貯金があると生活保護を申請することが出来ない、受給した後も貯金が出来ないといったイメージがありますが、実際のところはどちらの場合でも貯金をすることが出来ます。

しかしそれぞれに上限金額があり、申請時と受給中とでは別々の取り扱いで貯金の上限金額が決まってきます。

この記事では貯金の上限金額についてと、生活保護受給の条件について解説していきます。

1.生活保護を受給しながら貯金は可能?

受給しながらの貯金は可能です。そして受給中については明確な上限金額は無く、各福祉事務所により取り扱いは異なってきますが、目的が明確で正当性があれば貯金が認められます。

具体的な例としては自立の為の資金・子供の教育の為の資金・葬儀の為の資金は貯金が認められています。

また、家電が故障したときの為の費用なども含めて、およそ10万円ほどならどの世帯であっても貯金を認められることが多いです。

①自立の為の資金

生活保護制度とは、資産や能力等すべてを活用しても生活に困窮する方に対し、最低限度の生活を保障しその自立を助長する制度です。

つまり最終目標は自立することなので、その自立の為に必要な資金であれば貯金が認められます。

例えば、資格取得の為に行くスクールの費用・参考書代・資格の受験料・就職活動に必要な証明書の代金などです。

ケースワーカーに貯金の目的について聞かれたとき、いつまでに・幾ら・何故必要なのか説明できるようにしておくと安心です。

②子供の教育の為の資金

小・中学校、高校、大学の為の学費や教材費、制服費用など、健全な学校生活を送るために必要な資金の貯金は認められています。

大学進学には多額の資金が必要になる為、進学の為の貯金は認められています。

ただし、大学に進学すると20歳未満であっても世帯分離が行われ、生活保護の対象から外されるため、保護対象者が少なくなった分生活保護費も減額されてしまいます。

小学生、中学生、高校生までなら入学準備金というものも支給されるので上手く活用しましょう。

③葬儀の為の資金

生活保護者が行う葬儀、自身の老後のための費用は貯金ができます。

また生活保護受給者自身の葬儀代に関しては、葬儀費用を負担できない状況の場合に葬祭扶助というものが出され、生活保護葬を行えます。

葬祭扶助の申請は必ず葬儀を行う前に管轄の福祉事務所で行いましょう。費用は自治体から直接葬儀会社に支払われます。生活保護葬は通夜や告別式が行われない直葬なため、直葬以外を望まれる方は貯金をしておいた方が良いでしょう。

2.生活保護の貯金に上限はある?

各福祉事務所によって上限は異なり、自治体によっては上限が40万円までと決まっているところもあります。

おおよその目安として、基本生活費・保護基準が月に12万円だとすると、6か月分の72万ぐらいを超えると生活保護の停止・廃止が視野に入ってきますが、必ず停止・廃止されるというわけではありません。

担当のケースワーカーと相談しながら貯金を行うと良いでしょう。

そして貯金は金融機関を通して行い、タンス貯金は行わない方が良いです。

なぜなら生活保護を始めた最初から持っていたお金を申告していないと判断された場合、不正受給に該当する為返還金や徴収金として全額返還し、最悪の場合詐欺罪として訴訟されることもあるからです。不要なリスクを負わない為にも金融機関に預けることをお勧めします。

1年に1回資産申告書を提出しなければならないのですが、その時に数か月間生活できるだけの貯金があるとみなされた場合は生活保護が停止・廃止になることがあります。

しかしその場合は不正受給というわけでは無い為、返還金を支払わなければならないという事はなく、所有が認められる金額になったら直ぐに支給が再開します。

貯金の明確な上限があるわけではないのですが、不安な場合はケースワーカーに確認をとってから行った方が無難でしょう。

3.貯金がある状態で生活保護を申請することは可能か

貯金があっても申請は可能ですが、受給している間の貯金と違いこちらには明確な上限があり、世帯の貯金額が最低生活費を超えている場合は生活保護の受給が出来ません。

最低生活費は住んでいる地域や世帯状況により異なるため、正確な金額は福祉事務所に相談して算出してもらいましょう。

ここでは生活扶助費の算出の仕方について記載いたします。

生活扶助は

  • 地域の等級
  • 第一類基準額(年齢によって分けられる)
  • 第二類基準額(世帯人数によって分けられる)
  • 逓減率

の4つを使い算出されます。

等級は、1級地-1・1級地-2・2級地-1・2級地-2・3級地-1・3級地-2の合計6つの等級に分かれています。

参考データ:級地区分(H30.10.1)(厚生労働省)

逓減率とは、2人世帯の扶助が単純に単身者の2倍とならないように、といった人数が増えれば増えるほど一人当たりの扶助額が低くなるようにするというものです。

ではここでは具体的な例として、20~40歳の単身者で1級地-1に住んでいるという方の計算を見ていきます。

求め方が①・②と2つあり、金額の高くなった方が生活扶助費として採用されます。

単身者は②の方が高くなり、世帯人数が増えると①の方が高くなってきます。

第一類①42,020円・逓減率①1・第二類①45,320円となり、①の生活扶助は合計87,340円となります。

第一類②47,420円・逓減率②1・第二類②28,890円となり、②の生活扶助は合計76,310円となります。

最後に①の金額×0.855と、②を比較し採用する金額を決めます。

①×0.855=74,676円、②の生活扶助76,310円となり、生活扶助は76,310円が採用されます。

参考データ:【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )

「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法」(厚生労働省)

生活扶助はこれに加えて状況に応じて加算手当がつきます。

ここで算出した生活扶助額と、住宅扶助・教育扶助・生業扶助・介護扶助・医療扶助・加算額を足したものが最低生活費になる為、目安として貯金額が生活扶助額くらいならば申請できる可能性が高いといえます。

生活保護を申請すると各種調査に最長一か月かかるため、その調査期間を生活出来るだけの貯金は認められています。

貯金が0円でないと申請が出来ないというわけではありません。

最低生活費は住んでいる地域や世帯状況により異なるため、正確な金額は福祉事務所に相談して算出してもらいましょう!

4.生活保護の受給の条件

親族等からの援助、生活に利用していない土地や家屋は売却、年金などの公的援助を受け、労働で収入を得た場合でも最低生活費に満たない場合に、生活保護を受給できる可能性があります。

その場合は最低生活費から収入が差し引かれた分を保護費として支給されます

資産や収入を得る方法が残されていないのか、入念に確認した後に申請するようにしましょう。

5.まとめ

この記事では申請時に貯金があっても大丈夫なのか、受給中はどのような目的の為の資金なら貯金をしてもいいのか、生活扶助とは何かについてお話ししました。

生活保護の申請や貯金について不安がある方は、リライフネットに相談してみてはいかがでしょうか。リライフネットでは最短で相談面談の翌日から住居の提供をしています。

生活保護に関する知識が豊富なスタッフが丁寧にサポート致しますのでお気軽にご相談ください。