生活保護受給者のなかには、結婚をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、生活保護受給者が結婚するためには疑問に思うことも多くあります。

「生活保護受給者が結婚することはできるのか」

「生活保護受給者同士が結婚する場合はどうなるのか」

「結婚をしたら生活保護が打ち切られないか心配」

など、生活保護と結婚に関する悩みを持っている方もいるはずです。

この記事では、

  • 生活保護受給者は結婚できるのか
  • 生活保護受給者が黙って結婚したらどうなるか
  • お互いが生活保護受給者の場合はどうなるのか

を解説していきます。

1.生活保護の受給者は結婚できる?

生活保護を受けている人が結婚はできるのか、気になる方も多いです。ここでは結婚ができるのか、制約などはあるのかを解説していきます。

①生活保護受給者でも結婚はできる

生活保護受給者が結婚できるのかという疑問が生まれますが、結論としては「基本的に結婚できる」が正解です。

結婚や恋愛はあくまで当事者の自由であり、生活保護によって禁止したり、制限されるようなことはありません。また、結婚後も受給要件を満たしていれば引き続き、受給し続けることも可能となります。

ただ、生活保護は世帯の対して支給される特徴を持っていることから、世帯の人数が変わることで支給額に変化が生じたり、場合によっては生活保護の受給対象から外されてしまうこともあるので結婚する際には注意する必要があります。

②結婚に関連する行動に規制がでることも

生活保護受給者が結婚をすること自体は問題ありません。しかし、結婚に向けた行動が自立するための弊害になってしまったり、自立しようとしていないと判断された場合は、指導やペナルティを受けてしまうことも考えられます。

例えば

  • 高額な結婚指輪を購入する
  • 新婚旅行に行く
  • 就職活動をせずに、婚活ばかりしている

などの場合は、自立する意思がないと判断される可能性が高いです。そうなってしまうと、結婚ができる、できないの問題ではなく、生活保護受給の問題として指導されることがあります。

生活保護を受け取る以上は、生活の自立を最優先事項として考えなければなりません。まずは、生活の自立を阻害しない範囲で、結婚相手探しや恋愛をする必要がある点を覚えておきましょう。

2.生活保護受給者が結婚を希望する場合はケースワーカーに相談しよう

生活保護受給者が結婚するのは個人の自由のため、可能です。しかし、「生活相談員」や「家庭相談員」といわれるケースワーカーに相談が必要なケースもあります。相談が必要なケースは大きく分けると以下の通りです。

  • 結婚相手が外国人の場合
  • どちらか一方が障害年金を受給している場合
  • 障害者同士が結婚する場合
  • 妊娠した場合

それぞれ解説していきます。

①結婚相手が外国人の場合

「結婚相手が外国人」というケースでは、複雑になってしまうケースが多いので注意が必要です。2人世帯で生活保護を受給する場合、原則として在留資格があれば受給可能になります。

複雑になる場合が多いので、ケースワーカーへ相談すべき代表的なケースといえるでしょう。

②どちらか一方が障害年金を受給している場合

「どちらか一方が障害年金を受給している」ケースでは、障害年金との関係で、結婚後の生活保護が複雑になる場合があります。そのためケースワーカーへ相談すべきケースです。

一方が障害年金を、もう一方が生活保護を受給している場合、障害年金が優先されることになります。そのため、はじめに障害年金が支給されたのち、不足分を生活保護で補う形が一般的です。

結婚後は状況などによって、生活保護費が変わることが予想されます。トラブルを回避するためには結婚してから相談するのではなく、結婚する前にケースワーカーへ相談することが重要です。

③障害者同士が結婚する場合

「障害者同士が結婚する」ケースは、お互いが生活保護と障害年金の双方を受給しているケースが多いです。②のケースと同じように、結婚しても障害年金の額に変わりはないですが、同じ世帯となるため、生活保護費が減額するケースが多いです。

障害の内容によっては2人で生活していくことが困難になる場合も考えられますので、必ずケースワーカーに相談したうえで、結婚の判断をするようにしましょう。

④妊娠した場合

妊娠をしてから結婚する場合は、妊娠をしていないで結婚する場合と同じように、配偶者の状況によって「生活保護の辞退」や「配偶者とともに生活保護の申請」のどちらかが必要になります。シングルマザーとして子育てを行う場合は生活保護が継続になりますが、父親の状況などを報告する必要があるということを覚えておきましょう。

また、結婚の有無に関係なく、妊娠した場合は、地域などによって加算されるお金が異なってくるので、ケースワーカーに相談することをおすすめします。

3.もし生活保護受給者が黙って結婚したらどうなる?

結婚したことをケースワーカーに黙っていた場合、不正受給をしていたと判断され、保護費の返還請求を受ける場合があります。

生活保護費は世帯へ支給されることになるため、結婚をすると生活保護費が減額されるケースがほとんどです。そのため、ケースワーカーへ報告をしていないと「保護費の減額を懸念して報告していなかった」と判断されてしまうことがあります。

ケースワーカーは定期的な家庭訪問はもちろんのこと、戸籍確認なども行うため、黙って結婚したとしても必ずバレます。結婚自体は本来喜ばしいことではありますが、あとになってトラブルにならないように、事前に報告して相談に乗ってもらうようにしましょう。

4.生活保護受給者同士が結婚する場合は?

生活保護受給者同士が結婚する場合、生活保護費はどうなるのでしょうか。そのような場合は受給の見直しが行われることが一般的です。

ここでは、お互いが生活保護受給者のような場合に、生活保護はどうなるのかを解説していきます。

①生活保護受給者同士が結婚した場合の生活保護

結論からいうと「生活保護は継続される可能性が高い。しかし、支給額が低くなる可能性はある」ということが一般的です。

生活保護受給者の双方が結婚して、一緒に暮らしていくとなった場合、暮らす際に必要な家賃などは一本化され、水道光熱費などの費用も一人当たりの費用としては減ることになります。そのため、一人で暮らしていた時よりも、月々にかかる生活費で一人が負担する総額も減ってくることが一般的です。

そのため、生活費の減額に伴って、生活保護費の支給額も減額されることになります。もちろん、2人の生活保護費を合算した金額が、最低生活費を下回っていたらそのままの額で継続となるでしょう。

生活保護費が個人に対して支給されるものではなく、世帯に対して支給されるものであるということが前提となっています。世帯として生活保護の受給要件を満たしているかが大きなポイントになることを覚えておくことが大切です。

②結婚が自立につながるかが重要

生活保護を受給している方は、お金の問題だけでなく、健康問題や介護・育児の問題、人間関係の問題など、さまざまな問題を抱えている場合がほとんどです。さまざまな問題に向き合わずに、自身の結婚のことを優先的に考えていると判断されると、ケースワーカーや周囲の印象も悪くなります。

しかし、お互いに生活保護を受けている2人が結婚して夫婦となった場合、協力し合うことで育児や介護といったさまざまな問題に向き合うことができます。さまざまな問題に向き合うことが精神の自立に繋がるというケースもあるので、双方が生活保護受給者だったとしても結婚がお互いのプラスになる場合もあるということを覚えておきましょう。

5.まとめ

この記事では、生活保護受給者の結婚について解説しました。

生活保護を受けているからといって結婚できないというわけではありません。しかし、状況などによって生活保護費が減ってしまうことも考えられます。

あとになってトラブルにならないためにも結婚をする前にケースワーカーへ相談することがおすすめです。

生活保護を受給している身だからといって結婚を諦めるのではなく、自身の置かれた環境においてより良い選択ができるよう慎重に行動していきましょう。

もし家族が増える事に対して不安なことや2人で住める家に引っ越したい、何の申請が必要なのかわからないなどの相談がありましたら、リライフネットで親身にサポートさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。