生活保護は誰もが受けられる権利ですが、どんな場合でも認められるわけではなく、受給条件が定められています。その上で重要になるポイントとして、住居も含まれています。
この記事では、生活保護と住居の関係性について紹介しています。
住居がない場合の対応についても触れているため、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.持ち家がある場合は状況次第
生活保護を受ける上で持ち家がある場合、状況次第で対応が異なります。
具体的には、どのようなものなのでしょうか。
①持ち家は原則売却対象
まず生活保護の申請は生活に困窮しているだけではなく、以下の要件をすべて満たすことが求められます。
- 収入がない
- 持っている資産をすべて活用した
- 働きたいが働けない状況である
- 扶養してくれる家族や親族がいない
持ち家=資産として考えられるため、上記の要件を満たすためにも持ち家は原則として売却対象となります。
つまり、持ち家を持ったままで生活保護の申請はできないということです。
特に住まいとして使っていない家があれば、現金化しやすい資産であるため、売却するという形で話が進むでしょう。
②例外となるケースもある
原則として持ち家は売却対象となりますが、すべてのケースが当てはまるわけではありません。
例外も存在します。それは、持ち家を売ると住む家がなくなってしまう場合です。
もし持ち家を売却すると住む場所がなくなるのであれば、持ち家を保有しながら生活保護を受給できます。
すでに人が住んでいる家はすぐに現金化できる資産の対象にはなりません。
もし売ってしまえば、生活保護を受給したい人の生活が困窮してしまい、最低限度の生活からさらに遠ざかってしまいます。
また、住宅ローンが完済されていても価値が低い場合には持ち家の保有が認められます。
③親の死亡で家を相続した場合は?
もし生活保護を受給しているときに、親が亡くなって家を相続した場合はどうなるのでしょうか。
残念ながらその家に住みながら生活保護を受給できることはできず、それどころか家のような資産価値の高い不動産を相続した場合、売却することで多額の現金を得られることから、生活保護を受給できなくなってしまいます。
かといって、生活保護を受給し続けたいがために相続を放棄することはできません。
相続することで生活保護から脱却できるにもかかわらず、受給し続けたい理由で相続を放棄するというのはNGな行為です。最悪の場合、多額の返還金が発生したり生活保護自体も廃止になることもあるので、絶対にやめましょう。
2.住居がない場合はどうすれば?
生活保護を受給したい方の中には、住居そのものがなく困っている方もいるかもしれません。
そのような状況の場合、どうすれば良いのでしょうか。
①申請を受け付けてくれないケースも存在する
残念な現実ですが、住居がない場合で生活保護を申請しても実家に戻ることを促されるなどにより、スムーズに申請できない可能性があります。
また、申請を受けても無料低額宿泊所または生活保護類似の自立支援センターといった施設に行くこととなってしまい、そこでの生活が常態化する場合もあります。
ただ、住居がない場合でも申請自体は可能であるため、まずは一度申請してみるのがおすすめです。
もし住民票がないのであれば、最寄りの福祉相談所に行って相談してみましょう。
福祉事務所では、生活保護に関する情報を教えてもらえます。
②生活困窮者自立支援制度を勧められる場合がある
福祉事務所がある自治体の場合、生活困窮者自立支援制度を勧められる場合があります。
生活困窮者自立支援制度は生活保護を受ける前の支援をしてくれる制度であり、最低限度の生活を維持するのが困難になる恐れがある人が対象です。
自立をサポートしてくれるからこそ、生活保護を受給せずに自立を目指すことが出来ます。
失業中や思うように勤務できない方や、心身が健康であり就労可能な方は相談してみるとよいでしょう。
3.生活保護受給者の住居探しが大変である理由
生活保護受給者の場合、住居を探すことが非常に大変です。
その理由として、
- 不動産仲介業者から断られやすいため
- 大家さんから心配されやすいため
- 保証人が見つけられないため
の3つが挙げられます。
それぞれ見てみましょう。
①不動産仲介業者から断られやすいため
1つ目の理由は、不動産仲介業者から断られやすいためです。
生活保護受給者は、家を借りるためにさまざまなことをケースワーカーに相談しなくてはなりません。
通常よりも複雑なプロセスを経て物件を借りることから、問い合わせの段階で不動産会社に断られてしまうケースもあります。
また生活保護の方でも入居可能な物件の流通数があまり多くないことも一因として挙げられます。
特に規模の小さな不動産仲介業者ほど、断られてしまう可能性が高いです。
②大家さんから心配されやすいため
2つ目は貸主である大家さんから心配されやすいためです。
大家さんは室内で事故が起きることや家賃の支払いが滞ることなどを心配しています。
生活保護受給者の中には精神的な疾患を抱えている方や高齢者の方、ギャンブル等の依存症の方もいるため、通常の入居者と比較してこのようなリスクが高いと考えられています。
その懸念から、大家さんが審査を断るケースも多く存在するのです。
③保証人が見つけられないため
3つ目は保証人が見つけられないためです。物件を契約をする上では何かあった時のために保証人を取り付けることが一般的ですが、生活保護受給者は扶養できる方がいないため審査時に非常に不利になります。
そのため、保証会社の加入を求められることになります。
身元のしっかりした保証人がいる場合はその方にお願いすることも有効ですが、頼れる方がいない場合は保証会社の加入は必須になると考えておいた方が良いでしょう。
4.生活保護受給者が家探しをする上でのポイント
生活保護受給者の住居探しは難しいですが、その上でのポイントもあります。
これから探すのであれば、以下のことを踏まえて探しましょう。
そうすることで、スムーズに住居が見つかるかもしれません。
①余裕を持って行動することが重要
生活保護受給者の住居探しは時間がかかるため、余裕を持って行動することが大切です。
そうすることで、じっくりと時間をかけて手伝ってくれそうな不動産仲介業者を見つけられるでしょう。
その上、ケースワーカーともしっかりと話し合えます。
そのほかには、大家さんに対して生活保護を受給している理由と一時的に受給していることを伝えるのも大切です。
早めに受給理由などを申告することで、大家さんが抱えている不安や偏見を解消できる可能性が高まります。
②不動産仲介業者は大きなところがおすすめ
不動産仲介業者に関しては、規模が大きなところで探すのが良いでしょう。
その理由として、成約件数をこなせる体制が整っており、物件を探す上での時間的かつ人員的な余裕があるためです。
また、Webサイトで賃貸を探せる場合、生活保護受給者でも借りられるかどうか判断できるようになっているケースもあります。
時間をかければ見つけられるため、上記で述べたように余裕を持って行動することが大切です。
③保証会社を利用する
前述の通り、もし保証人がいないのであれば、保証会社を使いましょう。
保証会社自体もさまざまあり、生活保護を受給している方でも対応してくれるところもあります。
その人の状況に応じた保証プランを提案してくれるため、まずは相談してみると良いでしょう。
もし家探しで悩んでいるのであれば、リライフネットを利用するのもおすすめです。
リライフネットでは、生活保護受給者や年金生活者、ネットカフェ難民などの生活に困っている方に対して、住みやすい物件の提供をしています。
最初から家を提供した上での申請サポートもしてくれるため、家がある状態で生活保護の申請ができます。
そのため、家に関する悩みを抱えているのであれば、一度リライフネットに相談してみましょう。
5.まとめ
今回は、生活保護と家の関係性について紹介しました。
生活保護と住居は重要な関係性であり、状況次第では持ち家を売却しないといけない場合や住居がない影響で生活保護の申請を断られてしまう場合もあります。
だからこそ、余裕を持って住居について考えるようにしましょう。
早めに行動することで、住居に関するトラブルも防げるようになるはずです。