なぜ賃貸には入居審査があるのか

賃貸契約は貸主(大家さん)が所有するアパートなどを貸し出す契約であり、入居者は毎月家賃を納めてアパートを借り、そこで生活します。

賃貸物件や近隣では様々な人が生活しており、入居者同士や近隣十分とのトラブルが生じないよう注意しなければなりません。またきちんと家賃を納めてもらえるかなどの点も重視されるため、多くの場合契約前には入居審査が行われます。

入居審査では貸主が安心して貸し出すことができるよう、上記の2点を詳しく審査します。借主に対しては、賃貸で騒ぐことでトラブルの種にならないかという観点から、迷惑をかけない常識ある行動ができるかを見極めます。

家賃の納付については、毎月安定した収入があるかという点に加え、万が一家賃の滞納があった際に保証人などが代わって負担してくれるという点がチェックされます。

入居審査は貸主が自ら行う場合だけでなく、管理を委託された管理会社が代行することもあるようです。

生活保護を受給中に賃貸物件は借りれる?

生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための制度であり、その中には当然住環境の整備も含まれています。そのため生活保護を受給している人も、賃貸物件を借りることが可能です。

賃貸の家賃は住宅扶助という形で支給されますが、賃貸契約は当事者同士の同意が前提となるため、賃貸の借り上げが制度上認められるということとは別の話になります。

生活保護制度の概要

生活保護は、日本国憲法第二十五条で保障される生存権を確保するための手段です。また日本における社会保障制度の根幹をなすとともに、最後のセーフティネットとも言われる極めて重要な役割を担っています。

保護の支給は国が定める最低生活費に満たない場合、不足分を金銭給付または現物給付するという方法をとっています。生活の実態にあわせ生活扶助をはじめとした8種類の扶助があり、賃貸の家賃に対する扶助である住宅扶助も含まれています。

なぜ生活保護受給者は断られやすいのか

残念なことに生活保護を受けている人に対する偏見があるのは事実で、その偏見を貸主が持っている場合も少なくありません。

偏見の内容としては「周辺住民とのトラブルを起こしやすい」「生活環境がよくないため部屋を汚してしまう」というものが考えられますが、これは生活保護の受給云々に関係のない話です。

実際に入居を断る理由としては、家賃滞納をはじめとした金銭トラブルを懸念しているというものがあります。家賃自体は生活保護の扶助額に含まれていますが、ごく一部の例外を除き複数の扶助をまとめて支給します。

特に生活保護を受けている人がギャンブル依存症やアルコール依存症患者の場合、もらった保護費を家賃に充てる前パチンコや酒に費やしてしまう事例もあります。「家賃の取りっぱぐれ」という点において、貸主にとっては大きな不安材料となります。

また不動産会社が生活保護受給者の入居を断る場合もあり、通常の入居者より役所などとのやりとりが増えるというのがその理由です。

生活保護受給者が賃貸入居するまでの流れ

生活保護を受けている人は、生活保護法第六十一条で「被保護者は、…居住地…に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関…にその旨を届け出なければならない」と届出・報告が義務付けられています。

また賃貸入居は住宅扶助支給の決定・変更も伴うため、必ず事前にケースワーカーへの相談・報告をしなければなりません。実際にはケースワーカーに相談しながら、並行して不動産会社とのやり取りを進めるという形が一般的です。

賃貸の入居申込みをする前に、その旨をケースワーカーに相談します。スムーズな契約・入居をするためには、必ずケースワーカーからの許可を得てから行動するようにしましょう。

その後不動産会社で物件を探し、住環境や家賃など具体的な条件を確認します。希望の物件を見つけた場合は、不動産会社とケースワーカーの両方に、その意向を伝えます。その際月々の家賃に加え、敷金をはじめとして初期費用の額も必ず伝えましょう。

福祉事務所内で簡単な審査を経た後、ケースワーカーから口頭で賃貸入居のゴーサインが出ます。それを受けて再度不動産会社に連絡し、入居の審査を受けましょう。審査をパスした後、具体的な契約の手続きに入ります。

手続きの最中もケースワーカーとこまめな連絡を取り、併せて扶助費の支給日を不動産会社に伝えながら契約日を設定します。契約時に生活保護の受給証明書を提出しなければならない場合もあるため、生活保護の受給証明書の発行にどのくらいかかるかを、あらかじめケースワーカーに確認しておきましょう。

家賃扶助はどこまでサポートしてくれるのか

住まいに関する扶助の根拠として生活保護法第十四条があり、条文で「住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して…行われる」と定められています。そのひとつが賃貸の家賃に対する扶助で、金銭扶助という形で支給されます。

賃貸暮らしの場合は家賃に加え、管理費や町内会費などが毎月かかることもありますが、これらの経費は住宅扶助の対象外です。このほか敷金をはじめ、入居契約時にかかる費用は一時扶助として支給されます。

家賃を補助する住宅扶助は居住地や世帯員数によって基準額が異なり、東京23区内における2022年度の上限は、3人世帯で69,800円となります。

生活保護を受給するなら絶対に引っ越さないといけない?

生活保護を受けている人でも、住環境が整っていない場合や引っ越しをしなければならない場合など、新たに賃貸を借りることは可能です。しかし家賃を支給する住宅扶助には上限があり、基準を上回る分は生活費から捻出しなければなりません。

生活保護の制度には、最低生活の保障に加え、自立促進というもうひとつの大きな目的があります。自立の観点からすれば生活費を圧迫する状態は好ましいと言えず、場合によってはケースワーカーから転居指導を受けることもあります。

引っ越しを指導される具体的な基準はありませんが、少なくとも家賃が住宅扶助の基準を大幅に上回る場合は遅かれ早かれ引っ越しをしなければならない、と考えておくべきでしょう。

引っ越しが必要なら生活保護に強い不動産会社に相談を

賃貸物件を探す場合は、年齢や職業に関わらず入居審査が行われるのが一般的です。中には生活保護を受けている人に対する偏見にもとづく条件もありますが、基準に収まる家賃の物件を探しにくい・家賃滞納のおそれがあるといった現実的な理由もあります。

家賃の支払いに関する条件は目に見える対応が可能ですが、生活保護を受けている人に対する偏見を払拭するのは困難です。

信頼を得るためには、家賃をきちんと払う・部屋を汚さない・周囲に迷惑をかけないなど当たり前のことが求められます。しかし入居審査を受けるときに、借主の性格や行動を100%理解してもらうのは不可能です。

リライフネットを利用すれば、賃貸を借りる際の入居審査をスムーズにクリアすることができます。リライフネットは生活困窮者を対象にした様々なサービスを提供しており、中でも賃貸を最短で相談翌日から提供できる、という点は大きな強みです。

連帯保証人や緊急連絡先として支援する連帯保証人免除システムも取り入れており、入居審査のハードルを低くすることも可能です。

もちろん生活保護を受けている人が入居できる物件も豊富に取り扱っているため、リライフネットは生活保護を受けながら住まいを探す人の強い味方になってくれるでしょう。