有効である資産
- 処分することができない、または処分することが困難な資産
- 売却した代金より、売却するためにかかる経費の方が高い資産
これらのケースの場合は、生活保護を受給しながら財産として保有し続けることが可能です。
②遺産分割協議で資産を少なくもらう
相続する前の注意点2つ目は「遺産分割協議であえて資産を少なくもらう」ことです。
遺言書がなく、相続人が複数人いる場合、相続人全員で「財産を誰がどの程度の割合で相続するか」を決める遺産分割協議を行うことがあります。遺産分割協議では、相続人全員の合意があれば自由に割合を決めることが可能です。
生活保護を受給し続けるために、あえて自分の財産を少なくもらうケースも考えられ、遺産の調整をした事実が発覚した場合は不正受給とみなされることがあります。
生活保護受給を継続したいからといって、遺産を少なくもらうことは生活保護の考えに反することになるということを覚えておきましょう。
③相続をした場合、福祉事務所に必ず報告をする
相続をしたあとの注意点として「相続した事実を福祉事務所に報告する」ことが必須です。
相続によって遺産を取得したのにも関わらず、生活保護の受給に影響があることを心配して報告を怠っていると、不正受給を疑われることがあります。自ら黙っていた場合はもちろんのこと、忘れてしまっていた場合も同様の処分を受けることになるので、報告をしないことは避けましょう。
相続した内容によって、今後の生活保護受給を判断する必要があるので、必ず福祉事務所に報告するようにしてください。
5.まとめ
この記事では、生活保護受給者の相続に関する情報を見てきました。
基本的に相続放棄することができませんが、例外もあることを覚えておくことが大切です。その時の状況や家庭環境などによって、大きく状況が異なってきます。
自身で判断できない状況も多いため、誰に相談したらいいのかわからないという方も多いです。そんな時は「リライフネット」に相談してください。
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