生活保護は病気になってしまい生活に困窮してしまう、という場合でも受給することができる制度です。この記事では、病気で生活保護受給をお考えの方に向けて生活保護の基礎知識や受給条件、申請の流れを解説していきます。

1.病気になってから生活保護を受給することは可能?

生活保護は病気の有無に関わらず、生活に困窮する人であれば誰でも申請することができる国の公的扶助制度です。

生活保護を受給する上で最も重要な条件として、世帯全体の収入が最低生活費より少ないことが挙げられます。

最低生活費とは、国から定められた健康で文化的な生活を営むために必要とされている最低限の費用です。

また、併せて生活保護を受給するためには以下の条件を満たす必要があります。

  • 資産の活用(生活に必要な物以外は売却等を行い、生活費に充てること)
  • 能力の活用(就労ができる場合は行い、収入を得ること)
  • 扶養義務者の扶養の活用(親族などからの援助を受けること)
  • その他あらゆるものの活用(他に活用できる制度などをすべて活用すること)

病気の場合、その他あらゆるものの活用で「障害年金」や「生活福祉資金貸付制度」などを活用できる場合は先に活用する必要があります。

自分の病状で受け取れる公的制度がないか確認しておきましょう。

これらの条件を満たした上で、世帯収入が厚生労働省の定める最低生活費に達しない場合に、生活保護を受給することができます。

2.生活保護で受給できる扶助の内容

生活保護を受給すると8つの扶助を受けることができます。

①生活扶助

食費・被服費・光熱費などの生活に必要な費用を支給してもらえます。

②住宅扶助

家賃や部屋代、住宅の維持費や修繕費、引っ越し費用などを支給してもらえます。

③教育扶助

子どもの義務教育を受けるために必要な学用品費などを支給してもらえます。

④医療扶助

病気や怪我などの治療・手術・薬などの費用を医療機関に直接支払ってもらえます。

⑤介護扶助

介護サービスの利用にかかる費用を介護事業者に直接支払ってもらえます。

⑥出産扶助

病院や助産施設で出産する際の費用を支給してもらえます。

⑦生業扶助

就労に必要な技能を習得するためにかかる費用や、子どもの高校の授業料などを支給してもらえます。

⑧葬祭扶助

お葬式・火葬・埋葬などにかかる費用を支給してもらえます。

これらは「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために行われます。

扶助の基準は厚生労働大臣によって定められており、地域や世帯員数によって異なります。

病気やケガの際に使用する医療扶助

ここからは④医療扶助について詳しく解説します。

医療扶助は困窮により最低限度の生活を維持することが難しい世帯に対して、病気や怪我などの治療のためにかかる費用を扶助してもらえるものです。

医療扶助を受けるには、まず福祉事務所に医療扶助を受けられるかどうか相談を行う必要があります。相談を通して医療にかかる費用や、生活に困っている状況などを総合的に判断して、医療扶助を受けられるかどうかが決定されます。

医療扶助は原則として現物給付となっており、生活保護受給者には「医療券」や「調剤券」といったものや、診療依頼書が福祉事務所から発行されます。これらを医療機関に提出して診療を行います。

診療にかかる費用は福祉事務所から医療機関に直接支払われるため、本人支払額というものを除いて原則自己負担はありません。

診療を受ける病院は、生活保護法による指定を受けた医療機関である必要があります。

注意点もいくつかあり、診療は保険給付の範囲内である必要があります。保険外の診療については認められていません。

また健康保険で療養費払いになっている装具(治療材料)や施術等は、全て事前に申請を行う必要があります。

また国民健康保険は生活保護を受給中は使用できないため、市役所または町村役場で資格喪失の手続きを行う必要があります。社会保険についてはそのまま使用できますが、生活保護では患者負担分についてのみ、医療扶助が適用されます。

どのあたりまでが医療扶助でカバーできるのかも含めて、ケースワーカーにこまめに相談しながら受診しましょう!

3.生活保護を受給するまでの申請の流れ

まずは生活保護の申請をするにあたって、福祉事務所の窓口で生活保護を受けたいということ、困っているということを相談しましょう。そして福祉事務所の窓口で相談時には現在の経済状況や就労の有無などを聞かれます。

相談結果によって生活保護が必要だと判断されると申請書を受け取れるため、その場で記入をして提出します。この際、病気であることの診断書や障害者手帳を持っている場合、持参すると申請がよりスムーズに進みます。

生活保護を申請すると調査員により生活状況や資産状況など、家庭訪問による調査が行われます。銀行口座の通帳や収入証明書などの提出を求められる場合もあるので、調査に協力をしましょう。

家庭訪問による調査と並行して、扶養調査と金融機関への調査も行われます。福祉事務所は役所から住民票や戸籍謄本を取り寄せて親族に対する扶養調査を行ったり、金融機関に対して残高照会を行い、現在の預金や借り入れの残高なども確認されますので、覚えておくとよいでしょう。

これらの調査の内容を踏まえて審査を行い、生活保護受給の可否が判断されます。

4.病気が完治した時、生活保護を解除する方法は?

では、病気が完治し生活保護費を上回る収入が得られるようになった場合はどのように生活保護を廃止するのでしょうか?

生活保護を辞めたい場合、辞退届を福祉事務所に提出することで廃止が可能です。

生活保護では本人の意思が最優先となる為、提出時が無収入であっても辞めることができます。

しかし、辞める日によっては生活保護費の返還を求められる場合があるので注意が必要です。

生活保護費は、基本的にどの自治体においても月初(1日~5日)に1ヶ月分が支給されます。

その為、4月1日に生活保護を辞退する場合、4月分の生活保護費を全額返還する必要があります。

月の途中で辞退する場合にも、生活保護は日割り単位で支給されている為、日割計算をした金額の返還が求められます。

生活保護を月末あたりに辞退する場合は、返還金額が少額になります。また、ケースワーカーによっては返還不要の手続きを行ってくれる場合があります。

生活保護の廃止に伴って手続きが必要となる場合があります。

生活保護受給中は医療費が免除となっていましたが、生活保護を廃止したあとは再度健康保険に加入しなければなりません。就職をしない場合には国民健康保険への加入が必要となります。

減免されていた住民税や固定資産税なども解除され、納税の義務が発生します。

廃止ではなく生活保護の「停止」という状態もあります。停止とは、何らかの事情で一時的に生活保護の支給を停止することです。生活保護受給中の方がフルタイムで就労を開始した場合は、いきなり保護を廃止するのではなく、安定して就労を続けられそうか保護を停止にして経過をみて判断していくこともあります。支給を停止することにより、問題なく自立した生活が送れるかどうか様子見を行うことができます。

5.まとめ

思いがけない病気や事故などで生活が成り立たなくなることがあります。このような状況で最低限度の生活を保障し、自立を支援するために、生活保護を申請することができます。

この記事では生活保護を受けることで受け取れる扶助や生活保護の申請の流れについて紹介しました。ぜひ参考にしてください。

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