今回は生活保護は高齢者でも受給できるのか?そのお悩みについてお答えしていきたいと思います。

1.高齢者でも生活保護を受けられる?

「自分は高齢だから生活保護を受けられるかな?」と思ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?

生活保護はその性質上、誰でも無条件で受けられるという訳ではありませんが、高齢の方でも受給は可能です。

生活保護の受給には様々な条件があり、それらの条件を満たした上で、はじめて受給することができます。
ざっくりと言うと、あらゆる手段を取っても世帯収入が最低生活費に満たない場合に、ようやく生活保護を受給することが出来ます。最低生活費は、世帯収入と厚生労働省の定める基準によって計算されています。

「自分がその条件を満たしているか分からない」と、1人で悩まなくても大丈夫です。
お住まいの地域を管轄している、福祉事務所の生活保護担当部門にて相談出来ます(福祉事務所が設置されていない自治体にお住まいの方の場合は町村役場)

生活保護の申請に当たっては事前に相談することが大切です。生活保護についての説明以外にも、何か他の制度を活用して対応することができないか、などのアドバイスを受けることもできます。

それではより詳しく、生活保護を受け取れる条件を見ていきましょう。

2.生活保護を受け取れる条件

①世帯収入が基準額に満たないこと

まず生活保護を受給するに当たって前提条件となるのが、世帯収入です。生活保護はご本人だけではなく、一緒に住んでいる家族全員に支給されます。
そのため生活保護を受給できるのは、世帯全体の収入を合わせても最低生活費に達しない場合のみです。

この最低生活費に関する基準はお住まいの地域や世帯人数によっても異なり、それぞれの地域に「級地」という生活保護制度における「生活保護基準」が定められています。
これはそれぞれの地域によって物価や地価などが異なるためです。このため生活保護費も地域によって差が生じます。
この「生活保護基準」と世帯収入を比べて最低生活費を下回っている場合、生活保護を申請することができるのです。

ただし注意していただきたいのが、仕事によって得た給与以外にも収入に含まれるものがあることです。
年金や保険金、相続なども収入に含まれます。また、申請時に収入以外にも貯蓄額や資産の有無、不動産の所有状況などの確認もあります。
受給資格の有無を個人で判断するのは困難ですので、1人で悩まずにお住まいの市区町村の生活保護担当部門に相談しましょう。

②資産を活用すること

生活保護の受給は生活に困窮している人のための言わば最後の砦です。高齢者であっても換金できる資産など、利用し得るものを所有している場合は売却するなどして、生活費に充てることが優先されます。
資産に当てはまるものは、現に有している預貯金のほか土地家屋などの不動産・生命保険・自動車などの売却することでまとまったお金になり得るとされる売却可能資産です。

ただし例外的に所有が認められるものもあります。例えば、売却価値がなかったり売却すると生活に支障をきたす場合は、持ち家や土地の所有が認められることもあるようです。
自家用車やバイクも公共交通機関が近くになかったり、公共交通機関の利用費が高額になってしまう場合や、そもそも病気や障害などで利用が困難な場合は所有が認められることもあります。
これらもやはり1人で悩まず、お住まいの市区町村の生活保護担当部門に相談するとよいでしょう。

③能力を活用すること

健康で働くことが可能な場合、シルバー人材センターや高齢者でも働ける事業を活用して、能力に応じた収入を得ることが前提となっています。
もしも病気や怪我などで働くことが困難な場合や、ご自身が元気でも家族の介護などで働くことが難しい場合など、自力で働いて収入を得ることが難しい場合は生活保護の受給が認められることがあります。

病気や怪我が良くなり身体的に働くことができるようになった場合でも、働いて収入を得ない限りはすぐに生活保護が打ち切りになることはありません。

担当ケースワーカーや就労支援員とコミュニケーションをとりながら生活再建を進めていきましょう。

④扶養義務者からの扶養を活用すること

高齢者の方が生活保護を利用するときは、家族や親戚からできる限りの援助を受けることが求められます。
民法によって扶養義務者は、申請者ご本人からみて三親等までと定められています。高齢者の場合、ご両親は存命ではない場合も多いと思いますので、現実的にはお子様や兄弟姉妹に援助を求めることが一般的になるでしょう。
そこから足りない部分を生活保護で補うことになります。扶養拒否などにより生活を援助してくれる親族がいない場合でも、生活保護を申請することは可能です。

⑤あらゆるものを活用すること

受給できる年金や手当など、生活保護制度以外にも他の法律や制度で給付を受けられる場合は、それらを優先して受給して活用することが求められます。
高齢者の場合は生活福祉資金貸付など、年金以外にも活用できる制度があります。
年金やその他の制度を活用しても最低生活費に満たない場合に限り、足りない生活費を生活保護で補うことが可能です。

3.生活保護を受け取っている高齢者はどれくらいいるのか

生活保護の受給者は、4割から5割以上が高齢者世帯とされています。
高齢者世帯の受給者数は20年ほど前から年々増加傾向にあるようです。これには高齢者数自体の増加により、母数が増えたことが原因と考えられています。

 生活保護には負のイメージが強く持たれているせいもあってか受給に抵抗のある方も多いですが、高齢者世帯の受給自体は決して珍しいことでもないのが実状です。 

4.高齢者で生活保護を受け取るメリットとデメリット

①メリット

1-最低限の生活の保証

生活保護を受給することによる最大のメリットとしては、やはり「必要最低限の生活が保障される」ということが大きいでしょう。
生活保護を受給することにより明日の食費すら賄えるか分からない、といった不安から解放されることは安心に繋がります。
また最低生活費は決して多い金額ではないものの、衣食住の確保が保障された上で、医療扶助、介護扶助によって医療費や介護費が無料になるという点も高齢者の方々にとって、とても大きなメリットになるでしょう。

2-税金などの支払いの免除

生活保護を受給すると医療費や介護費が無料になる以外にも、税金などの支払いが免除される可能性があるという点も大きなメリットとなります。
住民税や所得税、固定資産税といったものから、水道料金の基本料や交通費などに対してまで扶助を受けられるのはありがたいところです。
注意する点としては、水道料金や交通費に関しては自治体によって対応が異なる事です。

また上記以外にも支払いが免除されるものもあります。
なかには申請することで免税の対象となるものもありますので、事前にしっかり確認することと、必要に応じて申請を行うことを忘れないように注意しましょう。

②デメリット

1-連絡が親族に行く場合がある

生活保護の受給はメリットばかりというわけではなく、いくつかデメリットもあります。
生活保護を申請するにあたって家族や親族に連絡が行き、生活に困窮していることが悟られてしまうというデメリットがあります。
これは扶養義務者から出来る限りの援助を受けることが前提となっていて、三親等以内に扶養または援助が可能かどうか照会が行われるためです。

2-支出の報告をする必要がある

生活保護受給中は定期的に担当者から家庭訪問が行われます。
その際に収入や支出、求職活動についてなどを報告する必要があります。もちろん、投資のような大きな買い物ではない、日常生活で許容できる範囲の支出であれば特に何か言われるということはありません。
しかし常に収支を管理されているという感覚から監視されているかのように思えて、負担に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

3-居住地や所有物の制限がある

生活保護を受ける場合には、利用し得る資産は全て生活費に充てるという資産の活用が前提となっています。
また必要不可欠な場合を除いて自動車を持つことができないなどの所有物の制限もあります。

5.まとめ

今回は高齢者でも生活保護を受けられるのか、生活保護を受け取れる条件、高齢者で生活保護を受け取るメリットとデメリットについて紹介しました。高齢になって生活保護を受けることに対して、不安や戸惑いを感じる方もいらっしゃるかと思います。
ですが、高齢者の生活保護の受給は決して悪いことではありません。繰り返しになってしまいますが、まずは1人で悩まずお住まいの市区町村の生活保護担当部門に相談することが大切です。
リライフネットでは相談は無料なので、高齢で生活保護を受けることに悩みがある方はお気軽に相談してください。