ネットカフェ難民となって生活する人や、鍵のかかる個室タイプのネットルームを利用する女性にとって、住居の確保と生活の安定はもっとも優先される問題です。

生活保護は、住所不定の状態でも受給できるのでしょうか?

今回は、ネットカフェ難民の状態で生活保護を受給する方法とサポートについてご紹介します。

1.ネットカフェ難民でも生活保護は申請できる

住居がなく、ネットカフェで寝泊りしていても、生活保護の申請は可能です

生活保護法の第二条には、次のように定められています。

「第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

引用:(e-GOV「生活保護法 第二条(無差別平等)参照:2024.03.07)」

生活保護法に定められた通り、生活保護の条件を満たしていれば、日本の国民は誰でも生活保護を受給できます。

また、生活保護の申請に関しては、申請権があるため住所を持たない状態(住所不定)で、ネットカフェで生活していても、「生活保護を受給したい」と相談窓口で意思表示すれば、保護申請書が交付されます。※1

※1参考文献:荘村明彦『生活保護手帳2023年度版』(中央法規出版、2023.10.30)p.407

2.生活保護の条件とは?

生活保護の条件は以下の4つです。

①現金や資産がない

現金や預貯金、売却が可能な資産など、生活費として活用できるものが何もないことが、生活保護受給の条件です。

そのため、貯金を使ってネットカフェで暮らしている場合、貯金の金額によっては生活保護以外の制度を利用する必要があります

生活保護の申請時に、所有していることが可能な預貯金や現金の目安は最低生活費です。

最低生活費とは、厚生労働省(厚生労働大臣)の定める基準で計算された、1ヵ月分の生活費です。

最低生活費は、世帯の人員構成と居住する住所に定められた「級地」で計算されます。

東京都23区内の単身世帯の場合は、年齢によっても異なりますが、概ね約13万円が最低生活費のため、預貯金の目安も13万円程度となります。
最低生活費以上の貯金があっても申請自体は可能ですが、生活保護が開始される可能性は低くなります。※2

※2参考文献:荘村明彦『生活保護手帳2023年度版』(中央法規出版、2023.10.30)p.408

②生活保護制度以外の制度が利用できない

生活保護以外に利用できる制度が何もないことが条件です。

生活保護制度は、最後に頼るべき制度のため、その他の支援制度が利用可能な場合は、生活保護以外の制度の利用が優先されます。

生活保護以外の支援制度として「生活困窮者自立支援制度」が挙げられます。※3

生活困窮者自立支援制度は、収入や資産が条件を満たしている場合、以下のような支援が受けられます。

・自立相談支援事業

専門の担当者による自立支援のプランが作成されます。

・住居確保給付金の支給

住居の確保に必要な家賃相当額が支給されます。


・就労準備支援事業家計改善支援事業

就労するための支援があります。


・就労訓練事業生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業

子どもの学習や進学に必要な支援を受けられます。


・一時生活支援事業

今現在、住居がない方には住居や衣服、食事の支援と就労へのサポートがあります。

「一時生活支援事業」はネットカフェ難民となっている人やホームレスの人を支援することを目的としています。事実上の住まいがネットカフェであれば、住民票がなくても、ネットカフェがある市区町村の窓口で相談することになります。
利用しているネットカフェの、最寄りの自治体窓口に相談しましょう。※4

③就労できない理由がある

病気やケガ、事故の後遺症など、就労できない具体的な理由がある場合が条件です。

④頼れる扶養義務者がいない

支援が可能な扶養義務者がいないことが、生活保護の申請条件です。
扶養義務者とは、生活保護を申請する本人の3親等以内の親族です。

具体的には、本人の祖父母、父母、子ども、兄弟、姉妹、伯父や甥などです。

※3出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」参照:2024.03.07

※4出典:WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)「生活困窮者自立支援関連情報」参照:2024.03.07

3.生活保護申請後の流れ

申請後は、生活保護の条件に該当するかどうかの調査が福祉事務所によって開始されます。

①訪問調査

調査員が、面談内容と実情が一致しているか、実際の生活状況を確認します。

②資力調査

預貯金や資産の有無を調査します。

③扶養照会

仕送りや扶養が可能な扶養義務者がいないか調査します。

虐待やDVで自宅を逃げ出したなど、命に関わる理由がある場合は、必ず相談時に伝えましょう。扶養義務者への問い合わせを避けられる場合があります。※5

④決定通知書の送付

調査が完了すると、決定通知書が送付されます。
決定通知書は、原則申請から14日以内、延長の場合が30日以内とされています。※6

しかし、開始決定は新しい住居への入居が確定してからとなっているため、生活保護の申請と同時に住居の確保が課題となります。

アパートなど住居の確保までに、一時的に利用した簡易宿泊所がある場合は、その宿泊料が基準の範囲内で支給されます。※7

⑤申請から生活保護の支給日まで

生活保護の申請後、生活保護費が実際に支給されるまでの期間に必要な生活費がない場合は、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」を利用します。

臨時特例つなぎ資金貸付制度

臨時特例つなぎ資金貸付制度は生活保護の申請後、生活保護費が支給される日までの生活費を貸し付ける制度です。

無利子で10万円以内を上限として貸付が可能で、連帯保証人も不要です。

利用するには、生活保護制度申請時に同時に申し込みます。※8

※5出典:半田市「生活保護を申請したことを、家族に知られたくないときは」参照:2024.03.07

※6出典:厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A(Q3)」参照:2024.03.08

※7出典:厚生労働省「事務連絡 令和2年4月27日本年の大型連休における、生活困窮者支援等に関する協力依頼について」p.17参照:2024.03.08

※8出典:厚生労働省「臨時特例つなぎ資金貸付制度」参照:2024.03.08

4.生活保護の受給には住所が必要

生活保護の申請は住所不定でもできるのですが、実際に生活保護の受給を開始するには住所が必要となります。

住居の確保が、生活保護の申請よりもハードルが高いと感じている人も多いのではないでしょうか。

生活保護の申請で住居の確保が優先される時は、都道府県が指定している居住支援法人のサポートを利用することをおすすめします

安心できる法人に依頼して住居を確保し、生活保護を受給しましょう。

5.リライフネットが住居の確保をサポート

リライフネットは、東京都が指定する居住支援法人「株式会社ホッとスペース東京」との共同運営となっており、行政、NPO、不動産事業者等と連携して総合的なサポートを行っています。

居住支援法人とは、2017年10月25日に施行された「改正住宅セーフティネット法」に基づき、都道府県が住居支援のために指定した法人です。※9

リライフネットは、関東圏の一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を対象に、生活保護申請のサポートと迅速な住宅支援を行っています。

ご相談は無料です。
今すぐ必要な生活支援、生活保護の申請や住居の確保、自立への計画立案などをサポートいたします。ぜひご相談ください。

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※9出典:東京都「居住支援法人一覧」p.20 参照:2024.03.08