1.生活保護の受給者はエアコンを所有することは可能?
昨今の夏場はとても厳しい暑さで、いくら我慢しようと思っても限界を感じる上に、我慢することの方が危険なこともあるでしょう。
そんな時に思い浮かべるのが、エアコンだと思います。
しかし生活保護を受けている方の中には、「自分は生活保護を受けているから、エアコンは購入できないのではないかな?」と思われる方もいらっしゃいます。
実は条件こそあるものの、生活保護の受給者でもエアコンを所持することは可能です。
2018年に厚労省から改善通知が出されました。
これによると、一定の条件を満たす場合に上限を50000円として、エアコン等の冷房器具購入費と、設置費用の支給が認められるようになったのです。上限額は自治体によって異なる場合があります。
一定の条件というのは5つある条件のいずれかに当てはまり、世帯内に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合、となっています。
参考データ:http://665257b062be733.lolipop.jp/180627leaf.pdf
そもそも生活保護とは、「健康で文化的な最低限度の生活」の保障と自立に向けたサポートのために、個々の困窮度合いに応じて必要な保護を行うものです。
これまでは、「健康で文化的な最低限度の生活」を送るにあたって、エアコンは贅沢品とされ、必要とは考えられていませんでした。
しかし、2018年から「家具什器費(かぐじゅうきひ)」という名目で、エアコン等冷房器具の購入費用も含まれる事になり、生活保護の受給者でも一定の条件を満たす場合には、エアコンの所有が可能になったのです。
2.生活保護受給者のためのエアコン購入費の支給が開始された理由
生活保護の受給者には贅沢品とされていたエアコンですが、その所有が可能になったのにも理由があります。最近、年を追うごとに暑さが厳しくなっていると感じる方も多いのではないでしょうか?
実際に、暑さが原因と考えられる熱中症で救急搬送される方も年々増加しています。
急激に増加する熱中症患者の中でも、特に生活保護受給者に多い高齢者の方は熱中症リスクも高く、実際に熱中症で倒れるケースが後を絶ちませんでした。
そのため、厚労省はエアコンを贅沢品ではなく、「健康で文化的な最低限度の生活」に必要な設備とみなし、一定の条件はあるもののエアコンの購入費が支給されることになったのです。
3.生活保護受給者のためのエアコン費用を受給する条件と方法
必要な設備とは言うものの、生活保護の受給者なら誰でもエアコン費用を受給できるわけではありません。
受給するためには2018年4月1日以降に保護を開始された世帯で、5つある条件のいずれかに当てはまり世帯内に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合、となっています。
①家具什器費を支給される条件のいずれかを満たしているか
まずは従来からある、家具什器費を支給される条件のいずれかを満たしていることが、エアコン費用を受給する場合にも求められます。
- 2018年4月1日以降保護を開始されており、エアコン等を持ち合わせていない
- 長期入院や入所後の退院、退所時点でエアコン等の持ち合わせがない
- 災害でエアコン等を失い、災害救助法の支援ではまかなえない
- 転居の際、設備の相違などにより、これまで使えていたエアコン等が使えない
- 犯罪等の被害、または同一世帯に属する者から暴力を受け転居する場合に、エアコン等を持ち合わせていない
これらいずれかに当てはまっていることが求められます。
②世帯内に熱中症予防が特に必要とされる者がいるか
注意していただきたいのが、エアコン費用の場合はさらに満たす必要のある条件があります。それが「世帯内に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合」という条件です。
熱中症予防が特に必要とされる者とは、高齢者・障がい者・中学生までの小児・難病患者の他に住環境等を総合的に考慮した上で、福祉事務所が必要と判断された者も含まれます。
少しややこしいかもしれませんが、これは各自治体や福祉事務所が判断することにより、柔軟な対応を行えるということでもあります。
なので自身が条件を満たしているかどうか分からない場合は、福祉事務所やケースワーカー等に相談してみましょう。
これら条件を満たしていることが確認できたら、見積書を取って福祉事務所へ申請を行いましょう。
エアコンに限らず、生活保護には申請しなければ費用を支給されないものもあります。
なので申請することを忘れないように気を付けてください。
4.生活保護受給者がエアコンを購入する際に気をつけるべき点
ここからは、実際にエアコン等を購入する際に注意すべき点について解説します。
①エアコン購入費用には上限がある
エアコンは機能やメーカーによって値段も様々です。このため、実際の購入費用が支給される上限額を超えてしまわないように注意が必要です。
エアコン費用は上限が定められており、上限が54000円とされています。
この上限額は自治体によって異なる場合がありますので、事前に福祉事務所などにしっかり確認を行いましょう。
購入費用が支給額を超えてしまった場合でも、福祉事務所は上限額までしか負担してくれません。
近年は半導体不足の影響などでエアコンも高騰しています。もしも上限額を超えてしまった場合は自身で負担しなければなりません。
そのためなるべく負担を抑えるためには、状態の良い中古のエアコンを購入したり、窓枠用のエアコンを購入するなどの工夫も必要です。
②生活保護には電気代の夏季加算はない
生活保護には「冬季加算」という、お住まいの地域や世帯構成などの条件によって異なるものの、主に11月から3月までの期間に支給される一時金があります。
通称「灯油代」、「暖房代」とも呼ばれています。
これは光熱費等が増加する冬季に対応するために、11月から3月の生活扶助基準に上乗せして支給されるものです。
こう聞くと「では暑い夏場の光熱費に対応する、夏季加算もあるのかな?」と考えられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は現在のところ、「夏季加算」は存在しないというのが現状です。
そのためエアコン等を使った冷房にかかる電気代は、毎月支給される生活保護費の中から捻出しなければなりません。
エアコンは便利で快適な半面、使用した際にかかる電気代も扇風機などの冷房器具等に比べて高額になりがちです。
設定温度を調整したり、エアコンを点けなくても問題ない気温の時はなるべく使わないようにするなど、電気代を抑える工夫をするよう心掛けましょう。
5.まとめ
この記事では生活保護を受給している方が、エアコン等の冷房器具を所持する上で費用を受給する条件や方法、実際に購入する際に気を付けるべき点などについて解説しました。
湿度も高く地域によっては40度に迫る猛暑の日本では、エアコンは贅沢品ではなく必需品といえます。
必要以上の使用には注意しなければなりませんが、我慢して体調を崩してしまっては元も子もありません。
もし、自身が冷房器具等を所持できるか分からない場合は、悩まずに福祉事務所やケースワーカー等に相談してみましょう。
リライフネットでも生活保護に関する相談を受け付けています。どうしてもエアコンの購入費用が認められない場合は、転居も一つの選択肢となりえます。
リライフネットではエアコンを完備した良質な物件提供を行っておりますので、一度相談してみてはいかがでしょうか?