うつ病にかかってしまった際、仕事を続けることで症状が悪化してしまう可能性があります。治療に専念しようと考えた場合、生活が困窮してしまう方は生活保護を受給することが出来ます。こちらの記事ではうつ病の基本知識から利用できる福祉制度についてご紹介していきます。

1.うつ病の症状とは

うつ病とは、気分障がいの一つで様々なストレスが要因となり脳がうまく働かなくなっている状態です。

一時的ではなく持続的に沈んだ気分が続き、憂うつになる、意欲や判断能力の低下など精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体のだるさなどといった身体症状が現れます。

心身の不調が続くことで徐々に日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

また、うつ病とは誰にでもかかる可能性があるものです。

症状に苦しみながらも自身が病気であることに気付かなかったり、医療機関を受診することに抵抗がある場合もあります。

しかし、適切な治療と適切な休養によって回復が可能ですので、周りの方やご自分で違和感を感じた際は医療機関での早めの相談と治療が重要です。

2.うつ病が理由で生活保護はもらえるのか

うつ病の方が生活保護を受給することは可能です。生活保護をはじめ公的なサービスを受けることは正当な権利として認められています。

しかし、生活保護の受給要件として「公的な支援などを利用してなお生活が困窮している」ということが前提となります。

支援についてお悩みの方は、お近くの福祉事務所の窓口相談のご利用をおすすめします。

3.生活保護と障害年金は一緒にもらえるのか

結論から言うと、生活保護と障害年金の同時の受給は可能です。

そもそも障害年金とは、病気や怪我などやむを得ず働くことが難しい場合受給することができる年金です。

そのため、生活保護を受給していても障害年金の条件を満たしていれば受給することができます。

ただし両方を同時に満額ずつ受給することは出来ないので注意が必要です。

よくある勘違いとして「どちらも受給することが出来るなら収入が増える」と考える方もいるでしょう。

生活保護をお考えの方が障害年金の受給条件を満たしている場合、生活保護費より障害年金が優先的に支給されることとなります。

なぜなら、保護費には支給額のほか一か月あたりの基準金額が定められているからです。

障害年金を受給してもなお最低生活費を満たさない場合に生活保護費から年金額を差し引いた差額が生活保護費として支給されることとなります。

つまり、生活保護費と年金を受給しても支給される合計額は変わらないのです。

手元に入る額が最終的に同じであるなら、障害年金の申請手続きをするメリットはあまりないように思いますが、障害の等級が1級、2級の方は生活保護費に障害者加算がつきます。

障害者加算の額は地域によって異なりますので、お住まいの地域の福祉事務所で確認しましょう。

4.生活保護と障害年金それぞれの申請方法や条件

障害年金ではほとんどの傷病が対象となります。基本的には傷病名だけでなく、病気や障害によって日常生活や仕事にどの程度支障をきたすかが判断基準となります。

では、どのような際に障害年金を受給することができるのでしょうか?

障害年金を受給するには

  • 初診日要件
  • 障害認定日要件
  • 保険料納付要件

という3つの要件を満たしている必要があります。

障害年金にはいくつか種類がありますが、下記では障害基礎年金の要件をみていきます。

①初診日要件

・初診日の時点で国民年金の被保険者である方

・初診日の時点で20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間である方

②障害認定日要件

障害認定日において「障害認定基準」に照らし合わせて、国民年金の障害等級が

1級または2級に該当する程度の障害の状態にあると判断された方

③保険料納付要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、当該被保険者期間のうち、3分の2以上の期間、納付済か免除されていた方

次に生活保護を受給する上で最も重要な条件とは、世帯全体の収入が最低生活費より少ないことです。

最低生活費とは、国から定められた健康で文化的な生活を営むために必要とされている費用です。

また、最低生活費を満たしていないことを前提として以下の4点が調査されます。

①あらゆる制度の活用

生活保護制度を利用する前に、他の社会保障制度の利用が優先となります。考えられる制度としては傷病手当、障害年金、労災保険などが挙げられます。

これらの制度を活用しても最低生活費に満たない場合、生活保護制度を受給できるようになります。

②資産の活用

生活保護を申請する際には、所有している資産は全て生活費に充てることが条件となっています。

資産のうち、預貯金の活用は勿論のこと、自宅や自動車、自身のブランド物などの売却を求められる場合があります。

③能力の活用

生活保護の申請時には稼働能力の有無や意思の確認が行われます。稼働能力とは就労する力をさします。

働く力や意欲がある方は出来る限りの収入を得ることと、能力はあるが働く場がない方は求職活動をしている旨を説明する必要があります。

怪我や病気などやむを得ない理由で働くことのできない方は、回復する為の治療や通院が義務となっています。

④扶養義務者からの援助

生活保護を受給する際、親や兄弟祖父母、親戚などの身内から援助を受けることができないことが条件となります。その為、生活保護を申請する際には家族や親族に扶養できるかどうかの扶養調査といった形で確認がされます。

生活保護をお考えの際、メリットしかないように思うかもしれませんが所有物の制限、住む場所の制限、ローンやクレジットカードの制限等のデメリットもあります。申請前にしっかりと確認しておくことが大切と言えます。

生活保護は楽にお金をもらえる福祉制度ではなく、あくまで最後のセーフティネットということに留意しておきましょう!

5.うつ病で生活保護を受給する場合の注意点 その他うつ病で働けなくなった場合に利用できる支援制度

うつ病にかかってしまった際、無理に仕事を続けず治療に専念することが大切です。働くことが困難な状態でも国から受けることの出来る経済的な支援制度をご紹介します。

①傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者とその家族を保障するために、病気やケガのために仕事を休んで十分な報酬が受けられない場合に利用できる制度です。うつ病などの精神疾患も対象です。

②特別障害者手当

特別障害者手当とは、「精神又は身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある、在宅の20歳以上の方」が月額27,350円を受給できる制度です。

③失業手当

失業手当は、うつ病に限らず失業した人が再就職するまでの一定期間に受給できる給付金です。

④労災保険

労災保険とは、業務や通勤中にケガや疾病などの「労働災害」が起きた際に、その補償を受ける制度です。アルバイトやパートタイムの方も利用することが可能です。

うつ病などの精神障害による労災認定は、原則として発症6ヵ月前に業務上で強いストレス負荷があったかどうかの判断基準が採用されており、「仕事が原因」となったことが認められる必要があります。

⑤生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度は、うつ病に限らずさまざまな状況で仕事や住まいの安定が困難な人々を支援する国の制度です。支援の内容は多岐に渡り、自治体によって異なります。

⑥生活福祉資金制度

生活福祉資金貸付制度は、低所得者、高齢者、障害のある方などを対象に、生活を経済的に支えつつ、在宅福祉や社会参加を促進することを目的とした貸付制度です。うつ病により長期療養の結果収入が無くなった場合に利用できる可能性があります。

⑦自立支援医療制度

自立支援医療制度は、継続的な通院が必要な場合などに、医療費の自己負担を減額する公費負担の医療制度です。うつ病の場合継続した通院を要するため対象となります。

⑧生活保護

うつ病に伴って収入がなくなり、生活の維持が困難な方は生活保護を受給できる場合があります。

しかし、生活保護の受給要件の一つとして「働く能力の活用」が求められ、働けるかどうかという点が客観的に判断されます。医師の判断により働くことのできない場合には、能力の活用として就職活動や治療の為の通院が求められることとなります。

また、うつ病の症状によっては障害者手帳の取得ができます。取得することにより、所得税や住民税、医療費、各種公共料金の減免が適用できることがあります。

6.まとめ

この記事ではうつ病の方が生活保護を受給することはできるのか、各種サポートについても併せて解説してきました。

生活保護の受給は他の支援制度を利用できるかどうかの確認後に可能となります。実際にご自身が活用できるかについては窓口や支援者に相談すると良いでしょう。

経済的支援を受けることは生活保護を含めて決して恥ずかしいことではありません。

経済的な心配なく、各種の支援を受けながらうつ病の治療や休養に集中することで、将来に向けての一歩を踏み出すことができます。

現在、生活保護について不安をお持ちの方は、リライフネットに相談してみてはいかがでしょうか。リライフネットは住居の相談に強く、最短で相談翌日から住居の提供も可能です。

生活保護に関する知識が豊富なスタッフが丁寧にサポート致しますのでお気軽にご相談ください。