ホームレスの人は生活保護を受けられないといった認識の方も居るようですが、生活保護の申請は国民の権利であり住民票が無くても申請出来ます。

ここでは生活保護など様々な支援について解説いたします。

1.現在の日本のホームレスの現状

2023年1月の厚生労働省の調査によると全国でホームレスの数は3,065人で、そのうち男性は2,788人・女性は167人・不明は110人であり、前年度と比べて383人減っています。

しかし不安定な生活をしている人の中には、ネットカフェや格安の宿泊所で寝泊りをして過ごしている方もおり、そうした隠れたホームレスの方を数えると支援が必要な人はさらに多くいるのではないかと思われます。

参考:ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果

2.国によるホームレスの方への支援の種類

①生活保護の種類

生活保護には8つ、生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助という扶助があり、その中でも生活扶助と住宅扶助が主にホームレスの方にかかわってくる扶助になります。

生活保護の他に生活困窮者自立支援制度というものがあるのですが、生活保護の対象者は保護を必要とする状態にある者、生活困窮者自立支援制度の対象者は最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者といった違いがあります。

ここでは生活困窮者自立支援制度と生活保護における住宅扶助について、それぞれご紹介します。

②生活困窮者自立支援制度

2015年に施行された制度で、生活保護に至る前の第2のセーフティネットとして制度化されました。

一人ひとりの状況に合わせた支援プランを作成するなど包括的な支援を行っていくもので、自立相談支援事業所が相談窓口になっており全国に設置されています。

そして生活困窮者自立支援制度では次のような支援を行っており、その中でも自立相談支援事業住居確保給付金の支給は、必須事業と呼ばれ全国の自治体で取り組まれております。

その他の事業(家計改善支援事業、一時生活支援事業、就労準備支援事業、就労訓練事業、生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業)は任意事業と呼ばれ、各自治体により運営に差があります。

1-自立相談支援事業

就職や住まい、家計管理など生活の困りごとや不安を相談して、具体的な自分だけの支援プランを作成する事業です。どのような支援が必要なのか支援員が一緒に考え、寄り添いながら自立に向けて支援していきます。

2-住居確保給付金の支給

上記は一定の資産収入等に関する要件を満たしている方を対象にして行われます。

離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方には就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間家賃相当額を支給します。

3-家計改善支援事業

こちらも一定の資産収入等に関する要件を満たしている方を対象にして行われます。

家計改善支援事業は家計状況の根本的な課題を把握し、相談者が自ら家計を管理できるように支援計画の作成・相談支援・関係機関へのつなぎ・貸付のあっせん等を行い、早期の生活再生を支援します。

4-一時生活支援事業

こちらもやはり一定の資産収入等に関する要件を満たしている方を対象にして行われます。

一時生活支援事業では、住居をもたない方や不安定な住居形態にある方に、一定期間宿泊場所や衣食を提供し、退所後の生活に向けての就労支援など自立支援も行います。

5-就労準備支援事業

社会との関わりに不安があるなどの理由で直ぐに就労することは難しいという方に、6か月から1年を上限にして一般就労に向けた基礎能力を養いながら、就労に向けた支援や就労機会の提供を行います。

6-就労訓練事業

就労準備支援事業による支援だけでは不十分と見込まれる方には、中・長期的にその方に合った作業機会を提供し、個別の就労支援プログラムに基づき一般就労に向けた支援をする就労訓練事業(または中間的就労)です。

7-生活困窮世帯の子どもの学習、生活支援事業

子どもの学習支援・日常的な生活習慣・仲間と出会い活動ができるような居場所づくり・進学に関する支援・高校進学者の中退防止に関する支援等、子どもと保護者の双方に対して必要な支援を行っていきます。

生活保護の受給に抵抗のある方や就労中である程度の収入がある方などは他の制度が活用出来るかどうか、まずは最寄りの福祉事務所の窓口で相談しましょう!

3.ホームレスの方の住居確保を行う生活保護制度(住宅扶助)

住宅扶助は困窮のために最低限度の生活を維持できない者に対して、家賃・間代・地代・補修費等住宅維持費を給付するもので、生活保護の扶助の中の一つです。

住宅扶助の対象になるものは次の8つです。

・家賃

・敷金

・礼金

・契約更新料

・住宅維持費

・仲介手数料

・引っ越し費用

・火災保険料

次の3つは補助の対象にはならず、生活扶助から自己負担で支払う必要があります。管理費や共益費とは廊下やエントランスの電気代や掃除費用など、共同で使用する部分を維持管理するための費用のことです。

・管理費

・共益費

・水道光熱費

では、住宅扶助を受けて部屋を借りるにはどのような手続きを行えばいいのかというと、先ずは住宅扶助の許可を受け、次に不動産会社で見積りを出してもらいます。

その後ケースワーカーに報告して、入居審査を受け、賃貸契約へといたります。

このように多くの手順を踏む必要があり、さらに物件内覧・契約・入居まで全てを事前にケースワーカーと相談をしながら行わなくてはいけません。場合によっては1カ月以上時間がかかることもある為、契約できる物件を探すのはなかなか難しいです。

保証人がつけられないとさらに契約が難しくなってしまうので、生活保護受給者が加入できる保証会社を探しましょう。

また、通常ホームレス状態の方が生活保護申請を行う場合は、まずは無料低額宿泊所等へ入居することが通常の流れとなる為、アパート等へ生活を始められるのは、相当先になる可能性もあります。

参考:住宅扶助について

4.ホームレスの方が受けられる支援の申請方法や必要な書類

生活保護の申請は福祉事務所で行います。

通常は住民票に登録されている地域を管轄している自治体で申請をしますが、住民票がなくても、住民票がある自治体と違う場所で生活していたとしても、現在生活している市町村で生活保護を申請することができます。

特別な事情がある場合は口頭でも申請ができますが、通常は次の3つの書類を提出することによって申請を行います。

・生活保護申請書

・資産申告書

・収入・無収入申告書

そしてアパート等へ入居するための初期費用が必要な方は、追加で一時金申請書という書類が必要なため、合計4つの書類を提出することになります。

必ず要るというわけではないですが、あるとスムーズに申請を行うことが出来るものが5つあります。

・通帳

・印鑑

・運転免許証、健康保険証などの本人確認書類

・給与明細、年金証書などの収入がわかるもの

・賃貸借契約書(こちらは賃貸アパートなどにお住まいの場合のみです)

ホームレスの状態で申請を行うと多くの場合は一時的な待機場所、無料低額宿泊所と呼ばれる施設などで待機をした後にアパートに入居するという流れになります。

しかし施設への入所は強制ではない為、入所しないと生活保護が受けられないといったことはありません。

無料低額宿泊所は滞在期間が原則として神奈川県では1年以内(更新可)とされている施設で、多くの場合複数人で一部屋を利用し、掃除当番・アルコール禁止・門限といったルールがある中で生活していきます。

5.まとめ

住居支援には生活保護の住宅扶助、生活困窮者自立支援制度、無料低額宿泊所などがあることをお伝えいたしました。

支援には様々な情報がありどれを選べばいいのかと不安があるかと思います。

リライフネットでは無料相談・申請が出来、さらに最短で相談翌日から住居の提供をしています。

また、いわゆる施設を経由せずに直接アパートへ入居することをサポートしてくれます。

生活保護に関する知識が豊富なスタッフが丁寧に寄り添いながらサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。