1.AI(人工知能)によって人間の仕事は無くなるのか

人間が作り出した人工知能であるAIは、これまでの検索システムや機械と異なり、指示を出すだけで答えを導き出します。

一定の業務を単独で遂行する能力を持つため、AIが普及することで、多くの仕事が無くなるのではないかと危惧されています。

身近な例では、銀行の窓口業務が挙げられます。

以前は窓口で担当者が対応していたような問い合わせも、AIを活用したチャットボットが、インターネット上で対応することが増えました。

効率化を重視するビジネスシーンでは、このような人件費の削減に繋がるAIが、積極的に導入されています。一定の求人の減少は避けられないと言えるでしょう。

2.自治体で進むデジタル化とAI導入

デジタル化とAI導入は、企業だけでなく、国や自治体の行政サービスにも影響を与えています。

コロナウィルスの猛威によって露呈した自治体のデジタル化の遅れに対する対策として、2024年2月に総務省が「デジタル・トランスフォーメーション(DX)第 2.3 版」を発表しました。※1

デジタル技術やAIの活用の促進でスムーズな情報伝達、迅速な行政サービスを可能にし、住民の利便性を向上させることを目的としています。

また、行政と企業とのデジタルデータの「様式統一」も盛り込まれており、社会全体のデジタル化とAI活用が急速に進められています。

世界的な流れでもあるデジタル化とAI活用を理解し、個人でも求人減少への対策を考える必要があります。

※1出典:総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画 【第 2.3 版】」参照:2024.04.05

3.AIの種類と求人が減少する仕事

AIにはどのような種類や特性があり、どのような仕事が減少するのでしょうか。

①テキストベース型

もっとも汎用性が高く、話題にもなっているAIがテキストベース型です。

【ChatGPT】

OpenAIによって開発された非常に高性能なテキスト生成モデルで、ユーザーの質問に自然な会話で回答します。AIはインターネット上にあるデータから回答を生成します。2024年4月5日現在は、無料版が2022年までのインターネット上のデータを利用、有料版では最新データを利用して回答します。与える情報や指示を変える事で、得られる回答も変わります。

【テキストベース型で求人が減少する仕事】

・カスタマーサポート

・翻訳

・小説家

・脚本家

・プログラマー

・ライター
・校正

・事務

・レジ業務

・発注業務

マニュアルなどがある定型業務や小売店での会計や発注業務、カスタマーサポートなど、入力と回答が決まっている業務は全般的にAI化が進むと考えられます。
データを元に独自に文章を作成することもできるため、管理者の指示が的確であれば、小説や脚本、台本などのクリエイティブな作業も可能です。

②画像生成型

入力されたテキストを元に画像を生成できるAIです。厳密にはテキストベース型に含まれます。

【DALL·E】

OpenAIが、DALL·E(画像生成AI)を開発しています。画像のイメージをテキストで入力するだけで画像が生成されます。

【画像生成型で求人が減少する仕事】

・画家

・写真家

・マンガ家

・イラストレーター

・デザイナー

・フリー素材作成

DALL·Eでは、マンガやアニメ風のイラストから写真と変わらないリアルな画像まで生成が可能です。美術的な絵画、マンガ、イラスト、イメージ画像、写真風画像、デザインなども簡単に作成が可能です。

③音声生成AI型

【WaveNet】
DeepMindが開発した音声生成モデルで、サンプルを元に非常に自然な音声を生成します。

【音声生成型で求人が減少する仕事】

・ナレーター

・アナウンサー

・声優

音声生成は飛躍的に進歩しており、人間らしい自然なものとなりました。今後、公共交通機関や施設内のアナウンス、学習教材、同時通訳など活用の場が増加することが予想されます。

4.AIが普及しても求人が減らない仕事とは?

AIが普及しても、求人が減少しにくい仕事は、臨機応変に個別対応することが必要な業務です。

また、介護や医療など人間の体や感情を重視する業務、特殊な技術を必要とする職業などは、AIの導入が難しいため、今後10年程度は求人が減少しにくいでしょう。

しかし、スマホの普及のように、状況が一変するような技術革新があれば、このような仕事も減少する可能性があります。

・心理カウンセラー

・保育士

・看護師

・介護士

・調理師

・スポーツインストラクター

・自己啓発書作家

・コンサルタント

・伝統工芸作家

・職人に分類される職業(大工など)

5.AIの普及で増える仕事と変わらない仕事

①AI管理者の仕事は増える

AIは、すべて自動で動くシステムではないため、管理者や指示を出す担当者が必要になります。そのため急速なデジタル化やAIの普及により、管理者や指示業務をする人材が不足することが懸念されています。

②AIが普及しても変わらない仕事はあるのか

1-運転手

自動運転技術は、まだ発展途上で完全ではないため、2024年問題と呼ばれる物流の深刻なドライバー不足は、暫く続く事が見込まれます。

しかし、都市部は今後状況が大きく変わることが予想されます。

2023年4月に道路交通法が改正され、公道での特定条件下ではレベル4の自動運転が可能になりました。※2

地域や条件が限定されないレベル5の完全自動運転は、今後実証実験が開始されます。

特定地域となる都市部ではバスやタクシー、配送などの自動運転が急速に普及することが見込まれます。

2-運転と到着地での業務がある仕事

現時点では一定の条件が必要なレベル4の自動運転の影響を、地方は受けにくいといえます。

運転だけでなく、到着地での業務が必要な自動販売機の管理やプロパンガスの管理、水道修理や配線工事などは影響を受けない可能性が高い職業です。

③AIの進歩とロボット

現状のAIは、Web上のシステムで作動するため、特定の機械を操作したり、テキスト、画像、音声などのデータを作成することが中心です。

そのため外部にある物や人を動かすことができません。

配線工事をAIに依頼した場合、必要な部品、道具、配線の手順を回答することはできても、道具を持つことができないため、実際に人が行動する仕事は減少しにくいことが特徴です。

しかし、今後ロボット技術が進歩すれば、AIが直接行動することが可能になります。
この段階が、もっとも大きな仕事減少の転機となるでしょう。

人が体を動かすことが減り、AIに指示を出すことが「仕事」になります。

革新的な技術開発があれば、スマートフォンの普及のように、10年で劇的に変わる可能性もあります。今後の動向に注目しましょう。

※2出典:経済産業省「国内初!自動運転車によるレベル4での運行許可を取得しました」参照:2024.04.13

6.10年後の求人減少に備えて今できること

現代の技術の進歩はかなり早く、ChatGPTの普及も驚異的なスピードでした。
今後AIの管理や指示を与える仕事は増え続けるため、AIについて学ぶ事にはメリットがあります。

すでに、大企業、中小企業、個人までAIを活用する時代となりました。現時点でも、AIに的確な指示を与えられる人材が求められています。

10年後に備えて、需要のあるAIスキルやデジタル化の知識を身に付けることがおすすめです。

また、現代はインターネットの普及で、個人間取引が大きく増加しました。

個人の需要に対して、個人のスキルを販売することが可能なプラットフォームも複数あります。需要のあるスキルを身に着けておくことで、昭和の商店や江戸時代の市場のような、個人で展開する小規模ビジネスも可能です。

これまで人間が経験や知識で実施していた業務を、AIが膨大なデータをもとに短時間で出力します。人間は指示を出すことが仕事になるため、その時代に備えAIや世界のデジタル化を注視し、時代に合わせて自分が変わることが必要になります。

10年後に、世界がどう変わっても対応できる知識とスキルを身につけましょう

7.活用したいスキルアップ制度

経済産業省では、「第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)認定制度」を実施しています。※2

この制度は、厚生労働省の「教育訓練給付制度」とも連携していることが特徴です。

厚生労働省が定める要件を満たしている場合、経済産業大臣が認定した講座の受講費用の一部が給付されます。※3

経済産業省が講座を認定し、厚生労働省が費用面での資格取得支援をしているため、制度を活用することがおすすめです。※4

注目の「Reスキル講座」

2024年4月現在、Reスキル講座は、IT分野で182講座が認定されています。※5

給付金の対象になる条件は、初回受講では、雇用保険に2年以上の加入期間が必要です。

離職している場合は、離職後1年以内で離職前に2年以上の雇用保険に加入していることが条件となっています。働きながらでも、離職後でもスキルアップができる制度です。条件を満たしている場合は、講座受講手続きと並行して厚生労働省の教育訓練給付制度の手続きをハローワークで行いましょう。

さらに、経済産業省はReスキル講座(第四次産業革命スキル習得講座)認定制度の第14 回申請受付を2024年4月に開始しました。※6

今回の申請受付では、より高度なIT分野の講座を追加拡充することが発表されています。

※3 出典:経済産業省「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」参照:2024.04.05

※4 出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」参照:2024.04.05

※5 出典:厚生労働省「教育訓練給付の講座指定の対象となる主な資格・試験など」参照:2024.04.05

※6 出典:経済産業省「第四次産業革命スキル習得講座 一覧」参照:2024.04.05

※7 出典:経済産業省「リスキル講座(第四次産業革命スキル習得講座)認定制度」の 第 14 回申請受付を開始します」参照:2024.04.05

8.予期せぬ仕事の減少に備える

コロナのような感染症による仕事の減少や、デジタル化やAI導入による人件費削減、原料や燃料の高騰による企業の倒産、自然災害など、さまざまな理由で仕事を失う可能性はゼロではありません。

突然収入が途絶え、生活が困難になったときに備えておくことが重要です。

転職が容易になるスキルを身に着けておく、副業を持っておくなどの対策がありますが、どうにもならない時に、利用できる制度を知っておくことも大切です。

①生活保護制度

生活保護は、生活が困窮した際に利用できる国の制度です。

生活保護と聞くと、「簡単に申請することができない」「条件が難しそう」などの理由から、生活に困窮していても申請をためらう方が多くいます。

しかし、下記に記載されている通り、生活保護は誰でも申請することができます。そのため生活が困難になった場合は、自治体の福祉事務所に相談してください。

厚生労働省の公式サイトでは、このようなページが追加されています。

生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。

②家を失ったら居住支援法人を頼る

突然収入が途絶えた際には、家賃が払えず住居を失ってしまうことも考えられます。
家を失いそうだ、家を失ってしまった、そのようなときには、各都道府県が指定する居住支援法人を確認しましょう。困窮すると精神的に追いつめられ、正しい判断や対策ができなくなる場合があります。安心できる指定法人のような第3者に相談し、生活保護の手続きや当座の生活場所を確保しましょう。

国は、自立を支援するための制度や支援法人を用意しています。

生活を立て直すために制度や法人を活用するという意識と、そのために必要な知識や情報を日頃からチェックしておくことをおすすめします。

9.リライフネットとは

リライフネットは関東圏の一都三県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を対象に支援を展開しています。

行政・NPO・不動産事業者等と連携し、住居支援や生活保護受給手続きのサポート、専門的なサービス紹介などを行います。
ご相談からサポートまで、すべての支援が無料です。

今生活している施設から出たい方、ネットカフェや路上生活から脱出したい方は今すぐリライフネットへご連絡ください。迅速な支援体制を整えています。

また、生活保護申請の疑問や不安がある方、手続きが分からない方もサポートいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

ご相談はこちらから

https://seikatsuhogoguide.com