生活保護受給中でもグループホームに入居は可能なのか、入居できるとしたらどのような流れになるのか、条件はあるのかなど、グループホームに関して疑問に思っていることはありませんか?

今回は、生活保護受給中でグループホームへの入居を考えている方に、入居の条件や手続きの流れを解説します。

1.生活保護とグループホームについて解説

住宅

①生活保護とは

生活保護とは、生活保護法(※1)に定められている公的な扶助制度です。

日本の国民の健康で文化的な最低限度の生活を、国や自治体が保障することを目的としています。

扶助には、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助及び葬祭扶助の8種類があります。

※1出典:生活保護法第一条

※2出典:生活保護法第十一条

②グループホームとは

厚生労働省(※)が定めているグループホームの定義によると、グループホームとは認知症高齢者、知的障害者、精神障害者が少人数で共同生活をする施設を指します。

グループホームでは、専門スタッフの支援を受けながら、日常生活に近い状態で生活します。

※出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」

グループホームは、生活援助タイプと介護サービスタイプに区分されます。

知的障害者や精神障害者のグループホームは、生活援助タイプです。

5人から6人を1ユニットとし、主に職場(福祉作業所)に近い民家で共同生活をします。

認知症高齢者のグループホームは、軽度の介護サービスタイプです。

5人から9人を1ユニットとして、ひとつの施設内に2ユニットから3ユニットが共同生活をします。

高齢者用グループホームは、病院よりも家庭的な雰囲気や、実生活に近い環境を整えています。

入居者はスタッフの介助を受けながら、生活の基本的な部分は本人が自立して行います。

そのため一般的な有料老人ホームよりも費用がかからないことが特徴です。

施設内で共同生活をしますが、個室もあるためプライバシーも保たれています。

他の入居者との交流を楽しんだり、個人の時間を持つことも自由です。

グループホームでは、自立した生活をすることによって、認知症の進行を緩和することも目的としています。

この記事では、認知症高齢者のグループホームについて解説します。

2.生活保護受給者でもグループホームに入居できるのか

①生活保護受給中でもグループホームへの入居は可能

生活保護受給中でも、グループホームへ入居することは可能です。

しかし、利用できるグループホームは、生活保護法で指定されている許可を得た施設のみになります。

「この法律による介護扶助のための居宅介護若しくは居宅介護支援計画の作成、福祉用具の給付、施設介護、介護予防若しくは介護予防支援計画の作成、介護予防福祉用具又は介護予防・日常生活支援の給付を担当させる機関を指定する。」

e-GOV法令検索「生活保護法 54条の2」(参照2023-08-07)

生活保護対応型グループホームは、全ての居室が生活保護対応の場合と、一部居室のみ対応している場合があります。

②最初にケースワーカーへ相談する

グループホームへの入居を希望する場合は、最初にケースワーカーへ相談しましょう。

生活保護受給中は、グループホームへの入居は転居にあたるため、最初に転居の許可を得る必要があります。

そのため最初にケアワーカーに相談し、グループホームへの入居の許可が得られたら、入居するグループホームを探すという流れになります。

すでに介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに近隣のグループホームについての情報を聞いてみることもおすすめです。

③グループホームに入居する条件

認知症高齢者向けのグループホームへ入居するには、医師による認知症の診断書が必要です。

年齢は65歳以上が対象です。

グループホームに入居するには、要支援2か要介護1以上の認定を受けていることが条件となります。

身の回りのことや、共同生活が可能であることが条件ですが、施設によって具体的な基準は異なります。

入居を希望している施設は、可能であれば実際に見学し、担当者から具体的な基準や規則を聞いておくと安心です

3.生活保護受給者がグループホームに入居する方法

①ケアワーカーに相談し許可を得る

生活保護受給中は、現在の住居からグループホームへの入居が必要であると認められた場合に転居が可能になります。

また、グループホームは、入居者の住民票とグループホームの所在地が同一の市区町村にあることが条件になっています。

遠方のグループホームへの入居など住民票の移動が必要な場合、住民票の移管手続き、新住所での生活保護の申請手続きなどがあり、すぐに入居できない可能性があります。

住民票の移動が必要な場合は、グループホームの担当者やケアワーカーに早めに伝えましょう。

②グループホームの入居にかかる費用

グループホームの利用料金は、住宅扶助の範囲内であることが条件になります。

住宅扶助は、住所によって土地の等級が決められています。

土地の等級や住宅扶助の限度額は、厚生労働省が資料にまとめています。(※1)

平成25年11月22日に発表された資料によると、東京の単身世帯は、53,700円です。

この住宅扶助の範囲内の利用料金で、グループホームを探します。

(※1出典:厚生労働省「住宅扶助について」平成25年11月22日)

条件に合う月額利用料金のグループホームを見つけるには、ケースワーカーやケアマネジャーに相談しながら、複数の候補から少しずつ絞って検討することがおすすめです。

グループホームへの入居の際にかかる「入居一時金」や「引っ越し費用」は、条件を満たした場合には、別途支給されます。
「入居一時金」は、賃貸物件の敷金にあたります。

生活保護受給中に引っ越し費用や入居の初期費用が支給される条件は、厚生労働省が18項目を提示しています。(※)

18項目の内、1項目でも該当すると認められる場合は、グループホームへの引っ越しに係る費用が支給されます。

(※厚生労働省「現下の状況における、住宅扶助基準を上回る家賃の住居に居住する要保護者に対する転居に係わる指導の取り扱いについて」令和3年2月26日)

③グループホームの入居には保証人が必要

グループホームが見つかり、入居の契約をする際には保証人が必要です。

保証人は、入居者の体調や認知症の状況によって他の施設への移動が必要になった場合や、入居した本人が亡くなった際に手続きをする人です。

施設によっては、通常の賃貸契約と同様の、連帯保証人の役割も兼ねている場合があります。

保証人がいない場合は、弁護士や社会福祉士に「成年後見人」を依頼し、契約や財産管理を任せることが可能です。



ワンポイントアドバイス
一人でグループホームの入居まで進めるのは非常に大変なので、ケースワーカーや専門家の指示を仰いで確認しながら一つ一つ地道に進めていきましょう!

4.生活保護受給者がグループホームに入る場合の注意点

①認知症高齢者グループホームの注意点

認知症高齢者グループホームに入居するには、医師による認知症の診断書が必要です。

また、入居後に医療依存度が増すなど、認知症の病状に変化が生じた場合は、適切な施設への転居が必要になるため、グループホームは退去することになります。

②入居できないケースがある

グループホームでは、専門的な医療処置が可能な看護師の配置が義務づけられていません。

そのため日常的に医療処置が必要になる症状がある方は、入居が難しいと言えます。

グループホームのスタッフは、薬を飲み忘れないように声掛けをするなどのサポートが中心です。

日常的な食事や入浴などは、基本的に本人が自立して行います。

食事の介助や定期的な医療処置が必要な場合は、特別養護老人ホームや介護サービスのある有料老人ホームを検討する必要があります。

5.まとめ

今回は、生活保護グループホームについてご紹介しました。

生活保護受給中であっても、グループホームに入居することは可能です。

しかし、入居できるグループホームは、生活保護対応型に限られます。


グループホームの利用料金は、住宅扶助の範囲内です。

住民票のある住所で、グループホームを探すことが基本となりますが、住民票を移動して遠方のグループホームを利用することも可能です。

その場合は新しい住所で生活保護の申請から始める必要があるため、すぐに入居できない可能性があります。

希望にあったグループホームを探すには手間と根気が必要です。

リライフネットでは、生活保護受給中の住宅探しをサポートしています。

グループホームや住宅に関するお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。